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オフィスビルのEV対応先進事例「機械式駐車場&デマンド制御&先行配管、全車室将来対応」

電気自動車(EV)を便利に活用するためには、自宅で充電できることはもちろんですが「長時間駐車する場所で充電できること」が重要です。以前こちらの記事では、職場にEV充電環境を導入し便利なEVライフを実現された事例についてお届けしました。

今回の記事では、福岡県福岡市に新たに誕生した「EV充電できる駐車場を備えた新築オフィスビル」についてご紹介します。

新築オフィスビル「KD東比恵(仮称)」外観

■物件概要
物件種別:新築オフィスビル(地上5階)
物件名:KD東比恵(仮称)
所在地:福岡県福岡市博多区東比恵2丁目20-30
アクセス:地下鉄空港線 東比恵駅 まで 徒歩約1分
竣工年:2023年11月(新築)
付属駐車場:機械式駐車場 16台、平置駐車場 2台
充電設備設置区画:5区画(機械式駐車場3台、平置駐車場2台)
充電設備:EV充電用3kWコンセント 5口

オフィスビルにおけるEV充電設備の導入経緯とそのねらいについて、KD東比恵のデベロッパーであり、九州で不動産開発事業を手掛ける九州ディベロップメント株式会社の代表取締役社長、白砂 光規さんに詳しくお話を聞きました。

九州ディベロップメント株式会社 代表取締役社長
白砂 光規 氏

インタビュー:EV充電対応のオフィスビル新築計画

当社は、今回の「KD東比恵」のようなオフィスビルだけでなく、商業施設や宿泊施設、賃貸マンションなどさまざまな不動産事業開発を手掛けております。会社設立から5年目の現在、合計9棟の開発実績があります。

当社が手掛けるプロジェクトはどれも「既存の常識にとらわれずに新しい要素をどんどん採り入れていこう!」という姿勢で開発を進めています。KD東比恵の開発プロジェクトでは、特に持続可能な開発を目指して環境性能を重視しました。
具体的には、屋上太陽光パネルの設置と電気自動車(EV)充電の対応です。これまでにやったことがない挑戦なので、設計の段階からトライアンドエラーの連続でした。特にEVの充電対応で課題となったのが、電気代の抑制と機械式駐車場のEV充電対応という2点でした。

EVの充電対応は投資家からも高いご評価を頂きましたが、一方で不動産純収益の確保という視点では、光熱費の抑制が不可欠となります。EVの充電が今後積極的に利用されるようになった時に備えて、電力のデマンド制御がとても重要です。これを解決するために、私が特任教授を務めている事業構想大学院大学の知り合いに相談したところ、ユビ電を紹介してもらいました。

KD東比恵の駐車場(手前:平置区画、奥:機械式駐車場)

インタビュー:デマンド制御に対応したEV充電システム

WeChargeの説明を聞いたところ、すでに数多くの施設で実績があり、充電設備はデバイスフリーで、分電盤によってスマートにデマンド制御ができることを知りました。さらに機械式駐車場にも対応可能ということで、さっそく機械式駐車場メーカーである新明和パークテックと連携して頂きました。

KD東比恵では現時点で5区画がEV充電に対応していますが、将来的に最大18区画まで増設できるよう先行配管しており、スマート分電盤も18回路分をすでに備えています。機械式駐車場のEV対応していない区画にも空配管は実施済みなので、将来のEV充電ニーズに応じて拡張できます。
ただ、パレットサイズはそれほど大きいわけではないので、日産SAKURAなどの軽自動車や一人乗りの電気駆動のモビリティなど、EVそのものやライフスタイルの多様性が広がっていくことにも期待しています。

また、ビルに入居された企業様がEV充電を行う際、EV充電に必要な電気代に関して、手軽に受益者負担モデルを実現できるのもWeChargeのもう一つのメリットです。使った分だけ費用負担してもらい、電気代相当が施設側に返戻されるのでサステナブルで合理的な仕組みだと思います。

機械式駐車場パレットに設置された
EV充電コンセントボックス
平置区画に設置されたEV充電コンセント

インタビュー:EVが充電できることは大きな差別化要素になる

KD東比恵では、環境性能の新たな取り組みだけでなく、他にも先進的な取り組みに挑戦しています。その一つが「グリッド天井」(注:骨組みが格子状に組まれたシステム天井のことで、レイアウト変更やメインテナンスが容易)の採用です。この規模のオフィスビルで導入されることはあまりないのですが、エアコンの吹き出し口や照明の位置を気にすることなく自由にオフィスレイアウトを設定できるので、入居される企業様にはきっと喜んでもらえると思います。

こうした新たな挑戦をすることは、当然、試行錯誤に余計なコストが発生します。しかし、そこから得られる知見は多いですし、他のデベロッパーとの差別化にも繋がり、結果的にブランディングの強化が実現できると思っています。

今回のプロジェクトでは、EV充電設備の導入に関するさまざまな不安要素を解消するうえで、ユビ電にリードしてもらえて本当に良かったと思います。10年〜20年先を見越した先進的なオフィスビルを実現できましたので、今後はぜひ商業施設や宿泊施設などの駐車場のEV充電対応も積極的に進めていきたいと思っています。

物件へのこだわりについてお話される白砂社長

── 白砂様、ありがとうございました。

オフィスにEV充電設備を導入しませんか? 複合オフィスビルや自社ビルなど、さまざまな施設の駐車場に対応可能です。ご相談はお気軽に。

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