見出し画像

出る順!気象予報士試験法規問題①(☆☆☆編)

こんにちは!現役医学部生ながら第54回気象予報士試験に独学一発合格!を果たしたまっちゃと申します。

 200人以上の方にご購読いただいている『独学一発合格!医学生が考え抜いた気象予報士試験勉強法』の記事に続き、気象予報士試験攻略のための新しい記事がついに完成しました!!!

 <学科一般>で出題される15問のうち4問を占め、学科一般の合否を分ける「法規問題」に焦点を当てて、記事、というよりむしろ「参考書」を作りました!!法規分野は出題傾向の偏りが非常に強く、対策のコストパフォーマンスがとても良いためです。
(実技を含めた試験全般の勉強法に関してはこちら↓の記事をどうぞ!)

 早速ですが、過去に出題された法規分野の問題をご覧ください。(正誤の組み合わせを問う問題から一部の選択肢を抜粋しました。)

53回問13(b):予報業務の許可を受けた事業者の下で予報業務に従事しようとする気象予報士は, その旨を予め気象庁⻑官に届け出なければならない。
51回問14(b):気象予報士は,気象の予報業務に従事するときには,自らが遅滞なく気象庁長官に届け出なければならない。
49回問13(b):気象予報士が予報業務の許可を受けた事業者の下で現象の予想を含む予報業務に従事するときには,気象予報士は予め気象庁⻑官に届け出なければならない。
46回問13(a):予報業務の許可を受けた事業者の下で予報業務に従事しようとするとき,気象予報士は,その旨を気象庁長官に届け出なければならない。

 驚いた方も多いのではないでしょうか?なんと2回に1回のペースで全く同じ内容の選択肢が繰り返し出題されているのです!!!!

 過去の出題傾向を第36回試験まで遡ること計20回分徹底分析し、莫大な時間をかけて3篇計50,000字を超えるnoteにまとめました。この記事をご活用いただければ、学科一般で出題される気象法規問題をコンスタントに全問正解できる実力を身につけることが可能です。

画像1

〜実際の作業風景〜

 選択肢を1つ1つ法律の原文と対応させていくのは非常にハードな作業でした💦しかし、気象予報士試験法規問題のすべてに対応でき、なおかつ必要最低限の知識を徹底的に整理した記事をお届けするためにこの作業は欠かせませんでした。
 先ほどもご紹介しましたが、法規問題は毎年必ず<学科一般>で15問中4問出題されるので、この4問を取れるか取れないかで合否が大きく左右されます。筆者が第54回試験に合格した際も、法規問題で満点を取れたことが、1つの大きなポイントだったと感じています。
 また、法規問題を効率的に勉強するための参考書が現在ほとんど売られていないと感じ、この参考書を執筆するに至りました。

法規に焦点を当てた数少ない参考書ですが、お値段が張ります…

 大変恐縮ながら、途中から有料記事とさせていただいております。しかし、気象予報士試験の法規問題で得点を安定させるためにここまで徹底的に過去問を分析して作られた参考書は他にないという自負がありますし、気象予報士試験合格を目指す過程で最初に立ちはだかる「学科一般」の壁を確実に突破するためにぜひこの記事をご活用いただけたら嬉しい限りです!

 各法規のポイントを解説していく中で、過去問で頻繁に使われる正解選択肢のパターンはもちろん、引っ掛け選択肢(間違い選択肢)のパターンも絡めながら要点を解説しているので、安定した得点力が身につきます。さらに、近年新しく追加された特別警報に関する法規事項などもしっかりカバーしています!『らくらく突破シリーズ』などの参考書では対応しきれない部分に関する学習もこのnoteにお任せ下さい!
 読者の方へのサポートもお約束いたします。苦手な分野に対応する過去問のリストが欲しい!などのご要望がございましたら、記事最後のパスワードをTwitterのDMに送ってください。

 気象法規分野はとても細かな知識を必要とし、勉強に時間と気力を要する分野ですが、なるべく少ない暗記量ですべての出題範囲をカバーできるよう試行錯誤を重ねてこのnoteが完成しました。

気象予報士を目指してはじめの一歩を踏み出しましょう!

本書の構成

 出る順!とタイトルにありますように、出題頻度が高い事項から順に知識を整理しています。
 各事項に対して、過去20回の試験で出題された回数も記載しました。目安として、☆の数(☆~☆☆☆)で出題頻度を表していますが、☆3つの7項目を学習するだけでも年によっては4問中3問以上正解できると思います。
 このnoteでは、最も出題頻度の高い☆☆☆の項目を扱います。☆☆や☆の項目に関してはこちらのnoteをご参照ください!(マガジンでまとめ買いがお得です!)

重要度☆☆☆の7事項

1. 技術上の基準に従ってなければならない気象観測
2. 予報業務の許可の申請と許可の基準
3. 気象予報士に行わせなければならない業務
4. 気象予報士の登録とその抹消
5. 罰則
6. 気象予報士の設置の基準
7. 変更に必要なのは認可?届け出?報告?

 重要度☆☆☆では7つの項目を扱います。どれも分析した過去20回のうち7回以上は出題されている超頻出事項です!!分野によっては2回に1回以上のペースで出題されているので、しっかり抑えれば得点源となること間違いありません!

1. 技術上の基準に従ってなければならない気象観測

【出題頻度☆☆☆】この範囲から出題されたのは、(第54回試験までの)直近20回のうち第36,37,43,44,47,50,52,54回の計8回です。

 最初なので、本書の構成を丁寧に説明しながら進めていこうと思います。
 各範囲の学習の導入として、試験で問われる要点を端的にまとめた「エッセンス」を紹介します。この範囲(1. 技術上の基準に従ってなければならない気象観測)では3つのエッセンスをご用意しました。
 それでは、まず最初のエッセンスからご紹介します。

<法規エッセンス1-1>
気象庁以外の政府機関または地方公共団体」は、基本的に国土交通省令で定める技術上の基準に従って気象の観測を行わなければならないが、研究と教育のために行う場合は例外でその必要がない。
「政府機関及び地方公共団体以外の者」は、基本的に技術上の基準に従って気象の観測を行う必要はないが、観測の成果を発表するため、あるいは観測の成果を災害の防止に利用するために行う場合は例外として技術上の基準に従う必要がある。

 続いて、エッセンス1-1に対応する範囲の法律原文を読みやすく編集したもの(重要な部分には太字を用い、分かりにくい部分は適宜言い換えました)を引用し、その後で詳しい解説を加えていきます。
 試験問題を解く観点からは、各エッセンスの内容さえ押さえてしまえば十分なのですが、法規分野の細かな知識は、1度読んだだけではなかなか頭に入ってこないので、ぜひエッセンスを読んだ後に法律の原文にも目を通すことで記憶を定着させていきましょう。

(気象庁以外の者の行う気象観測)
第六条 気象庁以外の政府機関または地方公共団体が気象の観測を行う場合には、国土交通省令で定める技術上の基準に従って観測しなければならない。ただし、以下に掲げる気象の観測を行う場合は、この限りでない。
一 研究のために行う気象の観測
二 教育のために行う気象の観測
三 国土交通省令で定める気象の観測
2 政府機関及び地方公共団体以外の者が次に掲げる気象の観測を行う場合には、前項の技術上の基準に従ってこれをしなければならない。
一 その成果を発表するための気象の観測
二 その成果を災害の防止に利用するための気象の観測

 それでは解説に入ります。
 エッセンス1-1の内容のうち、試験で狙われるのは「例外」の方です! 
 例えば、実際の試験で出題されうる問題として、「鉄道事業者が突風による事故防止のため風速計を設置して観測を行う場合には、国土交通省令で定める技術上の基準に従って観測を行わなければならない」という選択肢の正誤を判定させるものが考えられます。
 鉄道会社は「政府機関及び地方公共団体以外の者」ではあるものの、「観測の成果を災害の防止に利用するため」に行う観測に該当するので、例外的に技術上の基準に従って気象の観測を行わなければなりません。よって、この選択肢は◯です

続いて、2つ目のエッセンスを紹介します。

<法規エッセンス1-2>
技術上の基準に従って気象の観測を行わなければならない場合、観測施設を設置した時にはその旨を気象庁長官に届け出なければならない。また、気象庁長官はこの届出をした者に対して、気象の観測の成果を報告することを求めることができる。

 エッセンス1-2に対応する法律原文は、以下の通りです。

3 前二項の規定により気象の観測を技術上の基準に従ってしなければならない者がその施設を設置したときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を気象庁長官に届け出なければならない。これを廃止したときも同様とする。
4 気象庁長官は、気象に関する観測網を確立するため必要があると認めるときは、前項前段の規定により届出をした者に対し、気象の観測の成果を報告することを求めることができる。

 この内容は、法規エッセンス1-1の内容と絡めて出題されるケースが非常に多いです。
 例えば、「地方公共団体に属する教育機関が、研究のために観測施設を設置した場合、気象庁長官に届け出をする必要がある」という選択肢が考えられます。この選択肢の場合には、エッセンス1-1の内容より、「地方公共団体」が気象の観測を行う場合、研究のためであれば技術上の基準に従う必要がないので、答えは×となるわけです。
 他にも、「河川管理者が流域住民に洪水の発生を通知する目安とするために河川に水位観測施設を設置する場合、気象庁長官に届け出をする必要がある」という引っ掛け選択肢が考えられます。災害の防止に利用するための観測だから◯!としたくなるところですが、そもそも水位の観測は「気象の観測」の定義に含まれないので×です!(実は、筆者もよく間違えていた選択肢です。)「気象の観測」に含まれる一覧をすべて覚えるのはオーバーワークなので、第43回、50回と繰り返し登場したこの引っ掛け選択肢をそのまま覚えてしまいましょう。
 では、この範囲最後のエッセンスを紹介します。

<法規エッセンス1-3>
・技術上の基準に従ってしなければならない気象の観測に用いる気象機器
・気象庁長官に対して気象観測の成果を報告しなければならない船舶に備え付ける気象機器
・予報業務の許可を受けた者が予報業務のための観測に用いる気象機器

これら3つの気象機器に関しては、気象庁長官の登録を受けた者が行う検定に合格したものでなければ、使用してはならない。

 法律原文の対応部分は以下の通りです。

(観測に使用する気象測器)
第九条 第六条第一項若しくは第二項の規定により技術上の基準に従ってしなければならない気象の観測に用いる気象測器、第七条第一項の規定により船舶(=気象庁長官に対して気象観測の成果を報告しなければならない船舶)に備え付ける気象測器又は第十七条第一項の規定により(予報業務の)許可を受けた者が同項の予報業務のための観測に用いる気象測器であって、正確な観測の実施及び観測の方法の統一を確保するために一定の構造(材料の性質を含む。)及び性能を有する必要があるものとして別表の上欄に掲げるものは、第三十二条の三及び第三十二条の四の規定により気象庁長官の登録を受けた者が行う検定に合格したものでなければ、使用してはならない。

 この内容もまた、法規エッセンス1-1の内容と絡めて出題されるケースが目立ちます。
 例えば、「地方公共団体に属する教育機関が、教育のために観測を行う場合、観測に用いる機器は検定に合格したものでなければならない」という選択肢が考えられます。エッセンス1-1の内容より、「地方公共団体」が気象の観測を行う場合、教育のためであれば技術上の基準に従う必要がないので、答えは×となるわけです。
 エッセンス1-3で列挙した気象機器のうち2つ目の、「気象観測の成果を報告しなければならない船舶に備え付けられる気象機器に関しては、マイナーな知識のようにみえて36回、47回、50回と繰り返し出題されていますのでしっかり押さえましょう。

 冒頭でもお伝えした通り、残念ながら法規分野は暗記事項が非常に多く、勉強には時間と気力を要します。しかし、なるべく少ない暗記量ですべての問題をカバーできるよう心がけながらこの参考書を構成しましたので、一緒にゆっくり頑張っていきましょう。話し口調で解説を加えていきますので、意外とあっという間に読破できると思いますよ!

 次は、直近20回のうち計15回という脅威のペースで出題が繰り返されている「予報業務の許可」に関連した知識のまとめに移ります。

2. 予報業務の許可の申請と許可の基準

【出題頻度☆☆☆】この範囲から出題されたのは、20回のうち第36,38,39,40,42,43,45,46,48,49,50,51,52,53,54回の計15回です。出題されない方が珍しい!!!!!
まずは、予報業務の許可の申請に関してエッセンスからお伝えします。

ここから先は

14,302字
この記事のみ ¥ 980

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?