マガジンのカバー画像

AI小話

12
AIに作ってもらった小話。 自分の中で内容が☆3くらいを越えたらちょっと手を加えて載せてます。
運営しているクリエイター

記事一覧

猫の恩返しじゃないけど

猫の恩返しじゃないけど

僕が住んでいるマンションは、いわゆるペット禁止の物件だ。だからこそ、隣人の部屋から聞こえる「にゃー」という鳴き声に最初は驚いた。

いや、正確に言えば驚いたのはその後だ。隣人である高村さんは、僕が不審そうにドアを見ているのに気づくと、ドアを少し開けて言ったのだ。

「これは猫じゃない」

「いや、どう聞いても猫ですけど」

「違うよ。これ、僕だ」

高村さんは真顔だった。僕がぽかんとしていると、彼

もっとみる
お気に入りの傘

お気に入りの傘

駅の改札を出たところで、亮太は自分の傘がないことに気づいた。座席の上に置きっぱなしにしてしまったらしい。

「まぁ、仕方ないか」

傘をなくすのはこれで三度目だ。しかも、今日の傘はお気に入りだった。父親が数年前にくれた、落ち着いた青色のチェック柄。正直、それほど高価なものではないが、妙に手に馴染む感じが気に入っていた。

その日、会社での仕事は散々だった。上司には小言を言われ、ランチのサンドイッチ

もっとみる
普通の隣人

普通の隣人

僕の隣に住む男は、何かがおかしい。

まず、引っ越してきた日の挨拶だ。一般的な「よろしくお願いします」だけで終わると思ったら、その男は一枚の紙を僕に渡してきた。そこには大きくこう書かれていた。

「僕は普通の人間です」

普通の人間が、そんなことをわざわざ宣言するだろうか?

「なんですかこれ」と僕が聞くと、彼はまじめな顔でこう答えた。

「自分の正体を疑われたくないんです」

「正体って…あなた

もっとみる
止まった時計

止まった時計

春先の午後、街角の古道具店で、澪(みお)は一つの時計に目を留めた。それは小さな置時計で、文字盤の中央に細かいヒビが入っていた。針は止まったままだが、どこか引き寄せられるものを感じ、澪はそれを手に取った。

「それ、動きませんよ」と店主が笑いながら言う。

「でも、飾るにはいいですよね」と澪は答え、その時計を購入した。

自宅に戻ると、澪はその時計をリビングの棚に置いた。動かない時計はまるで静かな彫

もっとみる
図書館の窓際

図書館の窓際

「また来たの?」

図書館の窓際で本を読んでいると、いつものように黒猫が顔を覗かせた。私は窓を少し開け、猫を中に入れる。

「今日は何を読もうか」

黒猫は本棚の前で立ち止まり、尻尾でノンフィクションの棚を指す。

「へぇ、今日は難しいのがいい気分?」

図書館に猫が来ることを、司書の山田さんは黙認してくれていた。誰にも迷惑をかけないし、本を傷つけることもない。ただ、私の隣で本を読むだけ。

「あ

もっとみる
折り紙の女

折り紙の女

深夜の病棟は、消毒液の匂いだけが廊下を歩いていた。私は夜勤の巡回を終え、ナースステーションに戻ろうとしていた。

「あの、すみません」

振り返ると、403号室の前に小さな女の子が立っていた。真っ白なワンピース。手には折り紙。

「こんな時間に廊下を歩いちゃダメよ。お部屋はどこ?」

「ここです」

女の子は403号室を指差した。でも、そのはずはない。403号室には末期がんの老婆しか入院していない

もっとみる
コンビニの空

コンビニの空

夜勤のコンビニで、僕は缶コーヒーの賞味期限をチェックしていた。真夜中の3時。外は雨。

「いらっしゃいませ」

入ってきたのは、ずぶ濡れの高校生くらいの女の子。制服のスカートから雨が滴り落ちている。

温かい食べ物コーナーをしばらく見ていた彼女は、肉まんを二つ手に取ってレジに来た。

「これ、温めてもらえますか?」

「はい、少々お待ちください」

電子レンジに肉まんを入れる。チンという音が静かな

もっとみる
波の行方

波の行方

30歳の陽介と美咲は、久々に大学時代に訪れた海辺に行くことにした。そこは二人が付き合い始めた場所でもあり、十年近く経った今、どこか気のおけない相棒のような関係に落ち着いていた。

「で、なんでまた海に?」と陽介が運転席から聞く。

「理由は特にないけど、なんとなく、ね」と美咲は窓の外を見ながら答えた。「昔のこと、ふと思い出しただけ」

「暇だったってわけだな」と陽介は言って、車の音楽を少しだけ上げ

もっとみる
たまにはおしゃれして

たまにはおしゃれして

町で有名なおじいちゃんの義男さんとおばあちゃんの節子さんは、普段からとにかく質素で、家の中でも外でも同じような格好で過ごしていた。ところがある日、節子さんが突然、義男さんに言った。

「ねえ、たまにはおしゃれしてみましょうよ。なんだかそのまんま芋みたいな服ばっかりじゃない」

義男さんはびっくりしたように眉をひそめた。

「なんだ、芋って…失礼なこと言うんじゃないよ。俺はこれが気に入ってるんだ!」

もっとみる
読むべからず

読むべからず

彼が最初にその手紙を見つけたのは、駅のベンチだった。古びた便箋には「読むべからず」とだけ書かれている。何かの悪戯かと思い、無視して立ち去ろうとしたが、どうにも気になってしまい、手紙を開けてしまった。

「お元気ですか?最近、私のことを思い出してくれましたか?」

その一文を目にした瞬間、まるで誰かが自分を遠くからじっと見つめているような感覚に襲われた。覚えのない言葉なのに、なぜか心の奥に引っかかる

もっとみる
夜の声

夜の声

部屋の電気を消した。毎晩、彼はそのスイッチを押すと、どこからか聞こえてくる“声”に耳を傾けていた。声は一つではなかったが、彼にはそれが一つの意志のように感じられた。

「今日は、どうする?」声はいつも同じ質問を彼に投げかける。

「何もないよ」と答えると、声は遠ざかっていくように感じたが、返事をしない夜もあった。返事をしなかった夜には、何かが変わっていることがあった。小さな物音だったり、知らない番

もっとみる
おつり

おつり

「おつり、三百七円です」

コンビニで会計を済ませ、ふとレジの青年が差し出す手を見ると、あまりに無表情なその顔に驚いた。何か魂が抜けているような感じ。俺が受け取る前に、彼の目が一瞬俺を見て、「実はですね」と言う。無駄に小声だ。

「このおつり、ちょっと呪われてるんですよ」

俺は一瞬固まる。冗談かと思いきや、彼の目は真剣だ。呪われたおつりってなんだ。と思っている間に彼が続ける。

「今夜中に誰かに

もっとみる