投資信託、日本と海外の違いは!!
2020年のコロナショックをきっかけに個人でも投資に興味を持つ方が増えました。ネット証券でも証券口座の開設数が急増しており、「人生100年時代」への備えとして投資の必要性が認識され始めています。
マネーフォワードが行った調査によると、2020年に新たに投資を始めた人の5割が投資方法に「投資信託」を選んでいます。(参考:なぜコロナ禍で投資を始める人が増えたのか?)
しかし海外の投資信託市場と比べ、日本国内の投資信託市場の評価は決して高いものではありません。この記事では国内の投資信託市場の現状についてお伝えします。
日本国内投資信託市場の現状
国内投資信託で設定されているファンドは2021年8月現在で約6,000本あり、投資対象や投資地域など様々な種類のファンドが揃えられています。
コロナショックをきっかけにますます注目を浴びている国内投資信託市場ですが、世界的に見るとその評価はどうでしょうか。米モーニングスターが行った調査によると日本の投資信託市場の評価は「C-」となっており、これは25ヶ国中24位の結果となっています。(参考:日本は“投信後進国”!?グローバル調査下位の理由)それぞれの項目別の評価を見ると「情報公開」が「C」、「手数料・費用」が「D+」となっており、この2項目が特に低い評価を受けたことが分かります。
日本国内投資信託市場が抱える問題点
日本の投資信託市場がそれほど低い評価を受けている理由として、大きく分けて2つの問題点が挙げられます。
まずよく言われていることが日本人の金融リテラシーの低さです。S&P社が2015年に行った「グローバル・ファイナンシャル・リテラシー調査」によると、日本人の金融リテラシーは世界38位となっており、これはG7の中で5位の評価となっています。(参考:日本人の過半数は「金融知力」なし 自分の金融知力を診断してみよう)この背景には金融教育が大きく影響していると考えられます。日本ではこれまで学校教育のなかで金融教育が行われてきませんでした。それに対して欧米の教育では小学校から金融教育が行われており、金融市場の仕組みについて学ぶ機会が与えられます。そのため資産形成の手段として投資を行うことに抵抗がないのです。日本ではいまだに「株は怖い」「投資は博打だ」といった声を聞くことがありますが、これはまさに金融教育が行われてこなかった結果だといえるでしょう。
またもう一つの問題点として、日本では証券会社や銀行によって「売り手優先の営業」が行われてきたことが挙げられます。販売会社は商品を売ることによって手数料収入が入ります。「顧客の資産形成の手助け」といった観点ではなく、「会社の収益を上げるための販売営業」が長らく行われてきたのです。そのため、解約する必要のないファンドを解約させ新しい商品の購入を勧める回転販売が横行していました。しかし投資の基本は「長期保有」です。短期間での回転販売ではなかなか利益を出すことは出来ないでしょう。「売り手優先の営業」の結果、投信業界では「投資で良い思いをした顧客」を増やすことが出来なかったのです。
外国投資信託市場の現状は?
外国投資信託市場について、日本と比較してみましょう。外国投資信託の総数は今や10万本以上とも言われており、最近では仮想通貨のみを投資対象としたファンドも新たに販売されています。中には過去10年で10%以上の利回りを出している優秀なファンドもありますが、国内投資信託の中には残念ながらそのような優秀なファンドは1つもありません。(参考:富裕層が殺到!年利15.2%の有名ヘッジファンドに個人でも投資できる方法とは?-ヘッジファンドダイレクト)
こういった現状を見ると、海外投資信託の購入を検討される方もいるかもしれません。海外投資信託については日本国内でも証券会社などが輸入販売を行っていますが、情報開示が少ない点や国内投信と税金の取り扱いが異なる点から、中々投資を実行している投資家が少ないのが現状です。
日本国内における独立系ファンドの躍進
海外投資信託市場と比べ低い評価を受けている国内投資信託市場ですが、近年では独立系ファンドが目覚ましい躍進を遂げています。独立系ファンドとは証券会社や銀行に属さない運用会社が運用する投資信託のことを指します。老舗の「さわかみ投信」やメディア露出の多い「ひふみ投信」などがその例です。
独立系ファンドの特徴として、証券会社や銀行での販売手数料収入に頼らない運営が行われていることが挙げられます。また新たなファンドを次々と設定するのではなく、厳選された数少ないファンドの運用に注力していることも特徴といえます。
その結果「ひふみプラス」は純資産総額が約5,000億、「さわかみファンド」は約3,700億の超大型ファンドへと成長しています。
このように独立系ファンドの台頭により、国内投資信託市場の現状も少しずつ変化してきています。
よりよい資産形成のために
「人生100年時代」を楽しく生きていくために、資産形成を行うことは欠かせません。日本では長年低金利が続いており、預金だけで安心できる時代は終わってしまったといってもいいでしょう。そのためにNISA制度やiDeCo制度など資産形成の手段はたくさん準備されています。
証券会社や銀行も「売り手優先営業」からの脱却を図らなければいけません。また私たちも金融リテラシーを向上させることで、「営業マンに言われるがままの商品選び」から卒業することが出来ます。人生を豊かにするために、お金は必要不可欠なものです。よりよい資産形成の手段を選ぶためにも、ひとりひとりが金融リテラシーの向上に努めなければならないでしょう。
それでは今回はこの辺で!
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