3.5 悲しい予算との戦い(汗)

 部屋を空にしてみて数日後、ミズキさん、および電気、水道、二重窓の工事をお願いする業者さんが我が家に集結した。こういう業者さんとのやりとりは、すべてミズキさんがアポをとってくださるのだ。っていうか、ミズキさんは仕事がめちゃくちゃ早い。必要と認めたらその場ですぐに必要な業者さんに電話をかけてすぐにアポをとる。いちいちメモなど取らないのに、うっかり忘れた、ということが全くない。私なんぞ、GoogleカレンダーかGoogle Keepに入っていない予定など存在しないも同然。全部忘れちゃうのに(汗)。そして電話の時間も超絶短い。ミズキさん曰く、長い間(数十年レベルで)、チーム組んでやってるから、ポイントだけ伝えればOKらしい。

 私はと言うと、カナメとの付き合いは30年以上になるのだが、未だに「ちょっと何言ってるかわからない」サンドイッチマンモードになることが多々あるのに!

 さて。

二重窓にする件は決定事項なので、施工業者である若いイケメンのお兄さんが窓のサイズをチャキチャキと測って、ミズキさんと少し打ち合わせてをしてすぐに帰られた。業者さんは皆さんご年配の方が多いので、私の脳内では「彼はなぜ、この田舎で東京や大阪などの都会に行きたいと思わずに家業を継いだのか」が気になって気になって仕方がなかったのだが、それは今回の打ち合わせのメインポイントではない。いつかチャンスがあれば聞いてみよう。

 電気工事については、個人的に私の最大関心が向くエリアだ。ずっとIT分野で仕事をしてきており、コンピュータも多数、デジタルガジェットも多数、スマートスピーカーも複数、電気製品多数、海外から持ち帰った220V家電も複数ある状況だ。

とにかくあちこちにコンセントが欲しい!!!
私が動く先々でラップトップとタブレットとスマホの充電ができるようにしたい。食卓にも電源が欲しい。1メートルごとに設置して欲しいくらい!!

と思いの丈を熱弁ふるったわけだが。

「できるできる。なんぼでもつけられるから。要は、どこに何個口のコンセントが必要か、パワーが大きくて別系統にしたいものは、そう書いておいてくれればいいから。とにかく数と場所だけしっかりと考えといて。今だったらどこにでもつけられる。でも工事終わって後からつけてって言われたら、また別途お金かかってくるからね。よろしく。」

とのことだった。

えええええ、電気工事ってそんなに制限事項がないものだったのかー。家全体の電気の容量も契約を変えたらなんぼでもあげられるらしい。が、まぁそれにはコスト(月々の電気料金)が上がってしまうから、そこはお金と相談しなければならない。なるほど。

 それから水道工事について打ち合わせが始まったのであるが、何やら雲行きが怪しい........。

実家のこの小さなビルが建ったのは、今から約40年ほど前のことで、その建設当時の図面集が残ってはいるのだが、それだけでは分からないことも多々あり、またどう言う理由があったのかは分からないのだが、実際とは異なる部分もあったりして、床を開けてみないとなんとも言えないと言う部分がかなりあった。

しかも。

その施工業者さんは、5階フロアだけではなく、4階も見に行って、「4階の天井を開けないといけない」と一言。どうやら5階の排水管が4階の天井裏にあるから、給排水の工事には4階の屋根を開けて、また塞ぐコストも計上されることになった。

いくら工事については何も知らないど素人の私でも、それが想定よりもコストアップになることくらい分かる。そして私の嫌な予感は的中した。

ほどなく我が家のポストに、その水道施工業者さんから見積書が届いた。中を確認して私たちは絶句してしまった.......。

90万円近くの見積金額が記されていたのだ!!!!!

見積書には実に細かく明細が付いていたので、ざっくりと雰囲気で出てきた数字ではない。

もちろん新築で一から家を建てるというなら、それなりのコストがかかることなど分かってる。でも。我が家の場合はすでにトイレと小さな洗面台がついている。つまり一から給排水を引くわけではなくて、その位置を多少変えることと、シャワールームを追加するなどで、そこまでコストがかかるという認識が一切なかったのだ。

悩ましいのは。

これが私たちにとって「終のすみか」であると思うなら、徹底的に自分たちの望むものを追求し、それを実現するためには、それ相応のコストを支払う覚悟ができると思う。

しかし。

私たちはまだ50代で、カナメは会社員をやめて表向きはアーリーリタイアメント面(づら)しているのだけど、まだまだ人生を諦めても落ち着いてもいない。実家のリノベに資産を一気に流し込む気などさらさらない。その資産があるなら投資の原資に回したいくらいだ。

この調子で行くとトータルのリノベ費用がどんどんと膨らんでいくことが容易に予想できた。
リノベして、いざとなれば売却も考えられる大都市の物件じゃあるまい。テナントも全然入らない資産価値が目減りしまくっている、田舎の廃墟化していた小さなビルのワンフロアのリノベについて、自分たちの中ではなんとなく「出せる予算のライン」ができている。

水道工事だけで100万円近いのって、ないない、なーい。

その時の私の正直な気持ちは、もうシャワールーム(お風呂が6階にあるし)も洗濯機(屋上にとりあえずある)も部屋に置かなくていいから、今あるトイレとミニキッチンを交換するだけでいいかな、と思い始めていた。それならそこまでコストかからないだろうしな......

解体業者さんにきていただく予定の日に、突然こちら側の都合が悪くなり、キャンセルしてもう一度日程を仕切り直ししなければならなくなってしまった。

突然ポッカリ開いた日程のスキマ。

もう一度、考え直すしかないか。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?