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Weekly China 3/29's Articles

皆さんこんにちは!Weekly China編集部です。
関東では雪が降り、桜と雪のコラボレーションが奇跡的に見れた一日となりました。そんな中、Weekly China第三回目の記事は!

新スマホ発表 ファーウェイ、シェア回復なるか

図1

要点
①新シリーズP 40を発表。Googleサービスは利用不可か
②2019年前半にはシェア拡大するも、Appleに再びシェア奪われる
③中国他社メーカーの追い上げも
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  AppleやSamsungとスマートフォン市場で競争を繰り広げる、中国大手通信機器メーカーのファーウェイ。米中貿易摩擦による影響で、いくつかのモデルには、Googleのサービスが利用できるGoogle Mobile Service(GMS)が搭載されていない。
  GMSが搭載されないのは、26日に発表された新モデルP40シリーズも同じだ。ファーウェイ独自のHuawei Mobile Service(HMS)が搭載されるため、Googleのサービスは利用できないとされている。
  Google抜きの競争を勝ち抜こうとするファーウェイが発表した新モデルの一つ、P40 Pro+は、その性能を多くのメディアが取り上げた。背面には、4つのレンズを搭載。最大100倍までズームが可能になった。
  ファーウェイは、2011年あたりから世界のスマートフォン市場で頭角を現した。政治的な影響を受けながらも、そのシェアは順調に拡大。2019年第1四半期にはAppleを上回る19%に到達し、シェア1位サムスンの23%に迫る勢いだった。ところが、2019年第4四半期には、シェアが15%に減少。Appleに追い抜かれた。中国国内のシェアを見ても、第3四半期の40%から35%に減少した。 
  iPhone11シリーズが9月に発売された影響も考えられるが、中国他社メーカーのシェアは2%程度の減少となっている。中低価格の製品を販売する他社は少しのダメージで済んだようだ。

図2

  実際に、中国都市部では、Appleストアをよく見かけるが、内陸部へ足を運ぶと、OppoやVivo、Xiaomiなど、ファーウェイより低価格のスマホ販売店が増える。1万円ほどで購入できるスマートフォンも多い。経済的にあまり裕福でない内陸部では、比較的高価格なAppleストアはほとんど見ない印象だ。
  Google抜きでの競争を強いられ、国内では他社メーカーの追随を受けるファーウェイ。4月から発売されるP 40シリーズは、どこまでシェア拡大に貢献できるのだろうか。

アリババ傘下タオバオの正式参入より競争が激化する中国のC2M市場

図3

要点
①アリババ傘下のタオバオがC2M戦略の要として「タオバオ特価版」を正式ローンチ
②「スーパーファクトリー計画」「百億産業区計画」とともに、C2M戦略を後押し
③中国で盛り上がるC2Mモデルの動向
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  アリババ傘下のタオバオは、中国で高まる消費者のC2Mモデルへの需要に対応するため、3月26日に「タオバオ特価版」を正式ローンチした。
  C2M(customer-to-manufacturer )とは、プラットフォームに溜まったユーザーの嗜好や位置情報、行動パターンをAI分析することで、工場がより消費者の趣向に合った商品をリアルタイムに開発・生産することを可能にする。また、より正確な需要予測に基づいて生産するため、倉庫管理費などの中間マージンを削減し、工場から消費者に商品を直接届けることで、カスタマイズ商品の低価格化を実現する。実際にアプリ内では、3月29日に工場からの商品を安く買えるキャンペーン「工場直購節」を行っている。

図4

  また、アリババ副総裁であり、タオバオC2M事業の責任者である汪海は、アプリの正式ローンチと同時に、工場のデジタルトランスフォーメーションを促進することで、今後3年で1000の工場が、それぞれ1億元以上の生産高を生むことができるようにする「スーパーファクトリー計画」や、中国内の10の産業クラスターの生産高をそれぞれ100億元にする「百億産業区計画」の三本柱により、同社のC2M戦略を推進していくことを発表した。
  中国のC2Mモデルに関しては、特に価格に敏感な三級都市以下の消費者の、低価格かつカスタマイズされた商品への高まる需要に応じるべく、JD.comやPinduoduo、そしてNetEaseが既に2019年から本格的に始動していた。タオバオによれば、今年の3月8日の*女王節では、C2Mモデルで製造された商品の注文回数は、前年比で370%も増加し、また今回発表されたC2M戦略により、3年で新たに100億回の注文を工場にもたらすと宣言した。ビッグデータやAI技術を駆使した新しい生産モデルが、中国の消費者行動をどのように変えていくか、今後の動向に注目だ。

*女王節とは、3月8日の国際婦人デーに由来する、主に女性消費者をターゲットにした一大商戦であり、実店舗やECを問わず、多くのお店がキャンペーンを行う。

新型コロナにより注目を浴びるオンライン診療―「百度」が仕掛けるオンライン病院とは

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要点
①バイドゥが銀川市においてオンライン病院を開設
②新型コロナによるオンライン医療サービスの需要が急速に拡大
③オンライン医療サービスが国家医療保険に適用。さらなる需要拡大へ
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 中国サーチエンジン最大手である「百度」(バイドゥ)は今月18日に中国・寧夏回族自治区銀川市にて「銀川百度健康互聯網病院有限公司」を設立したことを24日に発表した。
  “互聯網病院”とはいわゆるオンライン病院のことであり、主にオンライン上にて健康診断や、遠隔診療、処方箋の発行、医薬品の送付(デリバリー)などと、通常の病院が受け持つ医療業務をオンライン化した事業のことを指す。中国では、早くも2018年4月28日から中国国務院(日本の内閣にあたる)が「“インターネット+健康医療”の発展を促進するための意見」*というオンライン医療に関する指導意見を発表し、同年7月17日には“三大オンライン医療条例”と呼ばれる「オンライン診療管理条例」、「オンライン病院管理条例」、「遠隔医療サービス管理条例」を試験的に施行。これを機に多くの医療系オンラインサービスが誕生し、総合病院なども受付サービスや簡易診断サービスをオンライン上で提供し始めた。
  バイドゥが今回オンライン病院の設立に踏み切った背景には、新型コロナによりオンライン医療サービスの需要が急速に高まり、既存ユーザーがオンライン医療サービスへの定着化が進んでいたことである。また、今月2日には国家医療保障局、国家衛生健康委員会が“インターネット+健康医療”サービスを利用し、生じた費用に対して国が定める条件を満たせば、国家医療保険の適用を可能とする方針を打ち出した*。これらの政策により、オンライン医療サービスはさらなる発展を遂げ、新型コロナ以降もオンライン医療サービスが中国において定着すると予測される。
  バイドゥのオンライン病院については未だ多くのベールが包まれているが、バイドゥにとって、オンライン医療サービスに進出するのは何もこれが初めてではない。2010年に早くもBATの中で率先してオンライン医療サービスへの参入を表明し、遠隔診療や医薬品のECなどを手掛けていたが、いずれも不発。対するアリババやテンセントは後発優位性を生かし、市場へと参入。新型コロナが爆発的な感染拡大する中、アリババの「阿里健康」やテンセントが支援する「WeDoctor」などといった医療サービスが躍動するが、そこにはバイドゥのサービスの影がなかった。
  新型コロナを機に、急速に発展を遂げた中国のオンライン医療サービス。今月に入り、バイドゥ以外にも世界最大の美容整形医療プラットフォーム、「新氧」(SoYoung)もオンライン病院の設立を24日に公表した。BATや大手医療サービスがこぞって参入するオンライン病院事業、今後もその動向から目が離せない。

*《关于促进“互联网+医疗健康”发展的意见》(“インターネット+健康医療”の発展を促進するための意見)
*《互联网诊疗管理办法(试行)》(オンライン診療管理条例)、《互联网医院管理办法(试行)》(オンライン病院管理条例)、《远程医疗服务管理规范(试行)》(遠隔医療サービス管理条例)
*《关于推进新冠肺炎疫情防控期间开展“互联网+”医保服务的指导意见》(新型コロナウィルスにおけるオンライン医療サービスの医療保険適用に関する指導意見)
*バイドゥが寧夏回族自治区銀川市にてオンライン病院の設立をした理由として、銀川市にはオンライン病院の産業クラスターが存在し、バイドゥ以外にも、アリババやジンドンなどといった大手IT企業が多く銀川市においてオンライン病院の開設をしている。

図5

バイドゥ社のサービスではなく、中国平安保険が提供する「平安好医生」。「新型コロナウィルス専用ホットライン」をクリックすると、チャットボットを通じてユーザーの健康状態を診察し、その情報をもとに遠隔診療する。中国ではこのようなオンライン医療サービスが2018年頃から普及している。
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By Weekly China編集部
March 29th, 2020

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