iPhone12シリーズを買ってはいけない4つの理由

iPhone12シリーズが発売されたが、結論から言えば、今、iPhoneが欲しい人は、

・特に拘りが無い: iPhoneSE
・高画質カメラ付きが欲しい: iPhone11Pro

をオススメする。

1. 「Pro」を名乗るのにふさわしくないサイズ

iPhoneが発売されるたびに、とりあえずは、Apple Shop等の裏にドデカイ防犯装置の付いてない店で、手にもって感触を確かめているのだが(iPhone3Gs, iPhone4s, iPhoneSE 1st, iPhoneXsは予約日当日に予約し、発売日に入手)、iPhone12 Proを手にした感触は酷かった。とても片手で扱える設計になっていなかったからだ。

iPhone6で画面を大型化した一方、個体を薄くし、角を丸くすることで何とか片手持ちが行えるようデザインし、iPhone4(4s)がスマートフォンとして至高のサイズと考えている筆者も、何とかXsまでは片手で使いこなせるようになり(ただ入手初日は、親指の付け根が腱鞘炎になった)、iPhone11 Proも、まだいけるかなという感触は得ていたが、iPhone12 Proは、どうやっても片手で扱えるデザインにはなっていなかった。iPhone5のように周辺を角張らせてしまったため、片手で持ったとき、親指が全然動かせないのだ。

Appleもそれを理解しているからこそ、miniをラインナップしたのだろう。

ただ、iPhone12はともかくiPhone12Proまで、片手操作を諦めさせるデザインになっているとは考えてもおらず、大きく落胆させられた。片手で扱える三眼カメラ付きiPhoneが欲しい方は急いでiPhone11Proを探した方がいいだろう。

2. Touch IDの不採用

コロナ前まではfaceIDは確かに便利だった。

しかしながら、マスク生活が前提の今、faceIDは余りに使いづらい。人によって、マスクを着けたままfaceIDを認識させたり、解除するときだけマスクを少しズラしたり、という対処をしているようだが、前者はセキュリティリスクを上げる行為、後者はコロナ感染/伝搬リスクを上がる行為であり、どちらも、あまり好ましいものではない。

コロナ拡大後でも、faceIDの製品にGoが出た背景には、欧米人のマスクの考え方が、アジア人のそれと大きく異なる点もあるだろう。分かりやすいのが、そろそろ「元」が付きそうなトランプ大統領で、どんなに感染が拡大しようとも、自身が感染した後も、マスクを着けなかったが、欧米人の感覚として「顔をマスクで隠す」=「自分自身を隠す」と考えていることで、主義主張を重要視する欧米諸国では、マスクを付けるという行為は、そうそう受け入れられないものなのである。従って、近いうちにマスクを付ける文化は無くなっていくだろう、という読みもあったと推測される。

また、コロナ感染拡大の兆しが見えた頃には設計が固まっていたので、今更設計を変えて、iPhone12の発売を遅らせるわけにはいかなかった、という経営判断もゼロでは無かったのであろう。

欧米の主義主張と経営を優先したAppleは、TouchIDの無いiPhone12シリーズの発売により、今後、「ユニバーサルデザイン」を語れる立場に無くなってしまったのは確かだろう。

3. 使い物にならない今の5G

iPhoneに限った話ではないが、FOMAやLTEの初期とは比較にならない位、今、商用化されている5Gは使い物にならない。Sub6でも3.5GHz、3.7GHzと、従来使われているLTEの周波数より一回り高く、ちょっと物陰に入っただけで、電波が途切れてしまうのだ。一部で、「真の5G」とも呼ばれるミリ波の5Gは、カバーエリアなんてお話にならないことは分かり切っており、少なくともスマートフォンにはいずれ乗らなくなる、と予想している。

キャリアの事情で5Gは進んでいくだろうが、これまでLTEで使っていた800MHzや高くても2.5GHzなどの周波数帯で商用化されて、ようやく使い物になる、と考えている。低い周波数で5Gを使っても、5Gの恩恵はほとんど無いのだが、それでも、各キャリアの通信容量制限の上限がちょっとでも増えるのであれば、歓迎したい。

5Gは、それまで待っていて良いだろう。(2~3年後の話と考える。)

4. 強い磁石の採用

昔からのAppleプロダクトデザインの大きな流れとしてメカ部品を極力排除する、というものがある。例を挙げると、下記のようなものがある。

・iPodのコントローラーを回転するホイールから静電容量式のクリックホイールに
・iPhoneはセンターボタン以外すべてタッチパネル制御→iPhone7でセンターボタンをハプティクスにしてセンターボタンをメカ静電式に→iPhoneXでセンターボタン排除
・iPhoneのイヤホンジャック廃止
・(今は亡き)MacBookでは、USB-Cポートを一つに

Appleがメカ部を排除に積極的なのは、故障原因の多くがメカ部分の摩耗によるものだからだろう。

iPhone12で残っているメカ部分は、

・電源、ボリュームボタン
・Lightningコネクタ

で、後者の排除の布石が、今回のMagSafe採用である。

実際にLightningは、色々課題のあるコネクタではある。コネクタ奥にゴミが詰まって充電できなくなったり、ケーブルのコネクタが酸化してしまったり(どちらも筆者経験談)、どうにかしたいと考えるのも分からなくはない。

しかし、その解決策として携帯に強い磁石を乗せるのは根本的にどうかと思う。

単純に考えれば、iPhone12側は磁力を持たない金属を置いて、MagSafeの充電側に強い磁石を採用、という構造が思いつくが、この設計だと、充電時にiPhoneが誤動作を起こす可能性が高いため採用しなかった、ということは容易の想像できる。光と影の関係のように、電気と磁気は表裏一体の関係なので、強い磁気を電子デバイスに与えると、電子回路は誤動作を引き起こすことがあるためだ。

言い換えれば、MagSafeの磁石は、他の電子デバイスに影響を与えるリスクがありますよ(iPhone12は、問題なく動くよう設計され、検証済だけどね)、と言っているようなものである。実際に、リスクは言及されている。

自社の利益のために他デバイスに影響を与えかねない部品を採用することは、デザインとして、基本あってはならない。

「スマート」の再定義へ

2007年のiPhoneの発売と同時にスマートフォンの定義は大きく変わった。それまでは、いわゆるBlackberry型のqwertキーボードが付いたものをスマートフォンと呼んでいたが、iPhoneの発売と同時に徐々に大型タッチパネルのものが主流になっていった。

あれから15年弱経つが、そろそろ、スマートフォンのスマートを再定義するときが来ているように感じる。

Appleも、全部が全部、ダメなデザインを行っている訳ではない。

AirPodsシリーズは、ジョブス亡き後に出た製品としては、最も成功したものと言える。手にして最も感動したのは、使っているときの使いごこちではなく、使わないときにケースに入れておく、というデザインだった。ケーブルイヤホンの最大の課題は、使ってないときに邪魔でしょうがない上、いざ使おうとすると、分けわからない絡まり方をしていることだった、というのは、AirPodsを使い始めて、初めて、これらの課題は「仕方がない」で諦めていたものだったと気づかされた。

iPhone11から採用されたUWBも、今はほとんど有効活用されていないが、iPhone4s(2011発売)から搭載されても長いこと使われなかったBLEが、近年、Pokemon Go PlusやTile等の製品に使われ始めたのと同じように、10年近くかけてスタンダードな規格になっていくと予想しており、iPhone11から搭載したのは英断だったと考える。

Appleは、ジョブス亡き後でも、まだまだ十分に優秀なデザイナーを抱えていると感じさせるプロダクトも少なくないだけに、早めに新たなスタンダードコンピュータデバイスの開発/デザインを望みたい。

#iPhone12 , #Apple

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