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DANXカルーセルがエレクトロンと提携して電動小型貨物機の開発へ

デンマークに本拠を置く国際宅配業者「DANXカルーセル・グループ」と、オランダの電動航空機メーカー「エレクトロン・エアロスペース社」はこのほど、温室効果ガス(GHG)の排出ゼロとなる電動貨物航空機「Electron 5」の発売に向けて、戦略的パートナーシップ協定を結んだと発表した。

越境EC小荷物や国際宅配貨物のヨーロッパにおける翌日配送業者として知られるDANXカルーセルが、航空貨物業界に革命を起こすことを目的とした同プロジェクトの「創設物流パートナー」として、エレクトロン・エアロスペース社に投資するというもの。

エレクトロン社が現在開発中の電動貨物機Electron 5は、1回のバッテリー充電によって最大時速300キロで500kgの貨物を500km(ほぼ東京〜大阪間に相当)の距離にわたって輸送できるように設計されている。積載重量も飛行距離もまだまだのように見えるが、Electron 5は短い滑走路でも離着陸できるため、大型貨物機と比較して多くの小規模地方空港へも直接飛んで行けるのが、宅配業者が利用する上では大きな利点となる。貨物を最短のポイント・ツー・ポイントのルートで飛行させ、混雑した大型空港の物流を回避することができるからだ。

DANXカルーセルのエレクトロン社事業への投資は、2035年までに炭素排出量を40%削減するというグループの使命の一環でもあるが、同社の最高ソリューション責任者(CSO)ラース・リセル氏は、「環境問題と持続可能性を考えたことがエレクトロンへの投資の理由ですが、電動貨物機Electron 5を当社ビジネスに組み込めば大幅な業務改善がもたらされる」と述べて、次のような同グループとして受けるメリットを挙げた。

「当社の集配拠点に近い場所で離着陸できるため、移動距離が短縮され、顧客には最終受付時間を遅らせることが可能になる。これまでは配送しにくい地方や地域へのサービスを向上させることができる」
「既存の大型機による航空貨物ハブ・アンド・スポーク方式から、常に混雑する大型空港を避けてポイント・ツー・ポイント方式への移行は、宅配業者のファースト/ラスト・マイル配送に有利だ」
「この電動小型貨物機は飛行中の排出ガスをゼロにするだけでなく、地上での配達時間が短縮されることで、地域のハブとの間を走るトラックの排出量まで削減することにつながる」
「私たちの分析によれば、この電動小型貨物機は、キログラムあたりのコスト、飛行時間、二酸化炭素排出量の点で、持続可能な航空燃料(SAF)を用いる従来の航空機やハイブリッド航空機よりも優れた性能を発揮するだろう」

一方、エレクトロン社の最高商業事業者/最高運営責任者/共同創設者であるマーク・ヘンリー・デ・ヨング氏は、「DANXカルーセルの優れたチームの専門知識は、Electron 5が貨物機としてEC小包などのバラ積み貨物やEUパレットに載せた商品などの幅広い貨物を輸送するためのホールドを設備するのに大いに役立っています。同社のスペシャリストは、Electron 5モデルの貨物機の設計に携わり、この航空機を貨物輸送に最適にする方法についてアドバイスしてくれました」と、DANXカルーセルとの提携を評価した。

Electron 5モデルは2027年に市場に投入される予定で、DANXカルーセルは今後5年以内にこれらのモデルを自社製品に追加することを目指している。

貨物型Electron 5の完成予想図、オリジナルの旅客型は4人乗りの小型機

2023年8月8日掲載

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