客ハラの影響を受けるのは、店舗スタッフだけじゃない

 うちのエリアは都市部ではないけれど、とりあえず飲食店に対して、営業時間短縮の要請があるらしく、大体午後9時には閉店で、酒類の提供は8時までになっている。

昨年度の前半は外食を一切しなかったのだが、GOTOイートがスタートしてから、時々、外食するようになった。これまでは特に嫌な思いをすることなどなかったのだが、最近、お酒も出す飲食店に夕方5時半頃に行って、立て続けに2回、

5時からベロンベロンに酔っ払って、マスクもせずに大声出すおっさん連中

に遭遇して、めちゃくちゃびっくりした。

5時台でベロンベロンってどゆこと........。

そこでハタと気づいたのだが、もしかすると、そういうベロンベロンさんは、過去、深夜にはたくさんいたのかもしれない。でも深夜に飲めなくなったため、彼らは早めに繰り出して、早々にお酒を引っ掛けるようになったのかも。

そこで見た光景が、もうめちゃくちゃ不愉快だった。

なんであんな醜態を晒しても、恥ずかしいと思わないのだろうかと不思議に思うほど。ええ調子で大声出す程度なら、こちらも目クジラ立てたくないとは思うのだけど、時期的にやはりビクッとするのだ。マスクもせずに大声で、飛沫飛びまくりやで。

そして、その客達は、店員さんにも暴言を吐く。

カスタマーハラスメント(カスハラ)と言うようだが、「客による店舗スタッフへのハラスメント」という意味で客ハラと呼ぶことにする。

ベロンベロンのおっさん、店員さんに向かって〇〇と失礼な単語でよびつける。店員さんは「私ですか?」と聞く。その客は「そうだ、お前だ」と言う。

横で聞いていた私は、不愉快で仕方がない。が、ここは、客のあしらいに慣れた店員さんに任せるべきである。私も学生時代にホールスタッフのバイトをしていたことがあるが、夜に宴会があると、ベロンベロンに酔ったおっさんに体を触られたり、卑猥な言葉を投げられたりしたけど、うまいことあしらっていたからな。

でもさ。

酔ったおっさんと、そんな彼らに飲食を供するのが仕事だと割り切っている店員さんとの間の関係で完結しないのよね。

周囲にいる他のお客さんも、めっちゃ嫌な気持ちになっちゃったのだ。早めの時間にササッと食事をしようと思った家族連れまで、「子供に嫌なもの見せちゃったな」と思うのだ。

そんな醜い言葉を聞くために来たわけでもないし、嫌な雰囲気を味わいに来たわけでもない。客ハラおっさん連中は、お金を払っている側で、当然気持ちよく酔って帰ったのかもしれないけれど、周囲のゲスト達は、げんなりするわけで。

とはいえ、それが本題ではない。客ハラについては、ない方が絶対にいいけれど、それについて書きたいわけでもない。

東京のようにお酒を出すなとも思わない。お酒を飲んで暴れたり大声を出す人は一部だから、それをもって節度をもって呑む人を糾弾する気などさらさらない。

実は、この地に来て一年半ほど経つのだが、お店で大声で暴言吐くおっさんを見たのが初めてで、しかも立て続けに2回も遭遇したので、はて?と思ったのだ。

なぜ、私は今まで彼らを見たことがなかったのか?

それは、私が深夜にでかけないからである。深夜に飲みに行くこともない。そこに趣味がないのだ。

つまり、緊急事態宣言およびそれに準じる状況になったときに、かつては深夜にくりだしていたおっさん連中が、私の行動する時間帯に突入してきたから遭遇してしまったわけなのだよ。

つまり、今までは、なんとなくの棲み分けができていたんじゃないかと。

この事実に、私は深く考え込んでしまったわけよ。

海外であちこちに住んでいたけれど、どの国にも、治安の良い(教育文化水準の高い)エリアとそうでないエリアがある。良くも悪くも生活圏が分かれていて、棲み分けができていたりもする。そこに格差云々という話を絡めると、話はややこしくなるのだけれど、個々が好むコミュニティで生きられる方がいいなと思うのだ。

酔っぱらいがいるのが現実で、だからそれを避けるべきではないとか、そういう現実を子供にも見せるべきだという考えもあるけれど、私はそうは思わないかな。あえて見せる必要のないものは多々あるのだよ。かつては、日本のコンビニにはエロ本が大量に置かれていたけれど、それが現実だから子供に見せるべきだなんて、一切思わないからね。

そこから、さらに色々と考えてしまった。

これから人口が減ってくると、個々があちこちに自由気ままに住むよりも、ある程度の規模のエリアに集中して住むような方向にならざるを得ない。自治体そのものが消滅し、人間がフツーに生活するためのインフラのメンテナンスすらままならない状況になるからだ。

そうなると、かつてはうまいこと棲み分けができていたようなことも、ありとあらゆる属性を持った人たちが、ある狭いエリアに結集することを意味するわけで。かつては遭遇し得なかった人たちが、視界に頻繁に入って来るようになり、トラブルも頻発するようになるのかなと思うと、少々気が滅入る。

だからまぁ、スルー力が大事になってくるのかなと。

とは言え、10年後も客ハラがなんとなく許される状態が続くとは思えないので、あるべき姿を想像するのだが、それが意外と難しい。喫煙と同じように公的な場所では飲酒できないような未来もあり得るし、さらに野放図になっている可能性もゼロではない。お酒に頼らずとも酔った状態になる新薬が登場したりするかもね。

しばらくは、外食を控えようと思う出来事であった。

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