見出し画像

ゲイバーが苦手だった話

若かりし頃。
ゲイバーに夢と希望を抱いていた。
しかし、二丁目のゲイバーにひとりで乗り込む勇気はなく、たいていは「友達の行きつけについていく」パターンだった。

そこで話が合いそうな店子がいると一人でも通うようになり、「仕事帰りに二丁目で一杯」なんて生活を数年間は送っていた。
通っていた店が数軒あったけど、お目当てのスタッフ(話ができる店子)がいなくなってしまうと、自然と足が遠のいた。

そう、俺は飲み屋で「話ができない」のであった。
コミュ障とかそういうのではなく、単なる人見知り。
なにを話していいのかわかんないんだよね。

俺は、それほど趣味も多くなく、当時からテレビを観ない人種だったので、とにかく話の引き出しが少ない 笑。
そして、話のふくらまし方が下手。
友達に連れられてとはいえ、初めての店は苦手だった。

店子:「え、いくつですか?」
俺:(〇〇歳)
店子:「え、彼氏とかいるの?」
俺:(あ、今はいないです)
店子:「え、どういう人がタイプ?」
俺:(割と誰専かも)
店子「あ、いらっしゃいませ~!」
(会話終了)

テンプレにも対応できないなんて、俺終わってる。
気の利いたツッコミもできないし、ホゲ散らかすわけでもなく。
そしてなにより「酒が弱い」。酒が飲めないうえにトークもできない。
飲み屋での俺は単なる「つまらない人」なのである。

友達が一緒にいればそれなりに賑やかにしていたけれど、それも「友達と」であって、「お店の人と」や「ほかのお客さんと」ではなかった。

そんなだから当然自分では新規開拓などしない。
他力本願のくせに「ゲイバーこそゲイの友達作りの基本」と考えていた俺は絶望した。

「隣に座ってるお客さんに話しかけてなにかが生まれたりするんじゃないの!?」
「恋したー!フラれたー!ってママとか店子に相談するんじゃないの!?」
理想と現実はかけ離れすぎていた。

とまぁ、俺は苦手意識が拭えないままになってしまったが、普通に酒が飲めて、初対面の人とでも話すことが楽しいという初心者ゲイの方は、ぜひ行ってみてほしい。

多分ね、世界が変わる。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?