ウェブ制作で月30万稼ぐ、とは。収益を出すために考えていること
制作会社に入らずフリーランスのウェブ制作者になりたい、という人が一番気になるのがお金の話ではないでしょうか。
巷では「ウェブ制作で月30万!」などというキャッチも見かけます。ウェブ制作を仕事にするために考えていること、知っておいてほしいことを書きます。
後半で私の今年(2022年1月〜11月)の売上の話も出てきますが、後述の個人的な事情で、同世代ではかなり売上が少ない状況です。それだけに「稼ぐ」ことの本質を説明できるかなと思います。
はじめての方はお読みください↓↓
ランニングコスト
ウェブ制作で月30万、と聞いて、プロの制作者なら必ず浮かぶ疑問が
「それはランニングコストを考慮しているのか」
「純粋なウェブ制作だけの売上なのか」
です。
セミナービジネスをやっている人たちはあまり説明してくれないと思いますが、ウェブ制作は毎月のランニングコストが高いです。「月平均売上30万円」なら、頑張れば一年くらいで達成できますが「月平均手取り30万円」だと、少なくともそこそこのデザインとコーディングだけでは厳しいです。
具体的なランニングコストについて書いていきます。私の「主な」年間ランニングコストは概算で以下のとおりです。
光回線 50,000円
Adobe Creative Cloud 50,000円 ※1
Microsoft 365 13,000円
1Password 5,000円
やよいの青色申告オンライン 14,000円 ※2
misoca 8,000円 ※2
Google Workspace 8,000円
チャットワーク 10,000円
エックスサーバー 10,000円
バリュードメイン 5,000円 ※3
セキュリティソフト 10,000円
計 183,000円
※ Dropboxは今のところ必要性がなく無料にしています
※1 安いときの価格です。ちなみに今ちょうどブラックフライデーで安いです。買わねば
※2 私はやよいファミリーを使っていますが、経理ソフトにこだわりがなければfreeeの方が安いです
※3 ドメインは3つ持っています。一度取得すると手放せず、どんどん年額が上がるので慎重にした方がよいです
183,000円を月で割ると約15,000円になります。が、費用がかかるサービスはこれだけではありません。Macやスマートフォンのローン、WordPressのプラグインのライセンス料、デザイナーであれば素材サイトのサブスクなどもあります。国に収めるお金も忘れてはなりません。
これらを考慮しないで、売上だけを見ていると詰みます。
良い会社と業務を進めるために必要なサービスは、サブスクリプションが高めです。「Microsoft 365いらなくね?」と思った時期が私にもありましたが、Wordで作られた原稿の一部がフリーソフトで欠けていたのを見落として以来、素直に払っています。
ランニングコストを取り返すために最低限すべきことは、携わる日数に対して利益率の高い業務を受けることです。
ランディングページの利益率
ウェブ制作で考えられる業務でも、ランディングページの下請け制作は利益率が低いです。これはランディングページの集客モデル、予算の構造が一般のコーポレートサイトとは異なるためです。
一般のコーポレートサイトの場合は、検索サイトからの流入や公開後の改修を考慮する必要があるため、画像をペタペタ貼るだけというわけには行かず、制作費の割合が高めになります。
一方ランディングページは、よほどの大企業のキャンペーンサイトでもない限り、SNS等に広告を掲載し、そこから訪問してもらうことに集中します。つまり、広告費、企画費の割合が高めになります。
もしも、凄まじい早さでカンプを作ることができ、ウェブサイトは画像を貼るだけで済ませ、かつ途切れず受注があるなら、利益率は上がるかもしれません。ですがランディングページは見栄えやユーザー体験重視となるため、期待するほど過去の案件の流用がききません。「何度も使えるテンプレート」を利用したとしても同じクライアントに使っていたら飽きられてしまうでしょう。
しかもランディングページは寿命が短く、実績になりません。デザインスキルが低い、かけだしレベルの人がランディングページのみで稼ぐのは至難の業と思います。
利益率が高い業務
あくまでも私が15年フリーランスをやってきた経験に基づいていますが、他と比較して利益率が高い業務があります。
自分が作ったサイトの改修、制作会社へのアドバイザー、単発の講師業です。いずれもかかる時間、負担に対して報酬が大きいです。
ですがこれらは長年業務を続けて、クライアントとの信頼や講師業を頼まれるような信用が必要です。
(アドバイザー?講師?そうです。やたらとサロンに誘うのは、こういうからくりです)
JavaScript関連も、きちんと予算感を理解してくれるクライアントであれば利益率は高いです。エンジニアレベルの話ではなく、スライドショーやアコーディオンの追加などです。私は既存ライブラリの実装+見た目のカスタマイズなら3万円からでやっています。
それほど経験が長くなくてもできるものとしては、WordPressの既存テーマやノーコードツールを利用したサイト制作です。だいたい10営業日で20〜25万円、収益としてはまずまずです。
ただしきちんと特徴・できることの限界・リスクを理解していないと、年単位で後々クレームが来ます。要望を実現できなくて徹夜になってしまうこともあります。
またランディングページのときと同様に、WordPressのテーマもまた、何度も使うと飽きられてしまいます。
私はココナラやランサーズでWordPressの不具合の解消を請け負っています。即答でも3,000円としたので稼げるかと思ったのですが、期待したより利益になっていません。毎回微妙に違う不具合を把握し、答えのテキストを書く負担が大きいです。金額を提示したら連絡が来なくなるパターンばかりです。
利益率の高い業務はすぐには来ません。とにかく信用を貯める必要があります。一昔前だと業務の合間に作った配布物やブログなどを見てスカウトが来ることもありましたが、SNSが普及しすぎた現代では難しいです。
今の時代で信用を貯めたいのであれば、やはり制作会社に入るかリモート契約をしてコネクションと経験を作るか、信用が可視化できるクラウドソーシングで良い評価や信頼できるクライアントを見つける、という流れになります。
おばさんなりの稼ぎ方
最後に、私の現状の話をします。
私の今年(2022年1月〜11月)の売上は、270万円です。月平均だと25万円になります。
少ないです。先述のランニングコストとのバランスが悪いのが悩みです。ですが、これには事情があります。
私は二年ほど前に大病をして、手の不調や通院などがありフルタイムで働くことができません。なので、短時間で通常の会社勤めくらいの収入を得ることにシフトしているのです。
一日の実働が5〜6時間、木土日休みで約120時間/月ですから一般のフルタイムの制作者の3分の2くらい、フルタイムなら年400万円、月36万円になります。
(実際には土日のどちらか働いていたりデスマになったりしていますが)
通院が少なくなってきたので来年はもっと受注できそうですが、今の実働でもっと収益を得たいと思っています。そのために、WordPressのサイト作成の効率を上げたり、コーディングを早く手戻りなくできるよう環境を整えたり、最近相談が多いJavaScript関連のスキルアップをしたりしています。
このブログを無料で公開しているのも、後進のため、業界のためであると同時に、私が自分の頭の中を整理して仕事の効率を上げる目的、私のことを知ってもらう目的があります。制作会社様、案件募集中です☆
稼ぐとは、お金を集めることではなく、出ていくお金を意識しつつ信用を貯めることと考えています。
今回はここまで。
このブログが、皆さんに必要なくなることを願っています。