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なぜスクールへ行くの?SNSに網を張る「メンター詐欺」を見分ける方法

うぇびん

あけましておめでとうございます。
今年は新しいことを始めたい、不安定な生活を変えたい!と、検索したりSNSを眺めている人も多いでしょう。そんな人たちが、2023年を無駄にしないためにこの記事を書いています。

メンター詐欺とは

「私はウェブ制作のお仕事とSNSで人生が変わりました!うつ病の派遣が一年で月収100万円!LINEで教えちゃいます♪詳しくはプロフから!」

…というツイートをしているアカウントが、時折目に入ります。逃げ場がないLINE等へ誘導し、低いレベルの指導をしたり、質の悪い案件ばかりを紹介します。明確な名前はありませんが、私は「メンター詐欺」と呼んでいます。

明確な悪意を持って「教える方法を教える」マルチ商法スタイルの人もいますが、授業料を稼ぐことが第一の、無自覚でだらしない「自称メンター」もいるようです。

長年SNSをやっていると、良いメンターはなんとなくわかります。
「メンター詐欺」を見分ける方法、メンターやスクールに対する基本的な考え方について書いていきます。

メンター詐欺を見分ける基本5項目

Twitterでこの話題になったときに、完璧な回答を出した方がいます。

1️⃣Twitterプロフィールにお金や自由について書いてる
2️⃣LINEに誘導したがる
3️⃣実績が無い、あっても謎
4️⃣本名を公開してない
5️⃣高額な費用を要求してくる

穂刈@Webプロデューサー独立10年目/エンタメ系Web制作会社(株)イロコト代表取締役
@irokoto_hokari
https://twitter.com/irokoto_hokari/status/1608591474706481152

この記事を読む時間がなくても、この5項目だけは覚えておいてください。なお、このように、目に入った疑問を素早く理解し、明確な回答を出し、それを広めることに物質的な見返りを求めない人が本物の「メンター」です。

メンター詐欺の特徴

「スクールに通わないとプロになれない」と言う

ウェブ制作の勉強をはじめると、わからないことや解決できないことが出てきます。そんなときにメンター詐欺の「わからないことをプロに直接聞けるスクールに通うべき!」という言葉が目に入ります。

まっとうなスクールの方に申し訳ないですが、断言します。

  • ウェブ制作者になるために、スクールは必須ではないです。

  • スクールは「ウェブ制作の回答を得る場所」ではないです。

ウェブ制作は年々、仕様やトレンドが変わっていくものです。かつての正解がオワコンになることも多いです。勉強中だけでなく、プロになってからもわからないことは何度も出てきます。
勉強中の段階から、自力で複数の情報を集め、比較して自分の中の正解を出すスキル=「検索力」を養わなければなりません。

なので、ウェブ制作の回答を得たいという受け身の姿勢では、どんな良いスクールでも身につきません。悪いスクールならカモにされます。
特定の師匠に心酔してはいけません。SNS、書籍、動画学習サービス(視聴者とのQ&Aが特に勉強になります)を通して、できるだけたくさんの「ちょいメンター」を作ってください。

私は、ウェブ制作を独学で一通り身に付けてからスクールへ通っています。当時の目的を参考に書いておきます。この目的のために、身元がはっきりした大手を選んでいます。手段ではなく目的に投資しましょう。

Adobe製品を使い方を覚え、安く入手するため
MacOSの使い方、Windowsとの環境の違いを学ぶため
実際にWeb業界で働いている講師の話を聞くため
自分が作りたいものでなく、与えられたテーマに添って作ることを学ぶため
色彩学など、学問としてのデザインを学ぶため

これからWebデザイナーを目指す人へ | ブログ | ウェビングスタジオ https://webbingstudio.com/entry-571/

11年前の記事ですが、よかったらこちらもお読みください。

LINE等のメッセンジャーで学習させようとする

マルチ商法や新興宗教の手口に「記録が残りにくく、かつ逃げ場がない場所で囲んで話をする」があります。スマホの中で言えば、LINEはまさにそのような場所です。

ウェブ制作の指導を本気でやろうとしたら、メッセンジャーは適していません。記録を残しにくく、会話のテーマごとにチャットを分けられません(スレッドといいます)。何かあったときに退会や報告もしづらいです。

講師を介さない問い合わせの場を提供しつつ、授業はZoom等のビデオチャットと、実際の業務に近いプロジェクトツールの同時進行で進めるのが正しいリモート授業だと思います。

写真やツイートで金目の物や美しいものをチラチラ見せる

詳しいことはわからないのですが、メンター詐欺は、高そうな服や腕時計や、すごいメンター同士(全員グルかも)の飲み会をツイートすることがあるようです。

ウェブ制作に限らず本物のメンターは、お金持ちであることを匂わせません。そもそもウェブ制作でお金持ちにはなれないです…おっと誰か来たようだ…

高額品を手に入れたときはチラチラ写し込むのではなく、自分の好みに合った選びぬいたものを大切そうに報告します。
飲み会をSNSで報告するときは「すごいメンターと会ったこと」ではなく「どのような目的でどのような話をしたか」を前面に出しますし、全員顔出しして良いとは限らないので、公開範囲を制限したFacebook等で投稿することが多くなります。

活動がはっきりしない

先ほどの穂刈さんのツイートに「本名を公開してない」という項目がありましたが、これだけは、そうとは限りません。
バズフィードはあまり好きなメディアではないのですが、つい最近気になる記事があったのでご紹介します。

本名を出しているように見えて「本名っぽい通名」かもしれませんし、顔写真を出しているように見えて「AIで作った顔」かもしれないのです。

なので「実績が無い、あっても謎」の方が重要になってきます。活動の実態があるメンターなら、放置されていない会社かサービスへのリンクが必ずあります。プライベートの話題用の個人アカウントを持っている人もいます。他者が主催したセミナーに発表者として招待されている人もいます。

ファクトチェックが必要なのはコロナ関係だけではありません。

コード、成果物、技術情報を公開しない

前の項に近いですが、本物のメンターは技術情報の共有をすることがとても多いです。いずれも簡潔で役に立つものばかりです。

制作会社の代表であれば、自社のサイトで実績を公開しています。きちんとした会社であれば、どのような工夫をしたかもきちんと書いているはずです。

大手企業のサイトに携わっているコーダーや、機密情報を扱う機会が多いフロントエンドエンジニアは、自分のウェブサイトで制作実績を公開できません。
その代わり、自分が学習したことをまとめるために、使い回せるスクリプト(ライブラリ)をコード共有サービスで公開していることが多いです。以下のようなサービスをひとつは利用しているはずです。
リアルタイムで手を動かしていない人は、何も教えられないのです。

  • GitHub

  • Qiita

  • Zenn

  • CodePen

フォロワーの褒め方が薄っぺらい

「この人は人気があって、たくさんのフォロワーが素敵な人だと言っている!きっとすごいメンターに違いない!」

ちょっと待ってください。フォロワーがどんなふうに褒めているかを確認しましたか?
以下の褒め方はふんわりしていて参考になりません。サクラが混じっているくらいの気持ちでいた方がいいです。

  • 美人・イケメン・若い

  • 優しい

  • 稼げている

  • ていねい

  • 共感できる

本物のメンターはフォロワーの民度が高いです。メンターのツイートを引用する形で「このツイートには共感できる」「私の場合はAだったがBにしようと思った」などの具体的な褒め方が見られます。

いいねが無差別

「未経験からキラキラWebデザイナーを目指してSNSを頑張ってしまったかけだしちゃん」の12回目がわかりやすかったです。

詐欺目的でも、そうではなくても、フォローしてくれた人に「いいね」するのはSNSビジネスの常套手段です。「見守っていますアピール」でもあり、お返しいいねで自身のエンゲージメントを上げるための「餅まき」でもあります。

メンター詐欺は、このあたりが露骨です。すごそうな人に「いいね」されたら、ちょっと落ち着いて、その人のプロフィールへいって「いいねした投稿一覧」を見てください。
単なる独り言にいいねしていたり、特定の人の投稿すべてにいいねしていないでしょうか。

いいねとは、文字通り「あなたの投稿は私にとっていいね」というときに使うものです。機械的ないいねをする人は、いいねはくれますがリプは滅多にくれません。ただし閉鎖的なダイレクトメッセージなら別です。カモにされないようご注意ください。

変なハッシュタグや言葉を作る

ハッシュタグは宗教のようなものです。ユーザー同士に謎の連帯感を持たせ、メンターにたくさんフォロワーがいることをアピールします。

この件については以前に書いているので、この記事を読んでお時間があればこちらもどうぞ。

苦労したけどウェブ制作で人生が変わったとやたら言う

「学校でいじめられてうつ病になり、ずっと月収一桁のフリーター。毎日自殺を考える日々…でも、ウェブ制作に出会って人生が変わりました!今では月収100万円!」

それは大変でしたね…しかし、失礼かもしれませんが、アピールするほど珍しい事情ではないです。また、あなたの人生が変わったのだとすれば、変えたのは「ウェブ制作をしたから」ではなく「自身の特徴に合った仕事に就いたことであなたと周囲が良くなったから」です。

私自身も「ウェブ制作に出会って人生が好転した」一人ですが、それをSNSアカウントには一切書いていません。「変わった」のではなく「好転した」程度に考えていますし、私のウェブサイトを見て外部委託先として依頼してくれた方々や、勉強会を通して見返りなく教えてくれた先達のおかげで今があります。

「苦労したけど今は稼げている」ことも確かに嬉しいのですが、それ以上に「自分が技術者として評価されている」ことが嬉しいのです。

SNSと上手に付き合う

思いつく限り、注意すべきポイントを書きました。

文中でも出てきましたが、SNSには交流が多いアカウント同士を強調する「エンゲージメント」や、興味を持っているキーワードに通じるアカウントを強調する「サジェスト」という機能があります。趣味には大いに活用できるこの機能ですが、メンター詐欺はこれを悪用して、迷っているあなたの心に入り込んできます。

あなたが「稼ぐ」関係のアカウントばかり追っていればタイムラインもそればかりになりますし、怪しいメンターといいねを送りあえば、他の怪しいメンターも集まってきます。

とりあえず温かいものでも飲んで、お金のことは忘れて、現役ウェブ制作者のアカウントをたくさん追いかけてください(エンゲージメントに影響するので、フォローやいいねは控えめに)。
毎日続けていると、たくさんの人が引用している、有益な情報をツイートしていて「稼ぐ」とか言っていない人たちが見つかるはずです。それが、私たちプロが見ている本物のメンターです。

追記:2023/01/05

Twitterのユーザー名の変更履歴を調べる方法があるそうです。違う内容でフォロワーを増やしてからユーザー名を変えて人気アカウントを偽装するアカウントを見抜けますね。

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