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「難民ワークキャンプ」の中で生まれた、揺るぎない可能性。 「共に」の精神が生んだ、涙の連鎖。

WELgeeでは、2017年11月より日本国際ワークキャンプセンター(NICE)と共同で、「難民ワークキャンプ」を開催しています。2ヶ月に1回開催し、今年10月で、10回目の開催となりました。

難民ワークキャンプとは?

難民ワークキャンプとは、日本に住んでいる難民申請者と一般の参加者が特定の地域に集まり、1泊2日または2泊3日間、地域でボランティアワークをしながら、多様な背景を持つ人と「共に生きる」を考える実体験型の合宿です。

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△過去のワークキャンプのチラシ。年齢も国籍も多様な人々が集う。

本記事では、難民ワークキャンプを担当する入江より、2019年10月19日(土)~20日(日)横浜の古民家で開催されたワークキャンプVol.10にて、「揺るぎない可能性」を感じる場面を、皆さんにお伝えいたします。

難民ワークキャンプが大切にしていること

難民ワークキャンプには、毎回様々な背景を持った人が参加されます。

今回は、17歳から58歳まで高校生や教育者(小学校、高校、大学)、お医者さん、ジャーナリストや会社員の方とアフリカから来られた難民申請者の、ユニークな参加者たちが集いました。

2日間で、共に草刈り等で汗をかき、夕食を作り、テーブルを囲みご飯を食べ、時には真剣なお題に対して、夜遅くまで「対話」を重ねてゆきます。

ここで大切にしている事は「共に」の精神です。

話すだけでは分からない、それぞれの個性やユニークさは、目の前の人の「可能性」を引き出します。

例えば、タンザニアからきた女性の方は、僕が見たとこもない全く無駄のない動きで部屋を一瞬でピカピカにしました。

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(個人情報保護の観点で、画像を加工してあります)

また、最初はシャイな印象を持っていた方が草刈りのボランティアワークを通じて誰よりも笑顔で率先してコミュニケーションを取っていた等、普段の生活では分からないそれぞれの良さを発見します。

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そして、ただ「楽しい」だけでは終わらず、参加者全員で双方向での対話を行います。

ワークショップを通じて生まれた「涙の連鎖」

今回は、世界人権宣言から、人の守られている権利とそうでない権利について意見を出し合い、最後に人権侵害を防ぐために、何ができるのかをじっくりと議論します。

国連広報センターの動画を素材に議論をし、ポストイットにまとめて行く。

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この一連の流れを通じて、ポジティブな「変化」を垣間見ました。

“難民と呼ばれる人と友達になれた事が嬉しい”
“難民という言葉が似合わず、愛の深い人達”

2日目の振り返りの場面では、今までに見た事のない「涙の連鎖」が起きました。

とある日本人参加者が話し終えた後、感極まって泣き出した時、

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タンザニアとカメール出身の女性2名がすかさずそばに寄り添い、
ぎゅっと抱き締めました。

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その後も参加者の方々の心が揺さぶられ、涙の連鎖は止まりませんでした。

きっと、参加された方は、「難しい民」の向こうにある彼らの「愛情」や「情熱」そして「可能性」に気付き、心が震えたんじゃないでしょうか。

また、難民申請者の方々は、初めて出会った参加者の一思いに感情を表す姿に導かれ、目に涙を浮かべたのでしょう。

さらに、その場では、

“難民申請者の方と守られている人権と守られていない人権を書き出すことで国によってこんなに違うんだと大きな気づきになった。”

“人権が守られていない事が、暴力や紛争に繋がると改めて痛感した。‘‘

と参加しなければ、そして出逢い、対話を重ねなければ、分からなかった大切な点にも触れていました。

そして、ワークキャンプ終了後、
“もう高校のクラスメート全員に今回の経験をシェアした!”
“難民の方々の日本語教室のボランティア申し込んだ!”
“この経験を大学の学生達に教えて、恩送りする!”

と素敵な次なる行動を教えてくれました。

多様な人と共に生きることは、社会の負担ではなく、大きなチカラになる

このように、ワークキャンプでは、たびたび内なる情熱が点火した場面に立ち会います。

素敵な涙の連鎖は、参加された方々の「可能性」や「情熱」という種を植えるきっかけになりました。色んな実体験を通じて「共に過ごした時間」は、やがてその種が発芽(行動)に変化するでしょう。

それは、異なる人と共に生きていく原動力であり、社会を変えるムーブメントに繋がる大きな「青葉」になると、強く信じています。

日本に住む難民申請者の方々は、極めて厳しい現実に直面しています。
国内における国境を超えた外国人の方々は、重大な人権侵害に晒されており、時に無力さを痛感せざるを得ません。

しかし、「共に」の精神は、その無力さに抗い、可能性を照らすきっかけになります。

ワークキャンプを通じて確信している事は、
多様な人と共に生きることは、社会の負担ではなく
大きなチカラになるという事です。

異なる他者の声に耳を傾け、対話を重ねる事により
世界と日本の潮流である暴力、分断、排除の力学から
協力、連帯、共生型の社会を共に創っていきませんか?

次回ワークキャンプvol.11は、2月28日開催

次回のワークキャンプvol.11は2020年2月28日 ~ 3月1日開催予定です。場所は東京近辺を予定しており、詳細は未定です。

ご関心ある方は、下記までお問い合わせ下さい。
nanmin.workcamp@gmail.com

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