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全てが歪んで視える.



暖かく痛いほどの優しさを知らないままでいたかった.

消費期限のある優しさなら、温かさなら
最初からそんなものなんて知りたくない.

知ってしまったら縋りたくなってしまうから
ずっと足りていなかったが故にその優しさと
温かさを求めてしまうから…
それで相手を苦しませたり、
悩ませるなんて1番避けたい.

だから最初からいつか無くなってしまうなら
知らない方が良かったんだ.

大切に想ってくれている人たちから受け取る
優しさが苦しいと感じることがあるなんて
おかしいじゃないか.


思い返せばずっとずっとずっと
全てがおかしかった.

一度間違えた道はもう戻れない.
もうなかったことにはできないのだ.
この腕にあるたくさんの傷跡もお腹の傷も
視えはしない心の傷も抱えた黒い感情も
どんなに泣いても消えてはくれないのだ.

増えることはあっても
もう消せない.

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