料理を作るコツ(後編)
皆さん、こんにちは。料理人の前で「料理できますよ」なんて言わないように気を付ける木賃ふくよし(芸名)です。
相手はプロだぞ?
しかも、料理なんてのはジャンルが多岐に分かれるんだ。
「パスタか作りますよ〜?」とか、相手がイタリアンのシェフだったらどうすんだ。
取り敢えずは「素人なりに料理するの好きなんですよ〜」とか言っとけ。無難だし、相手もいい意味に解釈してくれるから。
さて。早速ですが、本日の本題。
昨日は前編として、クソマズ飯しか作れないアナタが、
(´°Д°)」 クソマズ飯を
なぜ量産してしまうのか?
そりゃ、おめぇ、
(´・Д・)」 レシピ通りに
作ってないからだよ。
ってお話をお届けした訳ですが、コレは初歩の初歩。いわば初級編。
本日は中級編。
初心者の中級、中級者の中級、上級者の中級。その全てに当てはまりがちな、
(´・Д・)」 料理の罠。
それが、
ダニング・クルーガー効果です。
ネット上でだけ無駄に有名な、ダニング・クルーガー効果。
そう。ちょっと齧っただけで、
全て体得した可能な万能感に侵食されてしまう現象だ。
半端者ほど、わかった気になってしまう。無知の知と言うが、知れば知るほどに自分の実力が世界ランキングで何億位かが判明してしまう。
ちなみに武術を習い始めた人間が、
(´・Д・)」 高確率でこれに罹るのよ。
スポーツなどでも、ちょっと何かに開眼しただけで、「あれ? 俺って天才なんじゃ?」と勘違いしてしまう。
まあ、格闘技や球技なら構わない。実際にいくらでも、その鼻っ柱を折ってくれる人は存在してるからだ。
しかし、文系や思想や芸術系はヤバい。
明確な勝ち負けが存在しないため、「俺は負けてないもん!」って負け犬が量産されてしまう。てか、頭で負けを認められないのに、心が負けを認めてしまうと、ルサンチマンを起こし、
「負けたのは、あいつの方が有名だからだ。
実力だけの話なら、俺の方が勝ってた!」
って方向に捻じ曲がりかねない。
料理も、明確な勝ち負けを作るシチュエーションが少ないため、
(´°皿°)」 俺の料理は美味いんだ!
俺は天才なんだ! この俺の天才の料理を!
って劣化版アミバ様が粗製濫造されてしまう。アミバ様は独学自己流で人体を爆発させるぐらいの実力はあるので、性格と生まれた時代さえ良ければ、間違いなく天才だったんだよ。同時期の北斗南斗の天才が多過ぎただけで。(アミバもジャギも、南斗聖拳をも使えるんだぞ)
てな訳で、「俺は料理が出来るんだ!」って変な万能感に溢れた人は少なくない。そして概ね、日常的に料理しない人ほど言う。
そして、ここからが本題なのだが、この自称・料理が出来る人ってのが、頻繁に使う言葉がある。
それが、
「レシピ通りに作れば
同じ味が再現できるだろ」
って寝言である。
(´°Д°)」 再現できません。
ワタクシはコレを強く主張したい。レシピ通りに作ったって、再現なんか出来やしないのである。
(´・Д・)」 は? なんで?
同じレシピからなら、
同じ味が作れるはずでしょ?
って反論が来そうだが、出来ませんよそんなの。出来る訳がないんですよぷっぷくぷー。
これが言いた過ぎて、昨日の記事の時点で幾らか漏れ出してしまってるが、
(´・Д・)」 だってキミら、
温度とかグラム数とか
キッチリ量らんやん。
そもそも塩1グラムとか2グラムとか、かなり正確な量を要求されてんのよ。
それを精密はかり(0.01㌘)も用意せず、再現できる訳ないじゃないですか。
普通のはかりでは1グラムか、せいぜい0.5グラムである。
つまり、最大誤差が1.99グラムと1.00グラムもあるんだぜ。同じ味になるはずがない。
試しに、味噌汁を1杯分だけ5回作ってみな。
水の量、出汁の量、味噌の量、具の量で味がバラバラになる。
何でも大鍋で大量に作ったら美味しくなるのは、許容誤差範囲が広がるからなのだ。
ちなみに、「レシピ通りに作れば同じ味が再現できるだろ」ってセリフは、
(´・Д・)」 プロがつい
言っちゃうんだよな。
特に、料理畑出身で経営側に回った人とか。言っちゃうのよ。でも、
(´・Д・)」 再現できませんて。
料理は基本的に化学なのである。化学実験に再現性が求められるのと同様に、料理には様々な要素が絡む。化学実験が不確定要素に邪魔されるのと同じだ。ちょっとしたアクシデントで味は大きく変わるのである。
いや、正確に言うと、1つ1つの要素で味が大きく変化する事は少ない。
しかし、冷蔵庫の温度が1℃上昇している時に、油の温度が1℃だけ上がり、正確な目方を計ってる時間がなく、タイマーを押すのが30秒遅れ、揚げ物の大きさがひとまわり小さかった。
というような幾つもの要素が絡み合うと、
小さな綻びは、
大きな結果となって
返って来るのである。
コレを理解しない・したくない人が、プロにもアマにも多い。
中には弓田亨さんみたいに「レシピを徹底的に細かく指導するから、指示通りに作れば失敗しない!」って言い切る、そして実行してしまう鉄人もいるが、そんなのは例外だ。
そして、その再現性とは、多く、
(´・Д・)」 忙しい。
ってだけの状態で、簡単に崩壊してしまうのだ。
鍋を混ぜ続ける。
食材を◯℃にしておく。
焼き上がりに◯分間休ませる。
食材の大きさを◯センチ角に切る。
他の家事に追われて、雑になるのが普通。
プロでも暇な時と忙しい時で品質は違う。
そんなモンだ。なのに、「何故、こんなに違う味や見た目になるのか」とか言い出すプロが少なくないのよ。マジで。
ちゃんと「ちょっとしたコツ」とか教えてないから、こーゆー事になるのよ。
だが、それでもプロってのは許容誤差範囲に納める人が多い。だからプロと言うべきか。
そこで、敢えて言う。
「料理が得意です」とか言っちゃう人ほど、こーゆー事を言いがちである。
「〇〇〇〇の
味ぐらいだったら、
再現できますよ」
とか。マジで言っちゃう素人は少なくないんだが、
(´・Д・)」 洗い物しつつ、
仕込みの補充も欠かさず、
複数の料理を同時進行させながら
同じ味が再現できるんだったら、
再現って言ってもいいと思う。
(´・∀・)」 まあ
だいたいは、
無理なんだけどね。
(´・Д・)」 ワタクシ、30年ぐらい飲食業界にいるけど、割と無理やで。
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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。