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アメリカ・シリコンバレーで日本人がNPO団体を設立した話

カリフォルニアの北部、サンフランシスコ・ベイエリアで活動するWomxn’s Collaborative、愛称「ウィコラ」。

昨年末にボランティア活動13周年を迎え、この5月にはNPO団体になりました。

13年経った今、なぜNPOになる道を選んだのか。
活動の想いや今後の展望について代表の祥子さんに伺います。

代表の小谷祥子さん

<聞き手=みほ>


■ アメリカでの活動13年の歴史

みほ:
NPO団体設立、本当におめでとうございます!
まずウィコラのこれまでの活動について、改めて教えてください。

祥子:
ありがとうございます。

始まりは私が始めた小さなドゥーラ*ビジネスでした。

*ドゥーラは、妊娠・出産・産後をサポートする専門家です。

ドゥーラ活動の一環として細々と始めた小さなグループに、どんどん仲間が集まってくれて。
今では30数名のコラボレーターで構成されています。

みほ:
すごい人数ですね。
13年続けて来られたからこその広がりでしょうか。

祥子:
そうですね。

やめようと思ったことも何度もありましたが、
仲間が仲間を呼んでくれて、ここまで続けてこられた感じです。

みほ:
仲間の存在あっての今、なんですね。

祥子:
一人だったらとっくに辞めてたと思います(笑)。

当初は妊娠・産後を軸に活動していましたが、
メンバーが増えたことも相まって

現在は「女性とafab*の一生・地域の健康に寄り添う」をテーマに、協働しています。

*afab は assigned female at birth の略。出生時に割り当てられた性別が女性の人という意味。

主な活動としては、毎月数回オンラインで開催しているサポート会やイベントですね。

コラボレーターの皆さんと(11周年記念時)

みほ:
13年続けてこられて、このタイミングでNPO立ち上げに舵を切ったきっかけや、理由は何かあったんでしょうか。

祥子:
NPOになったほうがいいと、ずっとどこかでは思っていたんですよね。
でもまぁ、手間もお金もかかるし、何もしてこなかったんです(笑)。

そんな中、私自身2ヶ月間仕事を休むことになり、まとまった時間ができて。

今まで13年の歴史の中で積み重なってきた色々なきっかっけと、

急に人生に空白ができたことで、今しかない!と動き出しました。

全てはこのためだったのかな、とさえ思います。
13年間蒔いてきた種が、今ぶわーと一気に芽吹いてきた感じてすね。

みほ:
鳥肌が立ちますね!

■ 社会貢献に対価をお渡ししたい

みほ:
ここまで13年間、ボランティアとして活動されてきて、継続の限界なども感じていたのでしょうか。

祥子
まぁ、ボランティアだと本当にお金がないんですよね(笑)。

手伝ってくれる人に対価を払いたい、と思ってもお渡しできるものがなくって。

みほ:
なるほど。

祥子:
ありがたいことにウィコラの活動を手伝いたい、と集まってくれる仲間がすごく増えて、サービスもどんどん増えて。

そうなると、一気に裏の仕事も増えるんですよね。
それを今までは全部ボランティアで手伝ってもらってて。

そこにしっかりと対価をお支払いしたいんです。

みほ:
対価という見える形でお渡ししたい、ということですね。

祥子:
はい。

でも、参加者さんの負担は増やしたくなくって。
今あるピアサポート*活動は変わらず無料で続けて行きたいと思っています。

*同じような立場の人同士がサポートし合う場や状況。

そのために寄付が集まりやすい体制を考えると、
やっぱりNPOになることが避けられないんですよね。

NPOだと企業に対して大口の寄付のお願いがしやすかったり、
助成金・補助金に応募する条件も満たせたりします。

プロボノで作っていただいたロゴ

みほ:
そうなんですね。
NPO団体という肩書きを手に入れた今、その想いはどうですか?

祥子:
女性って社会にとって大事なことをたくさんしてるんですよね。
例えば家事とか子育てとか。

でもその価値がなかなか認められていないのが今の社会システムで。

あとはボランティアでしか自分の力を発揮できない、という人がいたり。

社会にとってすごく大事なことをしている人たちに、ウィコラがお金という見える形で還元したい、という想いが今はとても強いです。

みほ:
なるほど。
ウィコラの掲げる「女性とafabの健康」にも繋がりますね。

■ ないものは自分たちで作っていく

みほ:
今後の展望として何か考えてることはありますか。

祥子:
私たち日本人が、アメリカという異国の地で暮らしていくって、すっごく大変なんですよね。

だから自分たちで自分たちに優しい場を作って行きたい。
アメリカで「日本人がイキイキと活躍できる場」を増やしたいという想いもあります。

みほ:
確かに。
アメリカにすでにある団体にそれを求めるのは難しいですね。

具体的なアイディアなどあるんでしょうか。

祥子:
アイディアはたくさんあって、スマホにメモしてるんですけど(笑)。

1つはウィコラの原点でもある、ドゥーラ・プログラムを作りたいです。

妊娠・出産・産後だけではなく、生まれてから死ぬまで、人生において寄り添ってくれるドゥーラを考えています。

例えばアメリカでの生活立ち上げや、ヘルスサポートやグリーフ*だったり。
異国の地で家族と離れて暮らしていると色々あるじゃないですか。

*グリーフとは、死別を経験することで揺れ動く心身の状態。

ドゥーラってどんな場面でも、結局核の部分は変わらないんですよね。
相手のことを傾聴し、否定や批判せず、寄り添う存在で。

そういう、その時々に頼れる人をドゥーラ・プログラムを通して増やしたいです。

ドゥーラが増えることで、依頼する人の選択肢も増えるし、
また、このプログラムを通してドゥーラとして活躍する日本人も増やしたい。

これが「女性とafabの一生・地域の健康」のためにウィコラが貢献できることの1つだと思っています。

みほ:
「アメリカに移住してきた日本人向け」のプログラムということですね。

祥子:
そうなんです。
だからゼロから作る必要性を感じています。

でもありがたいことにウィコラには今いろんな人がいてくれて。

専門家はもちろん、ドゥーラを利用したことのある人、これから利用したい人など、多方面からの意見を集められる状況が揃っているんです。

ものすごくいいものが作れると思っています。

みほ:
ここでも仲間の存在がすごく心強いですね。

祥子:
ウィコラはここまでピアサポートを大切にしてきたんですね。
それですごく助けられたと言ってくれる人もたくさんいて。

これからも「ピア」という、同じような立場の仲間としての力を大事に活動していきたいです。

ウィコラの現在の活動

みほ:
ありがとうございました。
アメリカはもちろん、世界中にウィコラのような活動の輪が広まって欲しいですね。

海外に住む日本人としてすごく心強いし安心できるな、と思いました。

祥子:
ありがとうございます。
これからも仲間とともに、楽しく活動を続けていきます。




最後までお読みくださりありがとうございました!

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