【産むことに人生全振り?!のりちゃんの話③】子どもを持つと決めた私たちがぶつかった壁!不妊治療って何から始めたらいいの?
みなさんこんばんは。
脊髄損傷車椅子ユーザーをパートナーに持つ2児の母、のりちゃんです。脊髄損傷の車椅子ユーザーと子どもをつくるということについて、私の経験をお話させていただいています。
ここに書かれた内容は、あくまでも私の場合の話ですので、一個人の経験談としてお楽しみください。
前回は障害のある人の産み育てる権利と私たちが子どもを持つと決めた経緯についてお話させていただきました。
【産むことに人生全振り?!のりちゃんの話②】障害のある人の産み育てる権利と私たちが子どもを持つと決めた経緯|ウィルチェアファミリー脊髄損傷男性の生殖に関するプロジェクト (note.com)
子どもを持つとは決めたけど
相談先を見つける
いざ子どもを持とうと決めた私たちでしたが、まず何をすればいいのかがわかりませんでした。
私たちは何をすべきなのか、脊髄損傷者に向けた治療はあるのか、一体どんな道筋をたどっていくことになるのか?わからないことだらけで、専門家に相談したいと思いましたが、いくら探しても相談先は見つかりません。
脊髄損傷に関連した団体や不妊治療の関連。探しても見つからず、たどり着いたのはお子さんを既にお持ちの、脊髄損傷の当事者男性でした。そして、県の不妊治療相談窓口です。
近隣の産婦人科にも行きましたが「不妊治療専門医に聞いてくれ」との回答でした。
当時(2010年頃)はまだSNSも発展しておらず、脊髄損傷者のパートナーと知り合いになり相談するというような機会は残念ながらありませんでした。
当事者男性からは、不妊治療の大まかな流れや「男性は見ているしかできないから、女性が切り開くしかない!あなたが頑張って!」という言葉をいただき、不妊治療相談窓口では男性不妊を扱う病院を教えていただきました。夫婦の場合は不妊治療専門病院、単身者の場合は脊髄損傷や生殖に明るい泌尿器科へ相談するのもいいそうですよ。
〇各都道府県の不妊治療相談センター一覧(こども家庭庁)
〇ウィルチェアファミリー座談室:
〇車いすユーザーのパートナーの会:オープンチャットにて個人で主催しておりますので、必要な方はご連絡ください。
https://www.instagram.com/s/aGlnaGxpZ2h0OjE4NDEwNDY2MzAxMDc5OTk5?igsh=eGxqaHNleGxkZXBl
通院先の選択肢を考える
通院の選択肢はどこまでの熱量で不妊治療に挑めるかや家族構成や仕事の有無で変わってきます。私たちが不妊治療を考えていた頃、男性不妊を扱える病院はそれほど多くなく、ましてや脊髄損傷者の治療実績がある病院はかなり絞られてしまいました。
多くの人に勧められたのは、某九州の病院と某北信越の病院でしたがどちらをとっても、泊りがけで治療に行くことになります。夫からは「何もそこまでしなくても…」の声。
次に、県内で考えましたが当時は男性不妊を扱う病院が2つほどしかありませんでした。どちらも近いとは言えませんでしたが、1つは夫のバスケチームの先輩たちがそこで不妊治療された病院でした。当然そちらへと思いましたが、夫から通うには現実的じゃないと言われ、それもそうだと思い一番近い病院を選択しました。
もしだめなら、転院すればいいのですから。
あれから10年以上の月日が経ち、不妊治療自体がメジャーになり、様々な情報サイトが立ち上がりました。当時の妊活仲間たちの手により、各病院の方針や口コミが見れるアプリなども立ち上がりました。
妊活界隈の情報の底上げと同時に男性不妊の認知度もアップし、脊髄損傷者の選択肢も、得られる情報も私が不妊治療を始めた頃よりは格段に広がったのではないかと感じています。
流れを知る
不妊治療自体の流れを知ることも大切なことでした。
それまで私は婦人科にかかったことがほとんどありませんでした。ですから、『婦人科にかかる=内診がある』そのハードルは大きかったように記憶しています。13回の採卵と2回の出産を経た今ではもう、簡単に腹をくくることができますが、それでも内診台に上がることは、決して平気なことではありません。
治療に際して、誰が何をされるのかということは押さえて、夫婦で共有しておけば、それなりに覚悟ができ、お互いの感情に寄り添うこともできるのではないでしょうか?
2010年頃に受診した私の流れはこうでした。当時はまだ現在のように夫婦で受診するなどの縛りがなく、同意書があれば夫は採精以外で通院する必要がありませんでした。この男性不在のシステムがのちに、夫婦の溝を生む原因になったのではないかと考えています。
最近は事前予約をして、説明会に参加するなどが必須の病院も多いようですね。
(次男の不妊治療で行ったfresh-TESE-ICSIの流れはまた別の機会にお話したいと思います。)
体外受精の流れ
我が家の場合は、この時点で体外受精か顕微授精が適当で、おそらく顕微授精になるだろうとのことでした。
不妊治療中の先輩車椅子ユーザーさんが通われていた病院の出している冊子が分かりやすいからと聞き、お願いして代理購入していただき、それを見ながら流れを把握しましたが、やはり実際にやってみなければ用語も治療イメージも掴むのは難しかったです。
今は様々なところで無料で不妊治療の情報が公開されていますから、是非チェックしてみてください。
使える制度を調べる
私たちの時代には保険適用がなく、代わりに都道府県や市区町村の不妊治療助成金がメインでした。私はあまりよく調べずにチャンスを無駄にしたくない一心で、年度終わりに不妊治療をスタートしましたが、不妊治療が長引いたせいで後にこの選択を恨むことになりました。
初回のみ年度内3回適応される助成金でしたが先走り、初回に1回しか使わない(年度末だったため)という選択をしてしまったのです。これは本当に痛かったです。まさか不妊治療があんなに長引くと思わなかったので無理もないのですが。
ですから、お金に関する制度や仕組みはきっちりと理解しておかれることをお勧めします。おそらく最近の妊活雑誌や情報サイトで詳しく説明されているのではないかと思いますし、おそらく不妊外来などで詳しい説明のできるスタッフの方がおられるかと思います。
また不妊治療をカバーできる保険商品や医療費控除、助成金などもあるようですので使える制度や回数・金額をしっかり調べて損をしないことも大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?いざ不妊治療をする!子どもを持つ!と決めても、そこから先の情報を持っているのといないのとでは大きな違いです。
私たちが不妊治療を始めたころは、今のように情報がでまわっていませんでした。脊髄損傷者の男性不妊についてはアカデミックな情報しかなく、脊髄損傷者の奥様が出されている情報もないに等しく、奥様と繋がる手段さえ乏しい状態でした。お子さんのいらっしゃる先輩車椅子パパさんや車椅子男性に相談する他ありませんでした。
「産むのは女性なんだから、あなたがリードしないと男からは言えませんよ!」
ですが私には情報がありませんでした。
そして不妊治療は女性の問題ではなく、夫婦の問題です。共にしっかり調べ、情報を得て理解し、双方納得の上で行うことが重要です。
だからあれから10年以上の月日、ずっと細々と情報発信してきました。そして今ここで発信することにしました。
もしもあなたが脊髄損傷男性やそのパートナーで、将来子どもを持つと決めたなら、どうか適切な情報に出会ってください。そして早めに行動してください。女性一人の問題にしないでください。ウィルチェアファミリーはあなたの人生選択を応援します。
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