温泉むすめとは何だったのか

はじめに

今年色々あった温泉むすめ界隈だが、「自分にとって温泉むすめとは何だったのか?」を改めて考える機会となった。
2021年の書き納めとして、その散らかった思考の断片(という名の自分語り)をまとめた。

温泉むすめとの出会い

そもそもの出会いは2017年、コミケ(C92)でブースを見かけたことだった。
当時はまだ学生で、今ほど熱を入れることも無かったのだが元々旅行や温泉が趣味だったこともあり何となく気にはしていた。余談だが、当時から「駅メモ」や「温泉幼精ハコネちゃん」といった旅行や温泉×萌えなコンテンツが好きだった。

転機は旅行会社に就職し、観光というものに人生の大きな部分を賭ける覚悟を決めた時だったと思う。
それまでは一人のオタクとして「ご当地×萌え」なコンテンツをただ消費するだけだったのが、どうすれば観光や地域を盛り上げられるかを真剣に考えるようになった。そしてその手段として温泉むすめはとても有力なのではないか?と思ったのである。
(配属されたのはなぜか情報システム部門だったのだが…)

そういう訳で、もちろん温泉むすめの関係者でも何でもないのだが、それまでの1ファンとして以上にこのコンテンツを勝手に自分事のように思うようになってしまった。
初ボーナスをゆのこれ(温泉むすめのソシャゲ、現在はサ終している)に費やしたのも今では良い思い出だ。

新型コロナとご当地萌え

そして時は経ち2019年、新型コロナウィルスが世界を襲う。
毎週のように取引先施設の廃業情報が流れてきたり、旅行そのものが不要不急とされて自分の存在意義を見失ったりと辛い日々が続いた。
そんな中で「ご当地×萌え」は観光や地域を救う手段となるのではないか、という考えは日増しに強くなっていった。
(それが確信に変わったのはあるご当地vtuberのお陰なのだが、それはまた別の記事で)

こういうコンテンツでその地域のファンを獲得できれば、人が動かなくてもお金を地域に回せる。時勢が良くなればその人達に実際に来てもらえるかもしれない。
そして何より、「観光」は決して価値の無いものなんかじゃないんだと証明できる。
大げさかもしれないが、まさに暗闇に差した一条の光だった。
インドア派が多いイメージのオタクだけど、そういう人達にも観光の素晴らしさを知ってもらいたい。旅行会社に就職したそんな動機も思い出せた。

自分の旅行と温泉むすめ

話は変わるが、上記の通り元々旅好き・温泉好きなだけに温泉むすめというコンテンツを見つける前から様々な温泉地には行っていた。温泉むすめのお陰でこの温泉地を見つけられた!ということはなかったように思う。
しかしそれぞれの温泉地の中の細かい場所まで考えると、温泉むすめがなければ知ることも無かったであろうスポットはたくさんある。

旅好きを名乗っておきながら聞いて呆れる、と思われるかもしれないが日本は一人の人間が回るにはあまりにも広い。自分の性格的に、おそらく一度行った温泉地に再び足を運ぶよりも先にまだ行ったことの無い場所へ行こうとしただろう。そうしないととても日本は回りきれないという強迫観念に囚われていた。
しかし仁和寺の法師の石清水参りではないが、一度行っただけでその土地の本当の魅力に気付けていただろうか?今考えると温泉むすめを知る前は、ちょっと温泉に浸かってご当地グルメを少しばかりつついて終わり、そんな旅行が量産されていたように思う。

温泉むすめというコンテンツは温泉だけではなく、その地域の特色全般にスポットライトが当てられる。その場所の歴史をモチーフにしたキャラクターもいれば、その土地のお祭りを設定に盛り込んでいるキャラクターもいる。
それらのキャラクター達をいわば羅針盤のようにして、一度では気付けなかったその土地の魅力に触れることができる。自分の旅行において、温泉むすめはそういう存在になっている。

おわりに

改めて、自分にとって温泉むすめとは何だったのだろうか。

観光の素晴らしさを広めたい一人の野心家に対しては希望や可能性を見せてくれた。
色々な場所に行かねばと焦っていた一人の旅好きに対してはその土地をじっくり楽しむことの面白さを教えてくれた。

温泉むすめは温泉を教えてくれた訳ではなかったけれど、それとは別の大切なことを自分に示してくれたように思う。

そんな訳で。
今年一年ありがとうございました。そして来年もよろしく、「温泉むすめ」の皆さん。



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