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貨物ドローン会社ドロナミクスがUAEで同日配送、エミレーツ・ポストと提携で

貨物用に特化した大型・長距離ドローンの開発・運用を行うブルガリアのドロナミクス(Dronamics)は10月13日、アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ・ポスト・グループ(EPG)と、貨物ドローンを通じた物流における基本合意書(LOI)を締結した。

ドロナミクスは欧州で初めて認可された貨物用ドローン航空会社で、ことし7月にはIATA(国際航空運送協会)とICAO(国際民間航空機関)から、両方の指定コードを取得し、民間航空会社として正式に認められている。

今回の基本合意は、アブダビでのスマート自動運転車産業(SAVI)クラスターの正式立ち上げの際に署名されたもの。SAVIは陸/海/空の跨いだ自動運転のハブとなることを目指し、同国におけるスマート自動運転車技術のイノベーションと商業化を支援する。

EPG はドロナミクスの貨物ドローン機によるUAE国内での同日配送を検討・試験運用を進めていく方針で、トライアルが成功すれば、自社の物流ネットワークに統合し、より広範な物流業界へのテクノロジーのアクセスを可能にする予定。将来的にはドロナミクスのUAEでの合弁事業の立ち上げパートナーとなり、ペルシア湾岸地域での貨物ドローン事業の拡大をサポートする。

また、EPGとドロナミクスはGCC諸国(サウジアラビア/UAE/バーレーン/オマーン/カタール/クウェート)での包括的な貨物ドローンの配送ネットワーク開発に向けて協力していくとしている。

ドロナミクスの主力ドローンであるブラックスワンは、350kgの貨物を最大2500 km輸送できる。航空貨物などの代替輸送手段よりも最大80%速く、50%低コストで、CO2排出量も最大60%削減する。これにより、医薬品/食品/eコマース/スペアパーツなどのさまざまな産業で長距離の同日発送が可能になる。

貨物専用に開発されたブラックスワンの貨物搭載イメージ(出典:ドロナミクス)

このほかドロナミクスは10月12日、水素燃料航空機の開発を進める英国のクランフィールド・エアロスペース・ソリューションズ(CAeS)と、水素燃料電池(HFC)推進システムのブラックスワンへの適用を進めるための覚書を締結した。

両社は昨22年11月、水素燃料電池事業での提携を発表している。これに基づき、ブラックスワンにCAeSのHFC技術を適用するための実現可能性調査で協力しているが、同調査の結果、CAeSはブラックスワン用のSTC(追加型式証明書)に相当する改造型を開発し、既存の動力バージョンを耐空性基準に従ってゼロエミッションHFC型に変換する計画としている。

ドロナミクスは、貨物ドローンの商業運航の展開を着々と進めつつ、水素燃料電池搭載によるゼロエミッション化を目指すなど、貨物ドローン市場のフロントランナーとしての地位をさらに強固にしている。

2023年10月18日掲載

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