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【アーカイブ】夜の挿話3(無題)

真夜中にひとりでテレビを観ている。
そこには、ひとの好さそうな(頭は悪そうだけど)ひとがたくさん映っていて、幸せそうに笑っている(テレビの音を消しているので、何を話しているかは分からない)。

あそこの夜も、この夜とどこかで繋がっているんだと思うと、誰かの体温を感じるように不思議と安心する。
――ついこないだまでは、幸せそうなひとたちの中にいると、余計に孤独を感じるなんていうふうに思ってなかったっけ。
――ああそうか、どん底だと思っていた今も、あの頃よりはましなんだ。

弱々しいため息は、いとも簡単に夜の闇に溶けていった。

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