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風景論の読書ノート

近日中に『風景論』の読書会ひかえているので、読書ノートを作った。
先日、写真文化人類学のすれ違いを書いたが、諸先輩に話しを聞いたところ、面白いことがわかった。
1990年代、文化人類学的な写真がブームだったらしい。
しかしながら、いままで続けているのが港千尋さんだけで、後から続く写真家もいなかったために、一種の断絶が生まれたようだ。
その点、映画や映像界は文化人類学との歴史は、ずっと続いていた印象がある。
ここは港さんにお話しを聴いたみたいところ。


『風景論 変貌する地球と日本の記憶』
港千尋著
中央公論社刊、¥2600

>読売新聞連載のまとめ、マルチサイテッド
>2019年日本写真家協会賞学芸賞


港千尋のwikipedia引用
1960年生まれ
写真家、写真評論家
多摩美美術学部情報デザイン
1999伊藤俊治氏と港千尋氏、今福龍太氏ら『映像人類学の冒険』
2018「風景論」
2019「インフラグラム」
2020ダナハラウェイ「Staying with Trouble」の翻訳者未記載問題

>九十年代に写真界で文化人類学ブームがあったが、継続して関わっているのは港千尋だけらしい。

[表紙写真]

>オランダの写真だろうか?
一直線の人為的な堤防、どこまでも平らな大地。
そこに自然と出来た海岸で楽しむ人々。
鮮やかな水着とパラソル、緑。続く巨大な風車。
裏表紙には鏡面になったビルディング、都市を映す。
二部構成を表し、写真家ならではの要約。

帯:2019年日本写真家協会賞学芸賞受賞
技術革新や災害により現実が問い直される現代―

〈風景〉のまなざしと色彩を写し
歴史と社会の古層を発見する
類のないフィールドワーク

なぜ
私たちは見知らぬ
土地を歩き
風景を
訪ねるのか?

裏帯
「風景」という概念はいつ生まれ
その起源はどこにあるのか?
絵葉書の写真や Google Earth の画像と、
実際の風景から得るイメージとの境界線はどこにあるのか?
「人新世」とは何なのか?

誰も気にしなくなった日常のうちに、
埋没しかけている風景の記憶とは?

>編集者ならではの要約

はじめに−経験としての風景へ
[口絵写真]津波被災した家
>濡れタオルと新聞が微細な地形図、里山、諸行動常。

序章
震災が露わにしたもの
船は憶えていた
[口絵写真]寸断された道路
[口絵写真]内陸に入った漁船
>風景とは、写真とは、記録ではなく記憶。(森山大道)
>眼を奪われた風景
風景は動く
廃墟の時間

測定される風景
>写真に写る目の前の風景、時間に流れる動く風景、測定される見えない風景
>震災のショック

I 自然が見つめる時
>自然の章

第1章
風景の誕生
>目を開ければ見える。(ピーター・グルンワルド)
>耳にはまぶたがない。(清水穣)

ランドスケープの誕生
>シャベルで掘り起こし、それを北の海へと放り投げる=アーティスト
>海から見た陸地の形=オーディエンス

ものの丘
[口絵写真]オランダ デン・ヘルダーの堤防
>親子という世代の時間、遠くに立つ人、父か?
>インゴルド引用、ものは包摂、景色は拡張
>拡張/包摂、
>撮影/セレクト
>フィールドノート/エスノグラフィー

地図と描写
>17世紀、オランダ、風景画、地図製作者。

「グラフィー」の起源
>オランダという土地、平らな土地

風景と政治
>オランダは領主の力が例外的に弱かったから、地図製作に小作人の協力が得られた
>シャベルで掘り起こし、それを北の海へと放り投げる

老船長と少年
>学び続けること
>海から見た陸のかたち
>大事なのは心構えで、どう海を見るか?
=風景が生まれる瞬間

ランドスケープとしての海図
>海図に目印として、島の教会のスケッチがあった。
>海から見た陸のかたちのイギリス人
>シャベルで掘り起こし、それを北の海へと放り投げるオランダ人

フリースラントの水辺
>シャベルで掘り起こし、それを海へ向かって投げる=ランドショップ
>ランドショップにも歴史的な経緯、複雑な入れ子構造がある

[口絵写真]フリースラント ハルリンゲン近郊地図
>地図製作から風景画へ
>プナンの人々が持たない地図の視線は、干拓という平らな大地と、海図という見えない海の底から生まれた。

ランドショップ社会小史
>シャベルで掘り起こし、それを海へ向かって投げる
>堤防は二重の意味で土地を変化させる
>社会的分化、建設負担の増加により高台の教会、領主、資産家の高台の村、そして低地の村。
>排水により、泥炭層の地盤沈下、災害を招く
>洪水と津波の百年を超える歴史

[口絵写真]フリースラントに残るテルプ
>読後の津波の歴史を知った後に見る、写真の印象違い
>視覚と想いと歴史への沈下。

堤防のつくり方
p65風景は物語を生み、物語は景色となった。
>物語り入れ子構造が、さらに

ランドスケープと風景が出会う
>ランドスケープとは絵画だけではない、絡まり合いがある。
>その時間は中世から百年後の未来というタイムスパンを持っている。
>一章のまとめは未来へ開いている。

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