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ANAとJALが国内混合のSAFを調達、羽田/成田と中部の各路線で使用へ

全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は3月30日、日本国内で混合されたSAF(持続可能な航空燃料)をそれぞれ調達したと発表した。国内で混合されたSAFの調達は今回が初となる。

ANAは国内混合のSAF調達について「SAFを国内で混合する際の品質管理手順の明確化、通関・保税の手続き、取り扱いの安全性等、航空機への供給・使用までのサプライチェーンの整備が大きく前進した」とコメントしており、今後は羽田空港および成田空港を出発する同社の国際・国内線の定期便で国内混合SAFを使用していくとしている。

JALは伊藤忠商事と今回の国内混合SAFの調達に関する長期的な契約を結び、4月以降、中部空港の同社出発便にSAFを使用する。また今後は羽田と成田についても順次、調達したSAFの使用を予定しているとした。

今回の国内混合SAFについては、国土交通省が国内におけるSAFのサプライチェーン構築に向けて実証を行っており、世界最大規模の再生可能燃料メーカーであるNesteが製造したSAFの原液であるニートSAF(バイオマスや廃食油、排ガス等の原材料から生産された航空燃料)を伊藤忠商事が輸入したのち、富士石油が国内で通常のジェット燃料と混合したもの。
この混合燃料を国交省が航空局の飛行検査機に供給して実証を行った結果、安全性などが検証されたことで国内での調達が可能になった。

国交省の国内混合SAFの実証事業(出典:国土交通省)

国交省は国内混合のSAF普及に向けて「SAFの導入促進に向けては、流通・使用の過程において安全・円滑にSAFを取り扱うための環境整備が重要な課題だ。十分な量の国産SAFが供給されるまでの間は、輸入SAFの活用も不可欠」としているが、今回の国内でのSAF混合は、国産SAF供給へ大きな前進と言えよう。

また、国交省はSAFを国内混合について、従来のSAF輸入と比較して海上輸送時のGHG(温室効果ガス)排出量が約71%削減されるほか、海上輸送費を約53%抑えることができ、環境面・コスト面での効果が高いとしている。

日本の航空業界は、将来的な国産SAFの商用化および、普及・拡大に向けて一丸となって取り組んでいる。

2023年4月3日掲載


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