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お酒とインナーチャイルド



この本によると


オーガズムスリープというらしいが

みんな言っているけど、飲酒をやめると本当に睡眠が深くなる

例えるなら、50mの飛び込み台から底の見えないプールにダイブし、水しぶき一つ上げずに着水して光の届かない距離まで沈み、ゆっくりと浮かび上がってくるような、そんな睡眠を体験することが出来る。

本にも書いてあったが、体からアルコールが完全に抜けるのには2週間はかかるのだそうだ。私は1月3日から断酒しているので、大体2週間たったことになるのだが、このところの睡眠は、なんと例えてよいか戸惑う程気持ちが良い。死んだように眠るでは、うまく形容できていない気がするオーガズムスリープという造語がなんとなくしっくりくる。


さて、それだけ気持ちよく眠ると、寝起き後も体が軽い

以前は朝食後も体が重く10時頃までもっさりと動いていたが、今はコーヒーを飲みながら一日のプランを立て、その後すぐに動き出している。


今朝は以前から懸案だった風呂の壁紙の張替えに着手することにした。

キズが付き剥げかけて汚くなった壁紙をカッターできれいに剥がし、サンダーをかける。

カッターで注意深く削り、汚れを取り除いていく。

そんな作業をしながら、ふと10年前に亡くなった父親のことを思っていた。

父は大酒のみだった

九州男児には焼酎が似合う
晩年は焼酎をお湯で割り静かに飲んでいた

ただ、俺が高校の頃、酒を飲む親父が好きではなかった

親父も40代、50代の頃は酔いつぶれるまで飲んでいた。大虎になって帰ってきては玄関で大の字になってひっくり返る。

夜な夜な母親から呼びつけられ、親父を担いでトイレまで運ぶ。

そんな情けない姿をさらけ出す父親が嫌いだったし、同時に焼酎も大嫌いだった。そういえば、俺はお酒を飲むようになっても、焼酎は避けていた

そんな父親のことを思いながら風呂の壁をこする

それからシャワーを壁にかけて汚れを流す作業を、何度も繰り返していると

だんだん自分の身体が小さくなり、子供に戻った気がしてきた

ちょっとした思い付きで、言葉に出していってみた


「親父、俺今、お酒、止めてるんだよね」


俺の頭の中の父親は何も言わない

そっぽを向いて新聞を読んでいるけど、ピクリと反応したようなそんな気がする

胸の奥が、まるで日が差したみたいに明るくなった


もう一度言ってみた

「お酒、これからも、止めようかなって思っているんだ」


親父は何も言わないが、なんとなく褒められているような気がした


インナーチャイルドセラピーという療法があって、自分の中にいる子供のままの自分を自分で可愛がってあげるのだそうだ


泣き虫だった自分、寂しかった自分、不安そうにしている自分

そんな自分を大人になった自分でギュっと抱きしめてあげる

全部許してあげるような大きな愛で包んであげる

そういうセラピー


やり方は少し異なるけど、俺は計らずしもインナーチャイルドセラピーをしていたんだなと思った。


お酒を飲まなくなった自分を、その昔大酒飲みで、嫌いだった父親に告げる

そこには、誇らしげな子供の自分がいて

少しうれしそうにしている、俺の親父がいた


以前にも書いた通り、俺は50前半まで、毎日大量のお酒を飲んできました。

そうすることが男らしいと思っていたし、よく働いた自分への報酬であり、当然の権利だと思っていた。でもそれは、無意識のうちに親父の背中を追いかけていたのかもしれない。

そんなことをふと思いました。


お酒を毎日飲むようになった原因は一つだけではないので、「コレ!」と決めつける気は毛頭ないのだけど、今まで自分の気づかなかったところで、「ああ、こんな理由もあったんだな」と思うと温かい気持ちになれる。


これから先、時々お酒を飲むのか、それとも全く飲まないのか、今のところ決め切れていません。ワイン教室は1月はスキップしたけど退会はしていません。

メモリアルな出来事もこの1年何度かあるでしょう。そんなときどうするのか?

おれにはまだ、「アル恋」が残っているのだけど、今日親父と話した後は、少し恋心が薄まっている気がするのだ

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