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子宮体がんと、選択肢。

私は子宮体がんのステージ2でして、現在「予防的に」抗がん剤治療を受けています。
すごく平たい表現をするなら、「手術でがんはとれました。でも細かい細胞が残ってる可能性があり、今後再発するかもしれないので、再発予防のために抗がん剤をしましょう。」ということです。

子宮体がんでは、ステージと腫瘍の「たちの悪さ」で、再発リスクが「低・中・高リスク」にわけられます。
低リスクであれば、抗がん剤なしに観察に入ることもありますが、低リスクなのはステージ0や1で、かつ腫瘍もたちが悪くない場合。それ以外は中または高リスクであり、中リスクであれば予防的な抗がん剤が選択肢として提示されることが多いです。

「まだ明らかに癌細胞が残ってます」となると、予防ではなく治療そのものですから、絶対ではないけど、基本的には選択せざるを得ない。
でも、予防となると選択の余地があり、もちろん受けない人もいます。そして抗がん剤を受けずに問題のない人もいるでしょう。

人間は「選んでいいですよ」となると、とても悩む生き物。選択の余地がないなら抗がん剤治療を迷いなく(そして仕方なく)受け入れられるとしても、選んでいいなら「どうしようかな」となる。
だいたい、抗がん剤治療は正常細胞を巻き込む関係で、副作用がひどい。しんどい。つらい。怖い。…というイメージがあるから、選ばなくていいなら、選びたくはない。でも、選ばないことにも不安。怖い。だって薦められるからには理由があるのだから。

ちなみに書いておいてなんですが、私はあまり悩みませんでした。その思考回路は、こうです。
・様々なところで説明されているのは、子宮体がんの再発リスクは低くないということ。
・子宮は全摘してるので、再発ということは別の場所にがんが発生するだろうということ。
・そして別の場所が、一カ所とは限らないこと。
・再発した場合、新たな手術と、そして抗がん剤、さらには放射線治療は免れ得ない可能性があること。
・いつ再発するかはわからないが、ひとつ言えることは、その時は今よりも確実に歳を取っていること。
・とりたてて長寿を目指してはいないけど、できれば面倒ごとは少ないに越したことはない。
・とすると、体力がある今、がん細胞が身体のどこかで悪さをする前に抗がん剤をしておくことは、将来への投資として悪くない選択だろう。

結果、私は抗がん剤治療を現在受けています。
まだ1クール目なこともあり、副作用も今のところは脱毛以外はほぼないに等しいです。(血液検査を含めた結果です。)
医学、進歩してる。
事前の吐き気止めとかね。手厚い。

こんな立場から考えてもなお、とても迷う人や、「予防としての抗がん剤治療は受けない」とした人の選択肢も、ありだと思います。
なんといっても、正解はないのです。治療を受けなかった未来の私は普通に生きていたかもしれないし、治療を受けた私は未来にそれでも再発しているかもしれない。それは誰にもわかりません。

ですが、後悔のない選択、というものはもしかしたら存在すると思います。納得をしていれば、結果が望んでいたものと違ったとしても、次に踏み出せる。

そう、大切なのは納得です。
納得を得るには情報を集めなくてはいけません。

そして、そのためにサイトを見たり、本を読んだり、色んな人から話を聞いて、さらに迷いも深まることでしょう。
これについて、私はひとつ、言えることがあります。

サイトも、本も、そして情報をくれる人も、共通して言えることは「代償を支払う立場ではない」ということ。
代償とは、選択の結果を担うということです。簡単に言うなら、生き延びるのも死ぬのも「私」です。
最悪の結果が「再発して死ぬ」ならば、死ぬのはサイトや本の著者ではなく、情報をくれた人でもない。「私」です。

もう一度言います。
世の中には様々な意見や情報が溢れてる。
でも、情報を発信した人たちは、「私」の人生の肩代わりは、ほんのすこしもしてくれない。

そういうものに惑わされ、流されてはいけないのです。
情報は大切ですが、「書いてあったから」「あの人が言ったから」という理由で選択したなら、きっと思わしくない結果を得たときに後悔します。だって、書いた人や言った人ではなく、結果は「私」だけが受けるのですから。責任を取って私の変わりに死んでくれ、というのはできない相談です。

書いてあったことに納得した。この人の言葉に納得した。納得した結果、私は治療を受けた。または受けなかった。この「納得」のプロセスこそが大切です。
そしてこのプロセスを経ることが、「情報を利用する」正統派な手順だと、私は思います。
これは、人生の色んなことでも同じだと思う。

もちろん、この記事すら、単なる私の主張に過ぎません。ですが、選択に迷われてる方に、この記事が役に立てば幸いです。

では、また。次の記事で。

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