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働き方改革の解釈~守られているのは命?それとも・・・?~

以前自分は、医療における働き方が仁術に回帰している、といった記事を書いた。

医療がインフラというシステマティックなものから、もっと人間的な仁術に回帰すること≒自由診療へ推移していく、という内容だ。あくまでイチ人間の妄想だと思って、気軽に読んでもらいたい。以下、医療に限らず世に蔓延する、働き方改革への何とも言えない不信感を書いていこうと思う。


働き方改革の対象は被雇用者、まずはそこ

働き方改革という言葉が声高に叫ばれるようになって久しい。労働環境の改善の風は医療業界に限らず、社会全体に努力義務として吹き込まれていった。結果、ほぼ残業がなく毎日定時上がり!みたいな職場も存在し、アフターファイブを謳歌出来る若者も増えた、ように思う。一方、それではスキルが身につかない、と危機感を訴える若手も存在している。このような現象はなぜ起こってしまうのだろうか。

働き方改革の対象がどんな属性の人間なのか、を整理してみる。それはずばり被雇用者だ。雇用主や個人事業主ではない。世の中の労働者の大半は被雇用者であり、その大多数を守るべく生じた概念が、働き方改革だ。では、雇用や個人事業主と、被雇用者の、別の視点での違いはなんなのだろうか。

被雇用者に足りないのは、”やりがい”

え、”やりがい”?と思った方もいるだろうが、ここでいうやりがいは、「与えられたタスクが出来るようになった、嬉しい」、といった学校教育の延長のような概念ではない。もっと生々しく、生を実感できる成果物だ。そしてそれは、雇用主や個人事業主が得やすい類のものだ。事業が発展することで社屋がデカくなる。頑張れば売り上げが増えて生活が豊かになる。やった分だけ成果が出て、その結果我々は”やりがい”を感じるのだ。
では、被雇用者は、”やりがい”を感じていないのだろうか?感じえない職場が多くあるのは事実だろう。
まず、残業時間に対して限度が決まった報酬しかない。では、何か会社に莫大な利益をもたらす発見をした場合、これもその人間の総取りではない。このように、被雇用者は、労働に対する「原始的な報酬系」から、透明なガラスで分断され、頭上から落ちてくる餌をもらって生きている、熱帯魚のような状態なのだ。

特に顕著なのは医療従事者。保険診療という巨大な温室

話を医療にもっていく。医療がインフラの側面を持っていることに対して、反対する意見は少ないだろう。では、インフラ維持における”やりがい”って、存在するのだろうか?当然、目の前の患者さんが笑顔になる、こういった喜びは存在する。一方で、どれだけ長く残業して患者さんを助けても、雇用主である病院、遠くに透けている国家に、直接金銭的利益を届け、報酬を受け取っている実感はほぼ無いはずだ。(助けたのが幼少期のイーロ〇・マスクならわからないが)
医療従事者は、さながら幾重にも重なったドームで「原始的な報酬系」から保護された熱帯植物園だ。この植物園から飛び出し、仁術を武器に原始的な報酬系を取り戻そうとする動きが自由診療への変遷だと、以前の記事では述べたつもりだ。

水槽の熱帯魚を、めちゃくちゃに守る。それが働き方改革

このような小見出しだとディストピア感だけが前面に出てしまう。ただ、報酬系を雇用主に差し出しているのだから、保護されていないと割りに合わないでしょ?という言い方も出来ると思う。ただ、熱帯魚に許されていた、時々水槽に自然発生するエビを食べることすら許されなくなったような気がしてしまうのだ。水槽の中で”やりがい”を見つける営みすら、奪われてしまったように思う。しかし、それも雇用主からしたら無理もない。エビを追いかけまわして、ないしはエビに反撃されて死んでしまう熱帯魚が現れたのだから。そして、熱帯魚同士の切磋琢磨も、暗黙のうちに無くなっていくのだ。そりゃあ、先輩から部下への熱い指導なんて、やるだけバカバカしいものになってしまう。

活路を水槽外に見出す

「水清ければ魚棲まず」という言葉がある。これは人格に対して表現した言葉だが、今の労働環境を表現しうる言葉と思う。ブラックだホワイトだ、という意味ではない。被雇用者がインセンティブを得る隙間すら無くなっているが不味い、という例えだと理解してもらいたい。
ただ、水がある程度汚い状況を快適なものにするには、雇用主と被雇用者が、ある程度”わかっている”ことが必須になる。お主も悪よのお、のライン引きが、現代では許されない。そしてこの言語化しづらい塩梅は、組織がデカくなるほど、違法行為の側面がデカくなってくる。現代における副業推奨は、水を汚すことの出来ないが故に生じた苦肉の策だと思う。
汚い水に生じたエビを食えないなら、時々ファインディン〇・ニモよろしく水槽から出て楽しんで来てねってことだ。帰るべき水槽がある・・・それだけでいいではないか・・・

色々書いてきたが、自分も今後の働き方に悩む一人だ。何かのヒントを得れればと記事にしたに過ぎない。これからも水槽でしこしこ頑張っていこうと思う。

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