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ハラリ『サピエンス全史』&『ホモ・デウス』を読む

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『サピエンス全史』を中心に、ユヴァル・ノア・ハラリの著作に関するnote+αを集めました。
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#思想

言語「生成」の究極へ -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(番外編)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第33回目ですが、今回は「番外編」として、言語の「生成」について書いてみました。 言語の生成といえば、まさに「生成AI」。 人間が生成する言語 AIが生成する言語 あるいは、言語それ自体が生成する言語(?!) その違いについて考えてみたいと思います。 これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。 これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけ

フロイト著『モーセと一神教』から考える"ことばの憑依"の様式について

フロイトは『モーセと一神教』という不思議な本を書いている。 フロイトというのはジークムント・フロイト。精神分析の始祖である。 そしてモーセとは、あの有名な旧約聖書のモーセである。 フロイトは『モーセと一神教』で、モーセは「(おそらく高貴な)エジプト人」であったと書く。 モーセはユダヤ人ではなくエジプト人 のちのユダヤ教、キリスト教、イスラム教へ繋がっていく一神教のルーツはエジプトにあるというのである。 どういうことだろうか? 詳しいことは是非『モーセと一神教』を読

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見ることも触れることもできない世界へ -広井良典著『無と意識の人類史』を読む

広井良典氏の『無と意識の人類史』を読む。 人類の歴史は、人間たちの「意識」のあり方の歴史でもある。 広井氏は意識について、それが「"脳が見る共同の夢"」としての「現実」を作り出すものであると書かれている(『無と意識の人類史』p.24)。 これはユヴァル・ノア・ハラリ氏が『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』で論じた「虚構の力」にも通じるところがある。 "脳が見る共同の夢"は「現実」であり、「有」の世界、「ある」ものたちの世界である。それに対して「無」とは、意識が、自ら作

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