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時価総額5,000億円、スポーツNFTキングSorareの事業戦略及び今後の動向について

皆さんこんにちは。Web3 news DAOの山口です。
今回は、6億8,000万ドルというヨーロッパで過去最大のシリーズB調達を達成したサッカーNFTゲーム「Sorare(ソーレア)」がテーマです。
本記事を読むことで以下を理解することができます。

  • Sorareのゲーム概要とゲームエコシステム

  • Sorareのグロースについて

  • なぜSorareがヨーロッパ最大のシリーズB資金調達ラウンドを達成できるほど成功を収めたのか

  • Sorareの今後の展望について

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Sorareとは?

Sorareは、サッカー/NFT/ファンタジーゲームを1つの体験にしたブロックチェーンゲームです。
まずは5枚の選手NFTを購入し、30近くあるゲーム内リーグより参加するリーグを選択します。実際に試合が実施されると、その結果とボーナスに基づいて選手ごとのスコアを算出し、5選手のスコアの合計値に応じて報酬(ETH、選手NFTカード)を得ることができる。
スコアは大手データプロバイダーであるOpta Sportsと提携し、独自のスコアリングシステムを構築しており、各カードは0点から100点の間で採点され、総合スコアが決定する。現在は、200以上のリーグ/クラブと提携しており、数多くの選手が実名登録されている。

筆者がRare All Atarリーグに参加した時のスコア画面
選手の下の数字が個人スコア、右上のポイントが総合スコア、左側がゲーム内リーグでの順位

選手NFTカードには、選手ごとに4種類のレア度と発行上限枚数が設定されている。リミテッド1,000枚(黄色)/レア100枚(赤)/スーパーレア10枚(青)/ ユニーク1枚(黒)の最大合計1,111枚が1シーズンに発行される。Sorareは、ユーザー数に応じて選手NFTカードの供給量を調整することで、NFT価格を安定させている。

また、SorareはAPIを公開しており、「Sorare Data」といったデータサイトや「Sorare Brag」や「Sorare Mega」というサイドゲームが存在する。

Sorareのエコシステム

ここではSorareのゲームエコシステムについて紹介していく。
現在は1つの収益源で、新しいカードをミントするときの一次販売量です。
Sorareでは、プレイヤー間の二次販売では収益を上げておらず、ガス代をSorareが負担し、カードの価値を100%売り手に還元するため、二次販売のたびに赤字になっている。
また、クラブやリーグは、ロイヤリティとして一次販売で10~20%、二次販売で1~2%を得ていると推定されている。
新しくミントされたNFTの15%はマーケットで販売せず、リーグ報酬へと回る。
このように、ユーザー負担を軽減する形でエコシステムが成立している。

参照:https://alexandre.substack.com/p/-sorare-deep-dive-building-the-next?s=r

Sorareのグロースについて

Sorareはフランスで最も早くユニコーンの評価額に到達したスタートアップ(3年未満)でもある。Sorareのグロースを3つのフェーズに分けて紹介していく。

参照:https://alexandre.substack.com/p/-sorare-deep-dive-building-the-next?s=r

創業期〜シード期

2018年9月:Nicolas Julia(CEO/前職StratumのオペレーションズVPAdrien Montfort(CTO/前職StratumのエンジニアリングVPが共同で設立

2018年10月:ベルギーリーグと最初のパートナーシップ締結

2019年3月:ベータ版運用開始。ほとんどのユーザーが熱心なユーザーとなり、有料ユーザーの45%が10枚以上のSorareカードを保有

2020年7月:400万ドルのシードラウンド実施。当時、すでに70のサッカークラブ(インテル、ユベントス、アトレティコ・マドリード、オリンピックリヨン等)と締結

シード期〜シリーズB

2021年2月:5,000万ドルのシリーズAラウンド実施。Sorareは3ヶ月のリテンションが70%と、Netflix並みのリテンションがあることを公表

2021年9月:43億ドルの評価額で6.8億ドルのシリーズBラウンド実施(ヨーロッパで過去最大のシリーズB調達)。当時、Sorareの登録ユーザー数は60万人、MAUは15万人、すでに180のサッカークラブと提携し、2021年で1億5,000万ドル以上の売上

シリーズB以降

2021年9月:ラ・リーガ(スペインリーグ)と5年間のパートナーシップを締結

2021年10月:ブンデスリーガ、ブンデスリーガ2(ドイツリーグ)とパートナーシップを締結

なぜSorareは成功したのか?

成功要因その1:公式ライセンス

Sorare 公式サイト

Sorareは公式ライセンスの取得にこだわり、Nicolas Juliaはシードラウンドですでに58のクラブと自力で契約した。
現在は200以上のリーグ/クラブと提携しており、いち早く公式ライセンスの取得に動いたことで、他のプレイヤーに真似できないサービスとなった。

また、公式ライセンスを取得した効果は他にもある。
クラブからのニュースや、サッカー選手のソーシャルメディアへの投稿によりマーケティング活動を達成できたため、ほとんどコストをかけず認知を拡大することができた

成功要因その2:参入障壁の低いオンボーディング

また、別角度からの要因としてはユーザーとブロックチェーンを遠ざけたことが挙げられる。

全ての選手NFTカードがクレジットカードで購入可能となったことで、暗号資産に触れる過程を経ずにゲームを開始できるようになった。

さらに、プレイヤー間の二次販売では、ガス代をSorareが負担し、カードの価値を100%売り手に還元する仕組みとなっている。

このように、ユーザー体験からブロックチェーンの複雑さや不満を取り除く形でゲームデザインされたのがSorareなのである。

選手購入時は、クレジットカード決済かETHでの決済かを選択することが可能

今後の展望

そんなSorareだが、今後はサッカー以外の事業に着手する意図が窺える。
先月12日にはMLB(メジャーリーグ)と提携し、野球版のSorareを構想しているようである。

野球版Sorareは今夏リリース予定のファンタジー野球ゲームです。ファンは、メジャーリーグ選手を代表するNFTでチームを作成し、トーナメントに参加し、現実世界での選手の成績に基づいて結果が反映される。
プレイヤーは無料で始めることができるが、NFTカードを購入するオプションがあり、このカードを使って報酬を得ることも、マーケットプレイスで転売して実際のお金を得ることもできるというゲームだ。シリーズBの調達資金は米国での現地オフィス展開にも充てられており、この布石であったのかもしれない。

野球版Sorareに成功すれば、サッカー以上の試合数がある分ゲームプレイがより活発になると共に、アメフトやホッケー、テニスなどの他スポーツへの更なる拡大も狙っていくだろう。
いずれにせよ、今後のSorareから目が離せない。

参照:https://venturebeat.com/2022/05/12/sorare-teams-up-with-mlb-on-nft-based-fantasy-sports/

※本記事は投資を促す内容の記事ではないので、あくまでも投資判断は自己責任でお願い致します

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