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電気自動車の"ホーム"課題: EV普及先進国で浮上する自宅充電課題

電気自動車が普及してる国々では、EVはどのように充電されているのでしょうか?PwCのStrategy&によれば、2022年の世界で最もBEV(バッテリー電気自動車)の新車販売率が高かった国はノルウェーで、79.3%に達しました。次いでオランダのBEV販売率は39.2%、PHEV(プラグインハイブリッド車)を含むEV全体のシェアは66%でした。そしてスウェーデンがBEV販売率32.1%と続いています。

BEV乗用車の新車販売割合 2022年

EVの普及率が高いノルウェーとオランダにおける所有者の行動に焦点を当てると、Horizon Europe研究イノベーションプログラム資金提供の下、SCALEプロジェクトがスマート充電とV2Xの実証研究を実施しています。同プロジェクトの報告によれば、これらの国のEV所有者は、主に自宅で充電を行っています。ノルウェーのEV所有者の97%が専用駐車場を持ち、83%が住宅用充電器を設置しています。対照的に、オランダでは67%のEV所有者が住宅用充電器を保有しています。オランダ統計局のデータによれば、自宅の車庫や駐車スペースを乗用車の保管場所としている世帯は59%となります。次に自宅以外の駐車場で保管している世帯は27%、そして路上駐車している世帯は14%でした。

充電頻度 ノルウェーEVドライバー調査

両国の調査から、EV所有者が自宅での充電を好むことが明らかになりました。ノルウェーの多くのEVドライバーは夜間に充電することを好み、その理由は料金が安いからです。一方オランダの充電ピークは18時と21-23時に集中します。オランダのEVユーザーは料金に応じて充電行動が変わる傾向が弱いことが示されており、これについての詳細研究が求められています。さらに、ノルウェーとオランダのEV所有者の大部分がすでにスマート充電を取り入れています。特にオランダでは、68%のEVユーザーがソーラーパネルを設置しており、太陽光発電を自家消費するスマート充電の機会が増大しています。

充電量割合 オランダ全国充電調査

北欧5ヶ国の消費者を対象とした調査では、回答者は次の車を何にするか尋ねました。多くの人はEVと答え、EVと答えなかった人には、その理由を尋ねる次の質問があります。ここで興味深い結果が出ています。「自宅や居住地での充電機会がない」という問題がEV購入の主な障壁として挙げられているのです。この課題はEV普及が進む北欧全体で3番目に重要とされています。

EV購入の障壁 北欧EVバロメーター調査

EUの目標は2035年までに新車販売の100%をEVとすることですが、そのために充電インフラの整備が不可欠です。特に自宅での充電機会がない人々にとってはこの問題は障壁となっており、日本も例外ではありません。EVシフトに向けて、集合住宅や賃貸住宅への自宅充電設備の普及は世界的な課題となっています。

参考文献・統計:
PwC. Strategy&
Norsk elbilforening. (2022). Nordic EV Barometer 2022
ANWB. (2021) The Driving Electric Monitor
SCALE. Report on consumer behavior (1st edition)
オランダ自動車輸入組合
オランダ統計局

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