3.3 新築とリノベの違いにぶち当たる

 家を一から建てる、つまり新築する場合とリノベーションを行う場合では、決定的な違いがある。新築は予算による制限はあるけれども、自分たちの思った通りに、ほぼ「無制限」に作り上げることができる。しかし、リノベにはかなりの制限がある。新築の時に設定したまま動かせないものがある。柱や梁の位置が動かせなかったりする。また中古物件に手を入れるわけだから、個々の不動産そのものに特化した制限があったりする。

 もともと変えるつもりはなかったのだが、玄関の位置なども簡単には変更できないし、ドアの素材を変えたいと思っても、一軒家ではなく集合住宅の場合は、防火ドアでなければいけない。また床下の状況によっては、給排水などの設定に自由度がなくなったりもする。

 我が家の場合、その制限はトイレであった。ミズキさんの話によると、トイレの位置だけは変えられないらしい。いや実際には不可能ではないが、それには大幅にコストがかかるし、床の高さをもう少し上げる必要が出てくるかもしれない。

そして。

床の位置をそのままにしておくのであれば、水回りはできるだけ集結させておくほうがいい。正確に言うと、給水はなんとでもなるが、排水だけは固めておいた方がいいとのことだった。床下の高さに対する排水の傾斜角度を考慮すると、それほど広範囲に排水管を通すことができないようであった。

排水。

トイレ、シャワールーム、洗面台、洗濯機、キッチン。これだけのものをできるだけ近くに配置する必要がある、ということになる。

うそやーん、である。

 今まで延々とキッチンはここかな、洗濯機はここにもってこようかな、と自由自在に配置してアイデアを出していたが、ぶっちゃけ全部アウトー、である。

とにかく狭い空間に、水まわり設備を配置しないといけないという条件が課せられてしまったのだ.........

だがしかし。

なぜだなぜなのか!ガゼンやる気になってしまったわたくし。ぶっちゃけ設備が大量にあるわけではないので、考えられる間取りは数パターンに限定される。

悲しいかな私は日本人。制限されると燃える。制限内で工夫できてしまうのであーる。

真っ白いキャンパスに自由に描けと言われたら無理ゲーなのだが、制限をつけられてしまうと、必死にその制限内でアイデアを出せてしまう。狭い狭い空間にどうにかして色々なものを合理的に配置するというのは、日本人のお家芸っ!

ということでガゼンやる気を取り戻した私であーる。

とは言え。

キャッキャッと無邪気にキッチンをL型にしようかとカナメと話し合っていたこととか、ミズキさんの最初の案ではアイランドキッチンが描かれていたことを考えると、いささか気持ちがダウンせざるを得なかったのは事実。それでも制限内で前に進むしかないと腹をくくったのも嘘ではない。

ということで、制限の中で自分の望む水回りを考えるプロセスに突入した。

正直、私たちの間取りは「水回りの配置を考える」ことで終わった感がある。狭い狭い15坪の寝室以外をワンルームにすると決めたら、間取りを意味するものは、これらの配置以外にはないのである。

ほとんどない選択肢の3パターンくらいの中でグルグル脳内イメトレするしかなかったのである。こんなもん簡単に決まるがな。ねぇ。


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