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『フォトグラファーっていけ好かない』って記事を書こうとしたのに、気づいたら感謝が溢れて止まらなくなった - 『閃光少女(東京事変)』を聴いた後に

今日紹介する曲『閃光少女』sung by 東京事変

2019/11/24作成

僕ら世代の中でSNSのメインツールとなっているInstagram。日々さまざまな写真を見かけます。

でも、僕はフォトグラファーって何だか気にくわないんです。
ところがその理由を考える過程で、気づいたら彼らへの感謝が止まらなくなってしまいました。

今日は綺麗な起承転結をお見せできると思います。

1.起 : フォトグラファーっていけ好かない

僕は今月タイでインスタ映えするスポットを巡って、その写真をSNSにアップしました。

昨日はフォトグラファーがヒーローの小説を書いたりもしました。

でもなんででしょう? 僕はフォトグラファーって気にくわないんです。

僕にもカメラを趣味にしている友達はたくさんいますし、その中にはフォトグラファーも居ます。
みんないい人たちです。旅行に同行してくれると非常にありがたいし、写真をもらうこともあります。
でもね? フォトグラファーという人種全体で考えると、どうしても好きになれない。

僕が彼らを好きになれない理由は、彼らがアップする写真にあります。特に「青春系」と「ラブグラフ」です。
例えば…で写真が出しづらいので、自分で撮ってきました。

「青春系」の写真の例を挙げると…

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みんなで足を踏み出すポーズ。
皆さんもInstagramなどでよく見かけることでしょう。

この写真、撮るの結構大変でした。
普段怠惰な生活をしているから、姿勢が安定しません。何度も失敗し、ようやく綺麗に撮れました。結果お尻は筋肉痛です。

Instagramでは10人前後がこの様なポーズをしている写真も見られます。よく綺麗に撮れますよね。フォトグラファーは普段から長友佑都ばりに体感トレーニングでもしているのでしょうか?

続いて「ラブグラフ」で言えば…

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木陰で抱き合い、愛を確かめあうカップル。
誰も付き合ってくれず、僕1人でやるしかなかったのは大変遺憾です。

全力過ぎる表情の写真をよく見ますよね?
カメラマン側の技術力もあるでしょうが、僕は数十秒この顔をさせられ、表情筋が固まるかと思いました。
左之助と戦った後、翌日まで顔の力みが取れなかった剣心みたいになるところでした。

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(↑るろうに剣心で好きなネタなんだけど分かる人いる?)

すごく楽しそうなのは伝わってくるんですが、撮影時の努力が透けて見えるし、不自然に感じてしまいます。
内輪だけなら楽しく見れるはずなのに、それを外部に公開して滑ってる感がしてしまうのです。

そもそも僕は「写真=体験を記録するもの」だと思っています。そこに認識の違いがあるのかもしれません。

2.承 : 林檎姐さんが「写真機は要らないわ」って言うから…

切り取ってよ、一瞬の光を
写真機は要らないわ
五感を持ってお出で
私は今しか知らない
貴方の今に閃きたい

『閃光少女(東京事変)』より

僕にとって写真とは「体験を記録するもの」という意味しかなく、「人に見せるアート」としての側面を考えたことがありません。

だってそうじゃないですか?
景色の写真にしてみてもそう。カメラの技術がどれだけ進歩しようとも、自分の目で実際に見た景色の綺麗さには到底及ばないのですから。

我らが林檎姐さんは「写真機は要らないわ。五感を持ってお出で」と言いました。
皆さんには、圧倒的な景色を前にカメラを手放し、ただ立ち尽くした経験はありますか?

(↑グランドキャニオンを訪れて。圧倒的なスケールを持つ自然こそ、実際に自らの目で見ることに価値があると思う)

追い求めていたモノを前にして、必死に目に焼き付けようとした経験はありますか?

(↑念願だったモネの『散歩、日傘を持つ女性』を見て。遥か昔から数多の人を惹きつける絵画の魅力、その歴史の重みは、決してカメラでは表現しきれないもの)

人の五感で、視覚の持つ情報は8割と言われています。8割なので、人はほとんどの情報を視覚から得ていると言えます。記録媒体として、カメラほど優秀なものはないでしょう。
しかし、されど8割です。そこに流れる音や空気感, 匂いを表現することはできません。
さらに視覚も、ファインダーを通して四角く切り取られてしまいます。そこにある立体感やスケール感までは表現できません。
綺麗な景色を見て思わずカメラを起動したのに、写真見ると「あれ? 実物はもっと綺麗なのに…」と思った経験は誰にでもあると思います。

友人や恋人との写真ならなおさらです。そこに込めた思い出は、決して視覚だけに収まるものではないのですから。

だから僕にとって写真は体験の記録装置でしかないのです。
景色の写真を見て、そこの空気感やそれを見た時の感動を思い出す。
友人や恋人との写真を見て、当時の会話や出来事も含めて思い出す。
それは実際にその体験をした僕が見ないと意味のないものです。

それなのに、フォトグラファーは観光名所の写真や仲間内の写真, さらには知らないカップルの写真まで堂々とSNSにアップする。さも、その写真に普遍的価値があるように。
それがいけ好かない。「ただの記録媒体なのに、知らない人にまで見せびらかしてどうするの?」と思ってしまうのです。

3.転 : 写真には心象風景を思い出させてくれる力もある

そんな僕ですが、意外と好きな写真のジャンルがあります。

ただの空や街並み, カフェの写真です。

「青春系」「ラブグラフ」と並んで三大世間に嫌われる写真のひとつ。アメトーークで小藪がボロクソに言いそうです。でも僕は好き。

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(↑photo by タクマツカモト @65th.shoppappiiii

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(↑photo by ゆい @yuuiii1219
カフェ巡りが趣味で、可愛いカフェにたくさん行っています。)

なんだかエモくないですか?
実際にそこに行ったことがなくても、心が揺さぶられます。落ち着いたカフェで、ゆっくり集中して作業している気分になることもできます。

レタッチされ綺麗になった景色は、きっと僕の心象風景を思い出させてくれるのです。
僕の心に大切にしまっている風景に、そっと触れてくれる。そして、懐かしくさせる。

もしかしたら、写真には僕の想像以上の力があるのかも知れません。

そう思うと、以前は直視できなかった写真たちも印象が全く異なって見えます。

仲間との写真も。

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(↑photo by Sakura Kobayashi @__saku_ra
ミスチル好きなフォトグラファー)

「青春って素晴らしいなぁ」って気持ちになる。

ラブグラフも。

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(↑photo by ふみ @fuuuuumiw
ラブグラフには #幸せな瞬間をもっと世界に ってタグがあるらしい。素敵)

「恋のドキドキって良いものだよなぁ」って気持ちにさせてくれる。

そして「俺もまたかつての友達と、みんな揃って思いっきり遊びたいなぁ」とか「また恋したいなぁ」と思うのです。

これが自分の写真だと、素直にそうはいきません。
僕はもう社会人。友達とはなかなか都合が合わずに勢揃いとはいかないし、出会いもなかなかない。自分の友達との思い出の写真や、かつて好きだった人との写真を見たら、懐かしさと同じぐらい「もうあの時に戻れない切なさ」も感じてしまうでしょう。

でもフォトグラファーがくれる写真の中では、美しい色彩の中で、知らない誰かの幸せな姿が見える。
その姿は僕の閉じかけた心に新鮮な風を吹き入れてくれます。青春の疾走感や恋の美しさを思い出させてくれます。そして、また友達や恋人と幸せな時間を重ねたくなってしまうのです。

まずい。「写真って良いな」と思ってしまった。これでは記事の趣旨がずれてしまいます…。

さらに先ほども載せたタクマツカモトの写真。
彼はリアカーで日本中を歩いて旅していて、道中の景色をSNSに載せています。

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(↑青森にて。リアカーでの移動中に突然アスファルトの道路がなくなって絶望した時の写真)

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(↑綺麗な夕焼けとひたすらに真っ直ぐな道。「北海道?」って聞いたら新潟で撮ったらしい。こんな景色、新潟にもあるんだ)

何でもない風景なのに、破茶滅茶にエモい。
もし偶然同じ景色が見れたなら、僕はきっと泣いてしまうのではないかと思います。
彼の写真を通して、その風景は僕の心に刻み込まれたのです。

旅するフォトグラファーの写真を見ると、僕もそこに行ってみたくなります。彼らの写真を通して、心に刻み込まれた風景を追い求めてしまうのです。
そんな旅の形もアリなんじゃないかなと思います。

4.結 : そして、フォトグラファーへの感謝が溢れて止まらなくなった

林檎姐さんは『閃光少女』で「今この瞬間だけを見据えて、全力疾走で生きていこう」と言っています。

でも、誰しも常に全力疾走では居られないし、世界は自分で見て回るにはあまりにも広すぎます。

そんな僕らは、フォトグラファーの美しくレタッチされた写真を見て、心に刻んだ風景や幸せな記憶を思い返します。そこには、目で見る風景とはまた別の綺麗さがあるのです。
彼らの写真からは、生きる希望をたくさんもらえます。

あぁ、ほんとうにやばい。
『フォトグラファーっていけ好かない』って記事を書こうとしたのに、気づいたら感謝が溢れて止まらなくなってしまいました。

フォトグラファーの皆さん。いつもありがとうございます。これからも頑張ってください。
カメラの使い方も、よかったら今度教えてください。

ありがとう。

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今日紹介した曲

閃光少女

歌 東京事変

作詞 椎名林檎 作曲 亀田誠治

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今日現在(いま)が確かなら万事快調よ
明日には全く憶えて居なくたっていいの
昨日の予想が感度を奪うわ
先回りしないで

今日現在(いま)を最高値で通過して行こうよ
明日まで電池を残す考えなんてないの
昨日の誤解で歪んだ焦点(ピント)は
新しく合わせて

切り取ってよ、一瞬の光を
写真機は要らないわ
五感を持ってお出で
私は今しか知らない
貴方の今に閃きたい


今日現在(いま)がどんな昨日よりも好調よ
明日からそうは思えなくなったっていいの
呼吸が鼓動が大きく聴こえる
生きている内に

焼き付いてよ、一瞬の光で
またとないいのちを
使い切っていくから
私は今しか知らない
貴方の今を閃きたい

これが最期だって光って居たい

↓LINE MUSIC↓

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