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住宅ローンが組める人、組みにくい人【第3回】

■金融機関で審査内容は違う。複数で競わせる

数千万円の借金である住宅ローンには当然審査があり、だれでもがローンを組めるわけではありません。よく言われるように、審査で「職業」や「勤続年数」が重視される状況は今後も変わらないでしょう。ただし、個人の状況により金融機関の対応は大きく変わりつつあります。

民間金融機関の多くが2,3年の勤続年数を必要としますが、フラット35は(審査が通過するかはともかくとして)転職後1年以内であっても、勤務先からの収入を証明する書類があれば、年収換算して受けつけてくれます。転職や独立を考えている方は、あきらめずに複数機関で査定を頼んでみることをおすすめします。

逆に、公務員や大企業に長年勤めている方の場合、銀行窓口でひっそりと特別優遇金利プランを提示された事例があるくらい、住宅ローンが組みやすい環境にあります。複数の窓口に相談し、対応を競わせて有利な条件を提示させることを忘れないようして下さい。大きな買い物に相見積もりは当然ですよね。

■住宅ローン審査で重視される項目

国土交通省のまとめた報告書(※1)によると、住宅ローン審査において、年収や返済負担率によって点数化する審査方式(スコアリング)を行わない金融機関は6割を超え、平成21年度以降減少傾向にあります。

年功序列が崩れ、たとえ大企業であっても倒産することが珍しくない昨今、個人の信用度を杓子定規に計ることができなくなった現れだと筆者は考えています。

「職業」や「勤続年数」以外に住宅ローン審査で重視されることは何でしょう?

多くの民間金融機関で、住宅ローンを引き受ける「最低年収」を設けています(200~400万円が多い。収入合算時に各々で条件を満たす必要がある場合あり)。年収の壁は相変わらず存在するといってよいでしょう。

最低年収以下であっても、住宅ローンを組むことは可能です。
フラット35では、最低年収基準を設けない代わりに、年収400万円を境に「返済負担率」を定めています(※2)。つまり収入に見合った借入額ならばOKということ。ただし、借入はマイカーローンなどすべての借入を含んだ金額である点に注意が必要です。

また、上記報告書によると、「完済時年齢」を考慮する金融機関が99.4%もあるそうです。定年後のローン返済は家計破綻リスクが高いことを窺わせますね。

あなたは、住宅ローンを何歳で完済する予定ですか?

■スマートフォンの割賦販売に要注意!

携帯電話・スマートフォンの購入の仕方として、端末本体の代金と通信料を合わせて毎月支払う方式があります。各種割引が適用され“実質ゼロ円でスマホが持てる”といったうたい文句で販売されている、アレです。

通信料感覚でついうっかり支払わずに放置すると、あなたの大切な個人信用情報に傷がつき、新規にクレジットカードを作る時や、住宅ローンを組む場合の障害になることがあるのです。「これくらいの金額、少しぐらい返済が遅れたって問題ないだろう。」といった安易な発想は禁物です。

前項の報告書でも、89.0%の金融機関で「カードローン等他の借入状況や履歴」を考慮するとしており、20,30代頃のフリーローン等何気ない借金(割賦契約)のもたらす影響は大きいと言わざるを得ません。収入合算でのローン審査を予定している方は、合算されるお相手の信用情報にもご注意を!

※1 「平成24年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(国土交通省)」
http://www.mlit.go.jp/report/press/house01_hh_000054.html

※2 総返済負担率=年間返済額/年収
 年収400万円以上:総返済負担率35%以下
 年収400万円未満:同上30%以下

第4回住宅ローンコラムに続く

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