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映画「哀れなるものたち」を観てきた

こんばんは。テディです。

今夜は映画「哀れなるものたち」の感想を書くことにしました。読み返してみるとネタバレも含んだ感想になっているので、もしこれから観る!という方がいたらお気をつけください!

感想文といえば、数年前に
映画「グレイテスト・ショーマン」を観た時、
『この感動を忘れまい!!』
と携帯のメモ機能に感想を数行メモしておいたことがあるだけで、

こうして文章にして感想をnoteにまとめておくのは初めてなので、少し緊張しています。テヘ。



まず初めにこの映画のあらすじを紹介します。

天才外科医によって蘇った若き女性ベラは、未知なる世界を知るため、大陸横断の冒険に出る。時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を知ったベラは驚くべき成長を遂げる。

© 2024 20th Century Studios


この映画は、生を受けたときから
"たまたま"身体が成人だったとある女性の物語。

『女に生まれた時、考えること』
が詰まった映画だと私は思いました。

私の場合、ほとんどのシーンでベラの気持ちや行動に納得がいったし、自分は今どの段階にいるんだろう?とも考えました。



この映画では18禁である所以の濡れ場(劇中では”熱烈ジャンプ“と称されている)シーンがあります。

この熱烈ジャンプですが、
劇中結構多くて私は少し疲れました……笑

ですが、ベラの成長過程を表現するには致し方なかったのかなと思います。

テーブルにある果物や野菜で自慰行為をしてお手伝いさんをアタフタさせるシーンは印象的で、

『本能のまま生きる赤ちゃんの脳』が『大人の欲求』を抑制できなかった、という普段の生活では有り得ない状況をこの映画の中では目の当たりにすることができます。

胎児の脳を移植する手術を終えて間もない、『脳は赤ちゃん』で『身体は大人』なベラが、ベッドに横たわるシーンがあります。
結構長かったし足元しか映されて無かったけど、なんだか目が釘付けになっていました。



ベラがエロ弁護士と駆け落ちをするシーン。

人間は『安全なところで生きる』ことより『自由に生きる』ことを優先する生き物だということを表現していると感じました。

まるで現状にむしゃくしゃした不良少女が勢いに任せて家出をするみたい。

私の目には思春期を迎えた人間と重なって見えました。



他の男と熱烈ジャンプ紛いのことをしたベラに対して、嫉妬に狂ったエロ弁護士がベラを豪華客船に誘拐する章。

どこにも逃げられない海の上。そんな海に浮かぶ豪華客船で出会ったお金持ちの老婆と一緒にいた青年は、『読書・対話することで知が得られる』
ということを教えてくれます。

その人たちと、読書をしたり意見交換をすることで、ベラは新しい知識や多様な視点から物事を見る方法を学びます。

するとだんだん”熱烈ジャンプ“への興味は薄れ、本を読む時間が増えるベラ。

今までは「面白そう!」と思ってここまで付いて来たエロ弁護士を見る目も変化していきます。

今までは
「逆らうと怖い、でもセックスが上手なお金持ちおじさん」だったけど、この時には
「お金に物を言わせる事しかできない "哀れな" おじさん」のようです。



豪華客船が途中に寄った島を船から見下ろす場面。ベラは、島にいる貧しく争いの絶えない人たちを目撃します。

その現実に、悲しさと、何もしてやれない自分に対しての苛立ちか、ベラは泣きじゃくります。

「まるで映画『火垂るの墓』を
観ているときの私じゃないか!」
と変な角度からの共感をベラにしました。

泣きじゃくり、何かあの人たちに何かできることはないかと考えるベラ。考えた末、寄付する為に船員にお金を託しますしますが、お金を受け取った船員はそのお金を自分の懐に入れるのでした……

少しずつ知が付いたとはいえ、まだまだ無知なベラは人を簡単に信じ、騙されたことにも気づきません。

私は、自分もこうはなっていないといいなと思いました。……でも、なってる時あるんだろうなぁ。



ベラが娼婦になる章では、身体を売ってお金を得たベラに対してエロ弁護士が怒り狂います。

これって、自分の好きな女が他の男と寝たことに妬いて怒ったのか、それとも、自分無しで生計を立てたベラを目の当たりにして自分の存在価値を見出せなくなったからなのでしょうか。

娼婦の世界はどこでも厳しい。そんな風当たりの強い娼婦の世界でもベラは考えること、生きることをやめません。

知識を得るために売春宿に来る自分の客から話を引き出したり、自分が不快に思うことを客に伝え妥協策を提案したり、色々と工夫をしながら働きます。

娼婦の仕事をしながらも、腐らずに
勉強をし続けるベラ。逞しいです。



どんな話の流れだったか、ベラがゴッドの弟子と散歩をするシーンがあります。

そこで、ベラが
「私達、婚約してるけど結婚はどうする?」
的なことを聞きます。

すると、弟子は
「結婚したいと」
言うんです。ビックリ。

ベラが
「私、いろんな人と”熱烈ジャンプ“したことあるけどいいの?」と聞くと、

弟子は
「他の男とされるのは嫉妬するけど、君の身体だから君が決めたらいい」
的なことを言ってくれます。

キュン。

自分の恋人がこういう人なら、他の人で欲を満たしたいとは考えもしないだろうな、と思ったり。

ヤキモチも、嫉妬も、
方向さえズレなければ
トキメキになるんだと思いました。



その後、ベラはゴッド立会のもと弟子と結婚式をします

が!

なんやかんやあってベラは"ベラの身体の持ち主"の夫と暮らすことを自ら選ぶんだけど、
この男が!もう!スーパーモラハラパワハラマタハラ男です!ベラを監禁するし、ベラの身体の持ち主が心を病んだ形跡が家にあるし、ベラに酷い事をしようと考えているし。

で、ベラはこの冒険でたくさんのことを学んできたので、この夫と一緒に居るのはキケンだ!と察知できます。

そして夫と対峙します。
そんな劇中、ベラはこう言います。

「冒険心を失うのは楽になること」

もし考えることをやめたら
もし知識を得るために工夫することをやめたら
もし知らないことを知らないままでいたら
前例に則って生きていくだけだから
疲れないし、スムーズで、平凡で、安全で、楽。
殻に閉じこもったも同然。
殻に閉じこもっておけば、
攻撃されても大したことありません。
もし心を病んだとしても
病んだことにすら気付かないでしょう。

私もベラのように、自ら冒険に出て、自分の力で知識や経験を手に入れて、その結果、自分のやりたい事を堂々とできる、そんな人間になりたい。
そんな実の詰まった人生を送りたい。

この台詞を聞いて、あんなに幼かったベラが成熟してきているのをヒシヒシと感じました。



夫と対峙する中、ベラは夫の足を撃ち抜きます。
トドメは刺しません。ベラは同情心でなのか、夫をゴッドの研究所に引きずって連れて帰ります。
そして自らの手で、自らが施されたのと同じ手術をします。夫の頭蓋骨にヤギの脳みそを移植する手術です。自らの手で手術が出来ちゃうなんて、これまで勉強し続けてきた努力の賜物ですね!

手術は無事成功。ヤギ化した夫を庭で飼い、ゴッドの弟子と自分を育ててくれたお手伝いさんと娼婦仲間の女の子と自分が施されたのと同じ手術を受けた女の子と幸せに暮らすのでした。

めでたしめでたし。



果たして『哀れなるものたち』とは誰だったのか。映画を観終わって考えてみました。

考えれば考えるほど登場人物全員が哀れなようにも思えたし(親に実験台にされてきた・自らも同じことをベラにしてきたゴッド、そんなゴッドに育てられ、関わった人間の影響をモロに受け波瀾万丈な人生を送るベラ、お金やセックスに夢中になりつつも最愛のベラに振り回されるエロ弁護士……などなど)

それでも登場人物のほとんどは何かしらの目的や信念を持って生きていて、それぞれ多種多様な幸せを少ないながらも持っていたように思いました。



この映画はマズローの5段階欲求が順に満たされていくのを見ることができると思います。
生理的欲求が満たされて初めて心の拠り所を求めるし、安全が確保されると何か団体に属してみたくなる。仲間ができると認めてもらう為に行動するようになるし、全てが満たされると自分の可能性を発揮して自己実現できるようになる。
この映画の最後もそれを表現したような終わり方だったように思います。

衣装も魅力的でした。
映画やドラマの衣装って、その役の感情を表現していることが多いように感じていたのですが、
この映画の衣装や色合いはベラの成長具合に影響を受けて変化していっているように見えて面白かったです(精神が未熟な時と熟している時とでは色合いからデザインまで、もう真逆!)。

あと演出が激動というか、目まぐるしくて、有り得なくて、まるで夢の中にいるみたいな感じでした。目がずっと楽しい映画!

それと、ベラの強い情動を演技で表現するエマ・ストーンに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

美しくて、幼くて、緻密で、狂気。

きっと精神を擦り減らしながらのお芝居だったに違いありません。



映画を観る→感想を書く→よく分からない文章が出来上がる→自分の頭で一回消化してみる→感想を書くのに飽きる→でもやっぱり書いてnoteに載せてみたいと思う→感想を書き直す

という風に、文章が完成するまでに約1ヶ月かかりました。の割に、かなり平凡な感想文になっていると思います。ハハ。

どこかの誰かがひとりでも読んでくれたら嬉しいです。

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