もしもAppBankがWEB3技術を活用して赤字脱却を狙うなら
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導入
2014~5年頃、大人気ゲーム「パズドラ」の攻略動画で一世を風靡した、マックスむらいさんでお馴染みのAppBankをご存知ですか?
実はAppBankは、2019年以降は営業利益がずっと赤字となっています。
かつてAppBank代表取締役社長であった村井智建さん(マックスむらいさん)は、事業について1人の力に依存していることを危惧しており、現在は3月から代表となった白石充三さんを中心に脱マックスむらいを掲げた事業を展開しています。
そんなAppBankの企業分析から入り、WEB3を活用できそうなアセットやポテンシャルから、赤字を脱却していくために必要な現金、そして企画の内容を実際の企画書と同じように説明していきます!
AppBankの分析
AppBankについて
AppBankは2012年に設立し、東証グロースに上場している企業です。パズドラの攻略動画や数々のゲーム攻略メディアを構築し、AppBankストアなどを展開している企業です。パズドラ攻略動画で有名なマックスむらいさんが一時期代表を務めており、インタビューなどではマックスむらいさんが「脱マックスむらい」を意識して事業を展開しています。
2015年には40億円弱の売り上げを出していたAppBankですが、今では8期連続赤字となっています。主にメディア事業の赤字が目立っており、メディア事業の撤退も見られています。
現在は原宿で展開しているどら焼き専門店「YURINAN-ゆうりんあん-」という事業がメインになっており、過去3年の運営からも利益率などはクリアしているそうです。
2024年4月に新たな代表取締役社長となった白石さんが、どのように事業を展開していくのか、経営を立て直していくのかに注目が集まっています。
参考:https://shachomeikan.jp/article/2442
AppBankの財務状況
現在、AppBankの財務状況は良いとは言えません。8期連続で赤字となっており、東証グロースの上場廃止基準である時価総額40億円に対して13.93億円しかありません。上場廃止基準が適応されるまでのあと1年で40億円にまで達しなければ、上場廃止になってしまいます。
メディア事業赤字が特に目立ちます。AppBankにとってかなりリソースを投下している事業でもあるはずなので、今後店舗事業拡大へ移るためにも、キャッシュエンジンになるくらいの利益を出しているのが好ましいはずです。
【AppBankの財務状況で目立つ部分】
キャッシュフローの状況
営業活動からのキャッシュフローは、年度によって異なる結果が見られますが、一部の年度でキャッシュアウトフローが発生していることが懸念材料です。特に、営業活動によるキャッシュフローがマイナスの年が見られ、運転資本の管理や売上からの現金回収がうまく行われていないことがわかります。
資産と負債の状況
資産総額は減少傾向にあり、特に流動資産の減少が見られます。これは資金繰りに関する問題を示しています。
負債についても、特に長期借入金の減少が見られる一方で、短期的な流動負債が増加している部分もあり、短期的な財務圧力が高まっていそうです。
明らかにコストを割いている事業
複数の年度にわたりセグメント損失が継続していることから、メディア事業における広告やコンテンツ制作の費用が収益を上回っています。この運用コストを下げることの優先度は高いでしょう。
収益性の低い事業
メディア事業は、報告された多くの年度で損失を計上しており、このセグメントはAppBankの収益性の低い部分と考えられます。ただし、メディア事業の中でも特定のアプローチや戦略が収益性に寄与していない可能性があり、これらの要素の見直しが必要です。
2018年〜19年ごろはストア事業の損失も目立ちますが、やはりメディア事業を黒字化することが優先的だと考えられます。運営コストに関する見直し、資金調達、この2つを解決することで、収益性も上がり、赤字からの脱却も見えてくるでしょう。
【メディア事業を黒字化するために】
では、どのくらい売上を出せば良いのでしょうか?ざっくりとバーンレートを算出したので、それを元に黒字化するための計画を立ててみましょう。
2019年〜2023年の売上と営業利益からバーンレートを算出しました。(今回は税金に関しては詳しく触れないこととします。)
この通り、月のバーンレートは3,800万円ほどだとわかります。そのため、最低でも月に3,900万円ほどは、売上を出すことが必要でしょう。
あとは売上に限らず、バーンレート自体を下げることも視野に入れておき、最低限のリソースで売り上げを最大限にするという基本戦術が肝になるはずです。
(参考情報)
セグメント別情報
IRによる決算情報
AppBankの課題
現在AppBankに求められていることは、「メディア事業の復活」だと思います。時価総額向上に関しても、赤字脱却に関しても、セグメント別売上で一番大きいメディア事業を復活させることが一番の近道でしょう。
そもそもメディア事業が衰退している原因として考えられるのは、昨今のSEO市場におけるGoogleのアップデートと、時代によるゲーム自体の人気度の落差などがあると考えられます。
その都度その都度に合わせた施策を取り入れていく戦い方ですと、Googleのアップデートで大幅にアルゴリズムが変わった時に、記事数が多いとリライトや更新が間に合いません。そのため、長い期間運営すればするほど、より大きなコストがかかってしまいます。これが衰退の主な原因ではないでしょうか。
ただ、何か新しいことをやるとしても、既存の慣れている事業と絡める方が良いです。そこで、現状のAppBankのメディアでの収益を上げることと、メディア事業に対するコストの見直しからキャッシュフロー改善をすることが、今のAppBankに求められていることではないでしょうか?
今後のAppBankとしては、業界全体として起こっている問題や顧客の悩みや疑問に直接アタックできるような体制を作ることが、課題解決のための道筋の一つではないかと考えられます。
会社のリソース整理
8期連続赤字といえど、今のAppBankにあるリソースを整理すると、ポテンシャルのあるものばかりです。
今注力している店舗事業以外から考えた、3つのセグメントについて整理します。
【7000記事を超える攻略サイトの運営実績】
AppBankは2012年から「パズドラ攻略サイト」を運営しており、パズドラ特化型の攻略サイトとして第一線を張っていました。その後「モンスト攻略サイト」を2014年から運営を始め、2つ合わせて7000記事を超える攻略サイトの運営実績とノウハウを持っています。
特化型サイトのため、そのゲーム自体の人気度や時代の流れによって変わっていくゲーム機によって、直接流入が減ってしまったり、逆に爆発的に増えたりするため、安定した収益はあまり期待できません。
【登録者数142万人のYoutube】
全盛期に比べて、今ではかなり再生数が落ちてしまいましたが、それでも他のYoutuberに頼む時のコストパフォーマンスと比べれば、十分すぎるほどプロモーションの力はあります。
最近はジャンルも幅広く、日常系の動画やAppBank関連の動画もあげているので、新事業としての打ち出し方としては、Youtubeを使うべきだと思います。
【ゲーム会社との繋がり】
今はどのくらいあるかわかりませんが、主にパズドラの生みの親である「Ganho」の方とは、当時の公式ニコ生放送に出るほど強くあったと思います。モンストの生みの親であるXFLAG(現MIXI)との繋がりも当時あったと思うので、この繋がり自体をリソースとしてカウントしています。
インターネット・SEO業界の分析
インターネット・SEO事業の成長する可能性
主にSEO事業ですが、SEO事業は、2014〜2018年にかけて9%ずつ市場規模を成長させています。そのため、2024年の市場規模は800億円以上と予想されており、今後も発展し続けるのではないかと言われています。
国内のSEO市場は、近年顕著な成長を遂げており、その背景には複数の要因が存在します。インターネットの普及率が高まり、企業におけるデジタルシフトが急速に進展していることが大きな推進力となっています。
特に、新型コロナウイルスの流行によってオンラインでの消費行動が活発化し、実店舗を利用する機会が減少する中で、ECサイトの売上は大幅に伸びました。これにより、企業はオンライン市場での競争力を高めるため、SEOへの投資が増加しています。
技術の進化もまた、SEO市場の成長を支える重要な要素です。AIやビッグデータの解析技術が進むことで、より精度の高いSEO対策が可能になり、個々のユーザーの検索意図や行動パターンに基づいた最適化が行えるようになっています。さらに、5Gの普及によりモバイル検索の利用が増加し、音声検索の普及も新たなSEOの領域を開拓しています。これらの技術的変化に迅速に適応し、検索環境の変化に対応するSEO戦略を取ることが、企業にとってさらなる成長のチャンスをもたらしています。
【参考】
インターネット・SEO事業における懸念点
懸念点は2つあります。
1つ目は、Chat-GPTなど生成AIの普及によって、専門的に知識がなくても誰でもコンテンツを作成することが可能になりました。
これによって、コンテンツを充実させることや、執筆の時間が大幅に短縮されたことで1記事あたりにかける時間が少なくなり、それなりの質の記事を大量生産できてしまいます。
これによって、同じような内容の記事が多くなり、昨今のSEOではコンテンツの量が重要指標の一つにもなっているので、低質コンテンツではないと誤認させることによって検索クエリを独占することも理論上は可能です。
2つ目は、本当に自分にとって大切な情報であったり、みんなの求めている質の良い情報を見つけ辛くなる可能性です。
同じようなコンテンツが増え続けると、その分、自分の求めている情報に辿り着くまでにクロールをする回数も増えます。
そのため、いかにAIと差別化を図り、どれが良いコンテンツなのかを客観的に判断することができれば、今後のインターネット・SEO業界においてはかなり優位性のあるメディアを作れると考えられます。
インターネット・SEO業界におけるWEB3プロジェクトとその課題
現状、インターネット・SEO業界における有力なWEB3プロジェクトは存在しませんでした。そこで、WEB3プロジェクトではないけど、WEB3のような分散型の既存プロジェクト・参考になりそうなプロジェクトを紹介します。
Wikipedia
Wikipediaは言わずと知れたユーザー編集型の辞典サイトです。誰が書いたかは不明で、アカウントを作成すれば誰でも編集可能になります。
ですが、誰でも書き込める故にソースが正しくないこともあるため、正確性には少し欠ける部分もあり、実際にイタズラで間違った情報を書く人もいます。
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