見出し画像

「僕の中の神経衰弱。」

最近、淋しく成ると指先に鋭い痛みを感じる。
淋しさは助走無しで僕の臓腑の飛び込んで来る。
不安の隣に友達が欲しいと願わなかった日が無い。
怒りで解決しようなんて、空想持ちの非常識だ。
僕は何歳の頃に間違ってしまったのだろうか。

罪が無いかは判らないが哀しい被害者を観に往った。
誰彼が忘れる様に陰は時の流れの中で薄れていく。
一番気になったのは一枚の熱を持った絵画だった。
赤赤黒黒、人の貌に大破した路面電車の壁壁壁壁。
其処に僕は魂を削る芸術性を感じずには居られない。

化粧水で肌が突っ張るのはアマリ気にしない。
僕を突っぱねた社会に較べたら可愛いくらいだ。
毎日付けてる梅のシルバーピアスの酸化に肯く。
ピカピカは唱えるモノだから着ける事に憚るのだ。
古さを味と、下手を味と、偶然を味と、名付けるな。

人は雨が降る様に死んでいくから。
僕は電気ウナギを憎み続けている。
夏は偉大だったが、其の分、人任せな時も有った。
僕に人の削除を啓示しながら、其の儘、終わって。
未だに、物言わぬ線路上を忘れられない。

僕の詩篇は、現代詩でも踏襲された詩篇でも無い。
只々、我儘と、不安と、配慮の塊で創られている。
実はこの三点の感情は意外な事に親和性が高い。
最早、同じ感情の枝葉に居ると言っても佳い程。
其の根源の感情こそ、皆様御存知の「妄想」で在る。

音楽は全てを救って呉れる。勿論、僕以外の全てを。
国語辞書は全てを騙さない。勿論、僕以外の全てを。
御洒落は全てに美を与える。勿論、僕以外の全てに。
嘘は全てに祈りを宿さない。勿論、僕以外の全てに。
何時も僕に残されるのは、僕以外の僕に対する賞讃だ。

厭世の事情に僕は興味を持つ事が出来ない。
赤の他人の希死念慮に足を止める事も無い。
只、冷たい水を飲む様に、胸がサッと冷える。
其の到来を喜ぶようなメロディが流れる。
石が転がれば。桃色が蕩ければ。僕だとしても。

死んだ人の話は笑い話に成れば佳い。
其処で貶せば、相手の勝ち逃げと知り給え。
語れないと言う現象は殆ど無敵だ。
幾ら泣き叫んでも、意味するのは困難である。
もしもし、此の列の最後尾は、此処なのですか?

ヘッドフォンの幻肢痛が治らない。
イヤホンのせいで気軽に飛び出せない。
眼鏡のレンズを拭く事で日々を支えている。
夜窓の中には世界で一番醜い意識が映っている。
どうやら、人肌の密度で随分と怖い夢を観てたのか。

僕が裏返れば、本当に善かったのにね。
貴方が千切れなかったら、本当に佳かったのにね。
声を想い出せたら、本当に快かったのにね。
恋人を永遠に大事に出来たなら、本当に好かったのにね。
もう赦してなんて言わないと決めて居たのにね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?