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【中西哲生が語る】なぜ今、「N14ウインターキャンプ」を開催するのか?日本サッカーの未来を見据える想いとは

今回のメニューは、久保選手や中井選手に伝えているものと同じ内容

──今回、「N14ウインターキャンプ」の開催を決めた理由はなんでしょうか?

中西哲生 7月に自分自身のスクール「N14 METHOD FOOTBALL ACADEMY」を京都で開校しました。本当であれば、1年前に開校している予定でしたが、コロナの状況もあり、遅れてしまいました。ですが逆に、その状況で、スクールのコーチへの指導期間が1年間増え、僕が教えたコーチ陣のクオリティーが上がったことを感じています。

同時に、僕も想定していなかったのですが、京都でのスクール開校に際して、かなりの人たちから「東京ではないんですか?」「関東ではないんですか?」という声をいただきました。京都で立ち上げた理由はいくつかあります。

自分が京都にゆかりがあること、もう一つは、昔から京都が日本の中心であること。N14中西メソッドは日本で生まれた独自のメソッドなので、ゆかりのある場所でやりたいとずっと思っていました。そうした理由から、スクールは京都からスタートすることになりました。

みなさんからいただいた声は正直、うれしいものでした。スクールが開校して、これだけ反応してくださるとは思っていなかったので。僕は、このスクールでお金を稼ぎたいわけではなく、選手に伝えてきたメソッドを、いろんな方に知ってもらいたいと思っています。もちろん、選手の分母が多い関東で開校するのもいいですが、こだわった場所で始めたい想いがありました。本当にやりたい、知りたい、という人に伝わったらいいなと考えています。

N14ウインターキャンプの開催ですが、そうした背景のなか、KADOKAWAさんから「N14中西メソッドでなにか一緒にできませんか?」というお話をいただきました。そこで、僕が直接教える少人数のキャンプを開催したいという意向をお話しして、実現へと向かっていきました。少ない人数で、密度を高く実施できることになり、募集を始めました。

──久保建英選手や中井卓大選手に教えている内容と同じ指導をされるのでしょうか?

中西哲生 はい。僕がトップオブトップの選手に伝えてきたメニューは、常に同じです。同じなのですが、教えるアプローチを変えています。もちろん、プロと小学生でもアプローチは違います。ですが、獲得しようとするスキルは一緒です。今回のメニューのすべては、久保選手や中井選手が技術を獲得するために実施している内容です。久保選手は小学生から、中井選手は中学3年生からトレーニングをしていますが、逆に今回参加いただく年代の子どもたちのほうが進化するかもしれません。10歳前後の子どものほうが、神経系の発達が著しいですから、まずは真似をしながら技術を習得していくことに特化していくつもりです。

もちろん、真似だけではなく、N14中西メソッドの論理を伝えるアプローチの方法もありますから、そのほうがいい選手がいればそうします。いずれにせよ、アプローチこそ変わりますが、今、教えているトップオブトップの選手が習得しようとしている技術を体得できるようなアプローチにしようと考えています。

──小学3・4年生、5・6年生が対象で、それぞれ12人ずつとかなり少数です。なおかつ、中西さんのセレクションに合格した選手だけが参加できます。異例とも言える狭き門にした理由は?

中西哲生 セレクションについては、心苦しさもありました。ですが、本当に世界のトップオブトップを目指したい想いをもつ選手をトレーニングしたいという気持ちがあります。高い気持ちをもっている選手に集ってほしかった。それに、こうしたセレクションで参加を決めるタイプのキャンプが今まで開催されていなかったことも理由の一つにあります。

セレクションで、しかも、参加できる選手も最大12人という少ない数。お金を稼ごうと思ったらたくさん呼びますけど、そうはしたくなかった。同時に、自分が見られるギリギリの人数でもあります。フットサルコートで言えば、片面6人、フルコート12人。その人数であれば全員に目が行き届きますし、選手によって指導法を変えられます。これは、これまでの指導経験から導き出した人数です。今回のキャンプ自体は初の試みなので、フタを開けてみないとわからないですが、自分自身がN14中西メソッドを15年ほど積み重ねてきたなかで、それくらいの人数であればしっかり見られる自信があったので人数を12人にしてもらい、なおかつセレクションにさせてもらいました。

──定員を超える人数が集まってきていますが、申し込み時のPR動画を見た印象は?

中西哲生 一言でお伝えすると「ちゃんと準備をしてきていること」が伝わっていますし、すごく高いレベルで選考させてもらえたと感じています。これは、批判や否定の意味はまったくありませんが、小学生年代で、J リーグの育成組織などセレクトされたチームにいる選手や、全国大会のトップを争うようなレベルのチームにいる選手にとっては、休み中に試合などもありますし、なかなかキャンプに参加できる確率が少ないだろうと思っていました。

ですが、そうしたチームに所属している選手ではなく、仮にチームの結果はそれほど良いものではなくても、ここでやってみたい、という想いをもつ選手に来てもらいたいと思っていました。今、お話ししたように、トップレベルのチームは自チームの活動があるために参加しづらいことは理解していますし、そこで戦う選手は来られないかもしれないですが、高いモチベーションをもつ選手がここを一つのステップアップの場所と捉えていただけたらと考えています。

小学生や中学生年代で、その時点ではトップにはいない選手が、そこから一気に伸びることはあります。僕自身、小学生のときはそのレベルではありませんでした。どこでグッと伸びるかは誰も予測できません。日本全国、さまざま土地の選手が集える場所になり、今はそこまで実力が高くはない選手であっても、このN14サマーキャンプが、将来的にトップを目指せるきっかけとなる場所になってほしいと思っています。

錦織圭選手を輩出した「修造チャレンジ」のサッカー版を目指したい

──今回のキャンプは、中西さんが直接指導することと同時に、「第二の久保建英の発掘」がキーワードです。世界のトップを目指す選手を発掘したいという想いに賛同したテレビ朝日の「GET SPORTS」も取材、撮影してもらえることになりました。

中西哲生 そこについては感謝しかありません。自分自身もずっとナビゲーターをやらせていただいているGET SPORTSさんに今回の話を伝えた際に、「よかったら取材させてください」と言ってくださり、すごくうれしかった。松岡修造さんが「GET SPORTS」で「修造チャレンジ」をして、錦織圭選手を輩出した背景もあり、そのサッカー版を目指していきたいとおっしゃってくださっているので、ここに来る選手たちも、実際に見られる感覚のなかでいかに自分を表現していくか、なかなかない、貴重な機会であると思います。

映像があることは僕にとって意義のあることです。久保選手や中井選手も映像を撮影しながらトレーニングしていますし、選手から「あの映像がほしい」「ここをください」と話をしてくれることもあります。自分で自分の映像を確認しながら、自分がどうあるべきかを構築していくことをよく理解しているので、GET SPORTSが映像を撮影してくれて、キャンプ終了後には、編集したものを我々からお渡しできるので、客観的に自分を見られると思います。テレビ朝日で取り上げられたら、選手は違う緊張も生まれると思います。メディアが入ることでポジティブなところを出していけると思いますから、僕も楽しみです。

──錦織圭選手は「修造チャレンジへの参加が自分の今のきっかけになった」と話しています。松岡さんは錦織選手を四六時中教えていたわけではなく、たった数日間です。それでも選手にとって特別な経験となり、大きな分岐点、きっかけとなることがあるのでしょうか。

中西哲生 これは僕の個人的な経験ですが、中学1年生の頃にアメリカに住んでいて、所属チームの元プロ選手だった監督からサマーキャンプの参加を打診されました。実際に参加してみると、コーチの方が僕たちを見て、「キミは、プロサッカー選手になれるくらいの実力がある」と言ってくれたんです。うれしかったですね。そのキャンプは小学生から大学生まで参加していたのですが、僕は中学1年生ながら、コーチに呼ばれ、翌日から大学生のチームに入ってくれと言われました。その頃の僕は、プロになるといったことはなにも考えていなかったのですが、良いプレーをしていれば、飛び級できることを実際に体感しましたし、それが、自分が初めてプロを意識した瞬間でした。アメリカではありますが、まさにサマーキャンプ。プロクラブのコーチから「プロになれる」と言われたことが僕をその気にさせました。自分はプロサッカー選手になれる可能性があると、初めて認識しました。

そういう瞬間が生まれたらいいなと思っています。僕もいろんな選手を見てきたので、プロになれるかどうかは別としても、自分で「プロになれる」思った瞬間から取り組みが変わることを知っています。僕もそこから取り組みが変わり、日本に帰ってきてからも、プロ選手になりたい、プロを目指したいと思いながら生活していました。その意味では、キャンプが人生を変えるきっかけになります。僕自身が体感したからこそ、そうしたきっかけを与えたい。もちろん、全員がプロになれるわけではないですが、僕が「この選手ならプロになれる」と本当に思った選手には、それを伝えたい。選手の人生を変えるような3日間になるような時間を提供したいと思います。

──今回のキャンプで最優秀選手や優秀選手になると、中西さんから久保選手や中井選手、永里優季選手が受けているような個人指導を受けることができます。

中西哲生 自分が見て、最優秀選手に値すると思った選手がいたらセレクトしますし、優秀選手も何人かセレクトして、パーソナルトレーニングするつもりでます。ただし、該当者なしの可能性もあります。それくらいシビアに見ています。もしかしたら、優秀選手のみ3人くらい選んで、3人を定期的に数回くらい同時にトレーニングするかもしれません。もしかしたら、最優秀選手のみで、1人だけかもしれない。そこは生で見て、実際のトレーニングをしてみないとわかりません。本当に、この後も一緒に前に進んでいきたいと思う選手がいれば一緒にトレーニングしますし、もしかしたら、中井選手など、自分が教えているトップオブトップの選手と一緒にトレーニングしてもらうかもしれません。

──久保選手は小学生時代に長友佑都選手と一緒に練習していました。その選手が今、日本代表で一緒にピッチに立っている。そんなことが起こったらすごいですね。

中西哲生 当時、長友選手のトレーニングに何度も久保選手が来ていました。でも僕は、まさか日本代表の同じピッチに立つとは思っていませんでした。ただ、久保選手の成長曲線の上がり方が半端ではなかった。長友選手も「もう来たのか」と言っていました。以前、長友選手が「俺も頑張らないと」「俺も長く残らないと一緒にできない」と話していましたが、そんなことを気にする必要はありませんでした。実現してしまいましたから。トップオブトップの選手が近くにいることで成長曲線が変わることがありますし、自分もその瞬間を見ました。

久保選手は5年生の頃から見ていますし、「これくらいの状態であれば(プロになれる可能性がある)」というイメージはありますし、映像も残っていますから、あの当時の久保選手はこれくらいのレベルだったと比較もできます。逆に、当時の久保選手くらいのレベルに達していないと、彼の今のレベルまで行くのは難しいというイメージも自分にはあります。

それと、僕の感覚ですが、上にいく子どもたちは、自分自身がどうあるべきか、どうトレーニングしていくべきかを理解した上でトレーニングしているように感じます。選手にはいつも言いますが、「トップに行ってほしいけど、僕ができるわけじゃない」と。最後は自分がうまくなるしかない。誰かがうまくしてくれるわけではなく、最後は自分。そこをわかっているかどうかは大事です。キャンプでは、実技だけではなく座学でも、選手としてのメンタリティや、久保選手や中井選手が進んできた経験をうまく伝えられたらと思います。

──今回参加する選手には、どんな志や姿勢で来てほしいですか?

中西哲生 変に入れ込みすぎても良くないということは現地で選手たちにも伝えますが、良い準備だけはしてきてほしいです。体調を万全にしてきてほしい。夏ですし、こちらも水分や栄養などを含めて対策をしますが、選手は思いっきり動き回れる準備をしてきてください。

11月10日20時から、中西氏による無料説明会を開催





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