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CEVA、ロサンゼルスのクロスドック施設で最新型ロボットを導入

世界有数のフォワーディング業者シーバロジスティクス(CEVA Logistics、以下CEVA)がロサンゼルスで稼働中の大型クロスドック(積み替え)施設内に、この10月から小規模荷役やセキュリティに活用する最新型ロボットを導入したことで話題を呼んでいる。

CEVAが導入したのは、米国の先端ロボット開発企業ボストン・ダイナミクス社が製造したロボット -「ストレッチ」と「スポット」の2タイプ である。ボストン・ダイナミクスと言えば最先端ロボット工学で有名なメーカーで、米国の国防高等研究計画局の予算と監督で開発した高機能の二足歩行ロボットで世界的に知られている会社だ。

ボストン・ダイナミクス社のストレッチ型ロボット

その2種類の最新型ロボットが導入されたのは、CEVAがロサンゼルスで最近完成・稼働を開始したばかりの1万2500平方メートルの広さを誇るクロスドックセンター。ロングビーチ港とロサンゼルス港から数マイル以内という好立地にある施設内では、CEVA北米施設としては唯一の最新クロスベルト仕分け装置が、毎時1万個の小包を事前にセットした(配送先などの)変数に基づいて分別処理できる。

ストレッチ型ロボットはこのように作業する、その動きは素早い

今回、この施設に登場したロボット2タイプのうち、ひとつ目が小包やカートン箱の荷役に使う「ストレッチ」型と呼ばれるボックス移動型ロボットだ。ボストン・ダイナミクスが物流業の倉庫作業に特化して開発したもので、カスタム設計された軽量アームと、さまざまなカートン箱やシュリンクラップされた小包をAIによる高度なセンサーを備えたスマートグリッパーがしっかり掴まえて移動荷役する。
このストレッチ・ロボットは積み込みドックを自分でナビゲートし、かつ移動機構が小型なので狭いスペースでも動けるのが特長だ。最大 50 ポンド(約22kg)の重量の箱に対応でき、数量では1時間に数百個の箱を積み降ろしする。ビジョン・システムによってさまざまな積み重ね構成に適応でき、事前のプログラミングは必要ないという、まさにAIの申し子のような荷役ロボットなのである。

2つ目のタイプは、四足歩行ロボットの「スポット」型という、いわゆる犬型ロボットである。高性能のカメラを備えているので、すでに一部空港の広大なメンテナンス施設や巨大なプラント工場などで計測や見回り監視などの作業で採用されているが、特に広い規模の敷地内で人間が歩き回って行う各種作業、例えばドアを開け閉めしたり、スイッチを操作したり、リモートで複数箇所を監視して回るなどに適している。
小型のアームも付いているので、5kg程度の軽いものなら低い棚から取って来たりもできるが、CEVA施設内では主にセキュリティや倉庫内のパトロール分野で活用されていくようだ。充電が必要になると、充電スポットまで自分で動いて行き充電する。

犬型ロボット「スポット」、人が休む夜中でも休まず施設内を監視して歩く

CEVAの同施設は、自動車/消費者向け小売/テクノロジーといった業種の貨物を主な対象としているため、効率と処理速度を念頭に置いて建設されたという。そのクロスドック機能をより高めるために、今回、CEVAはボストン・ダイナミクスの最先端ロボット技術の2タイプを同時活用する米国内初の物流会社となった。
同社は、ロサンゼルス・クロスドックセンターの稼働初年度に2万6000個の海上コンテナをブレーク・積み替え処理し、3年以内にその処理能力を2倍に高めることを見込んでいる。屋上のソーラーパネルや再生可能エネルギー源を利用したEVトラックなどの環境への取り組みも、来24年1月までに実用化する予定としている。

CEVA海上輸送部門のグローバルヘッドであるジョシュア・ボーウェン氏は、
「米国で最繁忙を誇る2つの港の近くに、新しい最先端の積み替え施設を提供できることを誇りに思う。CEVAの海上輸送能力はこの施設で当社の地上輸送能力と効率的かつ迅速に組み合わされるのです」と述べ、さらに、「完全に最適化されたトランスロード・ソリューションを提供するCEVAの専門知識により、世界中のお客さまのサプライチェーンの効率性を高め、北米市場を活用する機会を向上させます」と付け加えた。

2023年10月16日掲載

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