年金の仕組みを知ろう
1.老齢年金とは
日本の公的年金制度は国民年金と被用者年金の二つに大別されます。
老齢年金は、公的年金制度の加入者であった方の老後の保障として、原則65歳になった時にその受給が始まり、生涯にわたって受け取る事ができます。
老齢年金を受給するには保険料を納付した期間、及び保険料の免除を受けた期間などを合算した「資格期間」が10年以上あることが必要となります。
ご自身が加入していた年金制度によって、国民年金から支給される「老齢基礎年金」、厚生年金から支給される「老齢厚生年金」が受給できます。
また老齢年金には、性別や生年月日によって65歳前でも支給される「特別支給の老齢年金」と言う制度もあります。
この二種類の公的年金の他にも、企業が独自に加入している場合に受給できる企業年金(公務員、私学教職員の場合には退職給付)などもあり、ここまで読まれただけでも「年金はとても複雑な制度」との認識をもたれた方もあるかもしれません。
しかしご自身が将来受け取る大切な制度ですので、その大枠だけでもとらえておくべきとも言えます。
これらの年金は条件が整えば重複して受給が可能なことから、よく三種類の年金を階層に例え『三階建ての年金制度』などと呼んだりもします。
2.老齢基礎年金
それではそれぞれの階層ごとにその年金の特徴を見て行きましょう。
まずは三階建の一階部分にあたる「老齢基礎年金」です。
基礎年金は自営業者のほか、民間被用者、公務員や専業主婦、学生等も加入する全国民共通の制度となっています。被用者年金(厚生年金)の加入者は基本として併せて基礎年金にも加入し、同時に二つの公的年金の加入者となります。
老齢基礎年金は、20歳から60歳になるまでの40年間の国民年金の加入期間等に応じてその年金額が計算され、原則、65歳から受け取る事ができます。
ここで言う「加入期間等」とは、国民年金保険料を納付した期間や免除を受けた期間のほか、サラリーマンや公務員として厚生年金や共済組合等に加入した期間、また専業主婦(夫)として国民年金に加入していた期間についても年金額の計算に含まれます。
また60歳から65歳までの間に、受給期間を繰上げて減額された年金を受け取り始める「繰上げ受給」や、66歳から75歳までの間に受給開始時期を繰下げて増額された年金を受け取り始める「繰下げ受給」といった制度もあります。
※これらについては別途、解説させていただきます。
3.老齢厚生年金
次に二階部分に相当する老齢厚生年金について見て行きます。
老齢厚生年金は、厚生年金保険に加入していた方が受け取る事のできる年金で、原則として基礎年金に上乗せして給付されます。
厚生年金加入時の報酬額や、その加入期間によって年金額が計算されるため、その金額は人によってマチマチです。
支給されるのは同じく原則で65歳からになります。
またこちらにも基礎年金同様に「繰上げ受給」「繰下げ受給」の制度もあります。
4.企業年金(公務員、私学教職員の場合には退職給付)
最後に三階建の三階部分に相当する企業年金についてです。
これは勤務していた会社などが独自に各種の年金制度に加入するもので、その加入は企業側の自由です。これらに加入していた場合は、国民年金や厚生年金に上乗せされる形で受給できます。(いわゆる「三階建」)
5.必要な資格期間
老齢基礎年金、老齢厚生年金を受給するには、10年以上の資格期間(ざっくり言うと加入期間のようなもの)が必要になります。
※ 但し、平成29年7月以前に受給開始年齢を迎える方は、原則、25年以上の資格期間が必要になります。
※「資格期間」とは。。。
「保険料納付期間」 + 「保険料免除期間」 + 「合算対象期間」 = 資格期間
また、ここで言う
「保険料納付期間」とは、
文字通り国民年金を納めたり、給料から天引きされて厚生年金を払ったりした期間のトータルを言います。
「保険料免除期間」とは、
年金保険料について経済的な事由等により、その納付が免除された期間を言います。
(詳しくは次回解説します)
「合算対象期間」とは、
年金額の金額には反映されませんが、資格期間の「10年」にカウントする、その対象となる期間です。
↓
※例えば
・平成3年3月までの学生であって、国民年金に任意加入しなかった期間
・厚生年金保険の被保険者のうち、20歳未満または60歳以上の期間 など
今回は年金制度の大枠について説明してきました。
次回は保険料の納め方や、今ほど出て来た保険料の免除期間・免除制度について解説して行きたいと思います。