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子宮体がんと、入院。(前編)

子宮体がんの治療は、基本的には手術での根治術からになります。もちろん、子宮を温存することを模索される場合などは別ですが、「まずは患部の除去から」です。

私の場合は、手術の前日に入院をしました。
コロナ禍対策のため、抗原検査は必須。抗原検査で陽性が出たら、入院日程が変更になります。
この「入院日」をdays-1としましょう。入院さえできれば血液検査などの軽い検査のみで、この日は終了。
ちなみに大部屋での入院です。個室選択も可能でしたし、保険は(とある理由で)手厚く入っていたこともあって、経済的にもいける感じではありました。ですが大部屋を選択した理由は、恐らくはもう3年近くもリモートワークとして引きこもっていたから。リモートワークは快適なのですが、「他者が全くいない日常の平坦さ」は、とにかく飽きる。別に関わりは持たなくても、他者が同じ空間にいることで、日常に変化はある。退院する人、入院する人。ただそれだけで変化は私にもたらされるわけです。
なお、前日から入るのは事前検査もありますが、絶食・絶飲も始まるからだと思っています。

days-2。手術日です。私はステージIb以上と考えられていたため、(腹腔鏡手術ではなく)開腹でした。前開きの服を着て、時間前に紙パンツへと装着しなおし、若干の鬱々とした気分と開き直りを抱えて手術へ。立ち会いはなしで、緊急連絡先の人には「万が一の時は延命治療は不要。その場合、あとはよろしく。」とだけメッセージをしておきました。意思表示は大切。ちなみにスタンプで「おっけー」って返ってきてました。文字打って。少しは。
そして、医師の奮闘により無事手術は完了。ドレーンと尿カテーテル、そして術後の点滴を装着した状態でベッドへ帰還。
午後の手術でしたので、夜中にかけて意識朦朧としつつ痛みに耐えたり、不快感に耐えたり。切った箇所の痛みがあるので姿勢を変えるのもままなりませんから、全力で看護師さんに依存です。看護師さん、本気でありがとう。
ちなみに、全身麻酔なので、覚醒後に吐き気が来る可能性が…と説明されていましたが、ものすごい瞬間的に気持ち悪さはこみ上げたものの、結局吐きませんでした。でも、これは人によると思う。何にせよ、不調は速やかに訴えるとよいかと思う。それが、多分一番、手間がかからない。遠慮はこの場合迷惑行為だ…と割り切ることは大切。そしてもう一度、看護師さん、本気でありがとう。

days-3。午前にはベッドのリクライニング機能でなんとか座り姿勢を取れるようになり、起き上がれるなら絶飲も指導されつつ解除されます。さらに午後にようやく(気分的に)人間性を取り戻し、スマホなどを手にできる心境になった頃。突然やってきた看護師に告げられます。「さ、立って歩くよ」と。またまたご冗談を…と言える雰囲気もなく、数メートル歩くことになります。もちろん看護師が鬼なのではなく、術後の色んな問題を回避するためであり、何より歩けるなら尿カテーテルを抜いてトイレにもいけるようになるわけです。
立ち上がるまでが本当に痛かったですが、尿カテーテルを引き抜かれましたので、後はもう諦めもつきます。歩くしかない。さもなくば漏らす。

days-4。クリスマスイブ。
起き上がりには、まだリクライニング機能の助力が必要です。出されたロキソニンを飲みすぎないように飲んだ時間をチェックしながら飲み、痛みをなんとか紛らわします。
夕方、担当医が様子見に来てくれました。「おー、なんかおしゃれ着だ。これは…今からデートか?」と思いつつ、ツッコミ入れるほどには元気がない自分。(しかし元気があったとて、このツッコミは何かしらハラスメントになりそうな気がします。)そして素敵な格好なのにガーゼを交換してくれて優しい。惚れそうです。きっと医療関係者が天使のように思える瞬間は、これに違いないよ。惚れたことないから、知らないですが。
すべての人に、ワークライフバランスは大事ですよ、よきデートを。(実際どうなのかは知らんけど…)と思いながら就寝。

days-5。リクライニングに頼らず起き上がることに成功。
動けば痛いものの、安静にしているならロキソニンもなしでよい状態。若干の余裕が出てきて、ここで役立つのはスマートフォンと、ネット配信です。Youtubeはもとより、Netflix、PrimeVideo、溜まっていたウォッチリストを片っ端から消化します。もちろんイヤホンは忘れずに。
ちなみにイヤホンは無線と有線、両方持参しています。有線は充電しなくていいからよいですし、無線は片耳だけ使えるのがとてもいい。

days-6。ドレーンが抜かれました。
腹から伸びた管、ストラップで首にかけたパックがなくなるだけで、案外と自由度も上がります。自由度が上がったところで、ベッドの上で完全ニートスタイルでスマホ使って動画見てるだけですが。(ちなみに同じ部屋の人は、Windowsの操作音とキーボードを叩く音がしきりとしていました。働き者です…。ワークライフバランス、本当に大事だよ?)
朝ごはんを食べ、Youtubeを見てヘラヘラしていたところ、回診時刻に。カーテンめくった先生と視線が合いました。会話は当たり障りない感じでしたが、オーラは完全に「こいつ放置したらこのままゴロゴロし続ける(確信)」感を放っていました。正解です、私は全力でそのつもりです。
そして、午後から唐突にリハビリという名前の運動スケジュールが組まれました。手厚い看護…。無論、異論は言いようもありません。

days-7以降は、1日10000歩以上、歩いてました。病棟内をくるくると。
ノリのよいリハビリ担当の人に乗せられ、やることもないのでただひたすら散歩です。無線の片耳イヤホンで音楽を聞きながら。
普段、リモートワークしてることもあって1日3000歩くらいしか歩かない人間が、腹を切られてからのこの健康的な歩数。なんだろうこれは。もしかして健康ハラスメント(略してケンハラ)?など、歩きながらニート生活を正当化する単語を考えてみましたが、当然ながらすべて無駄でした。

長くなりました。まずはここまで。
次の記事では、地味に役立った道具、入院後半のことを書きたいと思います。

では、また。次の記事で。