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ノルウェーだって苦しかった 資源管理成功で水産大国に|【特集】魚も漁師も消えゆく日本 復活の方法はこれしかない[PART2]

四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれた日本。かつては、世界に冠たる水産大国だった。しかし日本の食卓を彩った魚は不漁が相次いでいる。魚の資源量が減少し続けているからだ。2020年12月、70年ぶりに漁業法が改正され、日本の漁業は「持続可能」を目指すべく舵を切ったかに見える。だが、日本の海が抱える問題は多い。突破口はあるのか。

北欧ノルウェーでは漁業が成長産業となっている。その秘訣は厳しい水産資源管理だ。だが初めからそうだったわけではない。その出発点は、漁獲量の激減だった。

文・ヨハン・クアルハイム(Johan Kvalheim)
ノルウェー水産物審議会(NSC)
日本・韓国ディレクター
ノルウェー水産大学にて水産学修士を取得。仏・国立土木学校にて国際経営学修士(MBA)を取得。ノルウェー水産大手レロイ、NSC仏・英国ディレクターなどを経て、2020年より現職。

 漁業と養殖業は、ノルウェーにとって成長産業である。ノルウェーでは水産資源は「国民の所有物」であり国が管理している。水産資源管理は、科学的根拠に基づいて行われている。国際的な水産物の需要増加と、それに応えられる持続可能な水産資源は、国内産業と地域産業に大きく貢献している。

 2021年、ノルウェーの水産物の輸出額は1208億ノルウェー㌛(約1.5兆円)と過去最高となり、300万㌧以上の水産物が、150近くの国々に輸出された。ノルウェーの水産物輸出金額は中国に次ぐ、世界第2位である。ノルウェー水産物審議会(NSC)は自国水産物の需要と消費の拡大を担っている。

 ノルウェーの水産物輸出には長い歴史がある。12世紀から主に干しダラや塩ダラとして輸出されたノルウェー産マダラは、最初の国際貿易商材の一つであった。今日でも世界各地でその痕跡を見ることができる。たとえばフランス中央部の小さな鉱山の村では、北極圏に位置するノルウェー北部ロフォーテン諸島から輸入された干しダラの記憶の証として、タラの乾燥機が取り付けられている。この小さな村での大きな祭典では、ノルウェーからの干しダラを〝良いワインができた〟というシンボルとして見なしている。その村のワインは河川輸送で仏西部のボルドーまで運ばれ、ワインとノルウェーの干しダラが取引されていたのである。村に帰るとロフォーテンからの干しダラを全ての住民にご馳走として振る舞っていた。

一時は崩壊寸前だった水産資源
今では補助金実質ゼロに

 ノルウェーにとっての漁業は、沿岸部の厳しい環境下にある人里離れた小さな村々において、極度の貧困と人々の転出を防ぐ役割を果たしていた。しかし魚が貧しいノルウェー人の主な動物性たんぱく源だったとき、……

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