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ハラリ『サピエンス全史』&『ホモ・デウス』を読む

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『サピエンス全史』を中心に、ユヴァル・ノア・ハラリの著作に関するnote+αを集めました。
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#哲学

AI、曼荼羅、深層学習。神話論理と言語の未来 -人間もしくはAIが「言葉の意味を理解する」とは

チャットAIの知性と、人類の知性ChatGPTの登場をきっかけに対話型の文章生成AIが注目を集めている。 わからないこと、知りたいことを対話型のAIに質問でも相談でもすれば、まるで親切でポジティブな人間のように的確な文を返してくれる。 例えば「○○とは何か?」式の質問(つまり「○○とはXXです」と答えることができる質問)や、学生のレポートや仕事の資料に使う文章やメールの文案といった、いままで私たちを「はて、どう書いたら良いものか…」と日々悩ませ、生産性と称されるものを低下

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言語「生成」の究極へ -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(番外編)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第33回目ですが、今回は「番外編」として、言語の「生成」について書いてみました。 言語の生成といえば、まさに「生成AI」。 人間が生成する言語 AIが生成する言語 あるいは、言語それ自体が生成する言語(?!) その違いについて考えてみたいと思います。 これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。 これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけ

フロイト著『モーセと一神教』から考える"ことばの憑依"の様式について

フロイトは『モーセと一神教』という不思議な本を書いている。 フロイトというのはジークムント・フロイト。精神分析の始祖である。 そしてモーセとは、あの有名な旧約聖書のモーセである。 フロイトは『モーセと一神教』で、モーセは「(おそらく高貴な)エジプト人」であったと書く。 モーセはユダヤ人ではなくエジプト人 のちのユダヤ教、キリスト教、イスラム教へ繋がっていく一神教のルーツはエジプトにあるというのである。 どういうことだろうか? 詳しいことは是非『モーセと一神教』を読

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見ることも触れることもできない世界へ -広井良典著『無と意識の人類史』を読む

広井良典氏の『無と意識の人類史』を読む。 人類の歴史は、人間たちの「意識」のあり方の歴史でもある。 広井氏は意識について、それが「"脳が見る共同の夢"」としての「現実」を作り出すものであると書かれている(『無と意識の人類史』p.24)。 これはユヴァル・ノア・ハラリ氏が『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』で論じた「虚構の力」にも通じるところがある。 "脳が見る共同の夢"は「現実」であり、「有」の世界、「ある」ものたちの世界である。それに対して「無」とは、意識が、自ら作

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『ホモ・デウス』×『レンマ学』を読む−「知能」と「意識」と「知性」。進化するシンボル体系=意味発生装置の場所

(このnoteは有料に設定していますが、最後まで無料でご覧いただけます) 『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、この本を通じて一貫して、人類の歴史における「虚構」の力に注目をしている。サピエンスの歴史は、虚構の使い方の歴史と言い換えてもよいくらいである。 虚構の力というのは、私たちが、目の前に存在しないもののことを想像・創造し、それについて言葉でしゃべったり、イメージを描いたり=物質化したりして、仲間と共有することができる力である。 そうして共有された虚構

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