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星くずロンリネス「くずテレビ」のアレコレ

上田龍成が主催している演劇ユニット「星くずロンリネス」が11月16日から19日までの4日間にわたり、5年5か月ぶりに単独公演「くずテレビ」を行ないました。

新作の短編演劇4作品と映像企画がたっぷりと楽しめるオムニバス公演です。感想の中には上田龍成節全開というものがありました。
現在、その模様を配信で観ることが出来ます。

まずはこちらをご覧ください!
(このワードってすごくオールスター感謝祭を感じますよね)

カメラ4台で収録したこちらの配信!2024年1月4日まで見ることが出来ます!お正月まで何度でも見返すことが出来るんです!配信でも楽しんでいただけているようですので、おすすめです!

さて、ここでは、初めての取組みなんですが、話題のオープニング映像の話(元ネタ)各作品の解説や裏話を書いていこうと思います。画像なども含めながら、細かな部分を書いていきます。
ネタバレを多く含みます。というか、ネタバレしかありません。そのためのnoteです。是非、解説を見る前に配信で見返していただけると嬉しいです。


星くずロンリネスとは

そもそも、星くずロンリネスってなんなんだという話から少ししていきます。

僕、上田龍成は大学生から演劇を始めました。テレビの放送作家になりたいなと漠然と思っていて、そのきっかけになればいいなというくらいの気持ちで大学の演劇研究会に入りました。また、中学生時代の同級生だったミウラが専門学校に入り、演劇を始めたのも大きかったです。何度か観に行って面白そうだなとなっていたのです。ミウラとは中学校時代からテレビごっこのようなことをしていた仲でした。演者さんと共に何かを作り出す、上田龍成の今の原点です。このあたりの話は数年前にここで書いていたので割愛します。

なので、当初、演劇よりもテレビ(バラエティ)への憧れが強かったんです。あくまでも演劇は過程というか。それがいつしか、演劇とテレビ(映像)の2つが自分の両輪となっていきます。
そのきっかけが自分で立ち上げたユニット「星くずロンリネス」です。

星くずロンリネスは、2010年に札幌で旗揚げした演劇ユニットです。
北海学園大学 演劇研究会に所属していた上田龍成が同期の仲間数人と立ち上げて、同世代の役者数人を客演に呼んで旗揚げました。同期の星ひろみという女優を看板に置きたくて、星にまつわるワードをたくさんあげた中に「星くずロンリネス」というのがありました。

当時、手伝ってくれていた学園演研の後輩・米澤春花さん(現・劇団fireworks)がmixiのグループにあげてくれたのが最初でした。mixiで色々と相談していたのが当時って感じですよね。米澤さんが案を出さなければ、「星ひろみとドラゴンスープレックス」になっていました。危ない。
そんな星くずロンリネスの旗揚げ公演には、今回の「くずテレビ」にも出演した隅田健太郎も出演していました。
旗揚げから数年は、年に1度の長編公演と、ライブハウスや演劇イベントなどで20分程度の短編演劇を披露するというスタイルで活動していました。旗揚げしてすぐに何度か短編演劇を書く機会があったのですがそこから短編演劇の面白さにハマってしまい、その形が自分の中でしっくりきていたのです。

活動開始後、現在は東京に活動の拠点を移した熊谷嶺をはじめ数人の役者が所属していたのですが、いろいろと話し合って、2013年、上田龍成が一人だけ所属するユニットになりました。まったく意図はなかったですが、星くずロンリネスの「ロンリネス」のワードが活きることとなりました。
ひとりぼっちユニットになってからは毎回、札幌で活動する役者さんにお声がけをして上演しています。

2014年、「教文短編演劇祭」という20分以内の短編演劇で競う大会があり、「キンチョーム」という作品で優勝することが出来ました。そこからはすっかり短編演劇ばかり上演する演劇ユニットとして、札幌市内はもちろん、道外でも上演機会が増えていきました。愛知県の「劇王」や「神奈川かめも短編演劇祭」という短編演劇の全国大会のほか、大阪で開催されている「INDEPENDENT」という一人芝居のフェスでも上演し、自称・札幌の短編演劇王として活動を続けてきました。あくまでも自称なので怒らないでください。

星くずロンリネスは、2018年の「くずコンピ」というオムニバス公演を最後に自主公演(単独公演)は行っていませんでした。

「くずテレビ」をやるにあたって

そんな「くずコンピ」以来の単独公演「くずテレビ」の話をしていきます。

活動開始から10年を迎えた2020年。
星くずロンリネスは10周年記念公演として、1年間かけて、様々な場で短編演劇や長編作品を10作品上演する企画「テンプラス」を立ち上げました。4月下旬からスタートし、11月までの間に、オムニバス公演やライブハウスでの上演、仲良しの長崎の劇団「劇団ヒロシ軍」を呼んだり、とある短編をもとにした長編作品など10年を振り返るのにぴったりな企画の予定でした。
2020年1月に企画を発表したのですが、その翌月には新型コロナウイルスが札幌で流行りだし、4月上旬には無観客で配信を予定していましたが、4月中旬には全公演の中止を発表しました。

発表から中止までものすごいスピードだったなと思っています。当たり前ですが前年から準備を進め、稽古も始まり、その後の公演についても関係各所にオファーを進めていてる中での全公演中止。でも、この判断に後悔はしていません。逆によくあのタイミングで年内全公演中止を判断出来たなと思っています。

自分のユニットの10周年公演という気合いが入った企画がなくなり、単独公演のタイミングを逃していた中、例えば、お笑い芸人さんなど他のジャンルの人たちと絡んでも「演劇の人なんです」と名乗りにくさを感じている時期もありました。だって、5年以上自分のユニットで公演を企画していないんですもの。
それでも、ポツポツと演劇イベントなどで上演したり、新作を書きおろしたりする機会が増えてきました。そして、これはとても内部の話ですが、企画していた「札幌オーギリング」という大喜利ライブが終わってしまったり、一緒に活動してきた「オレマカ」というお笑いトリオが解散したりと、一区切りがついた2023年3月。無性に演劇がやりたくなりました。

・・・って話を書いて本当?と思ったんですが、諸々が決まっていた2月に企画書の初稿を出していたので、完全にそうだったみたいです。一度、ちゃんと演劇をやろうと思ったみたいです。

そんなこんなで久しぶりの単独公演をやろうと企画を始めました。
長編作品も頭にうかびましたが、5年半も単独公演をやっていないと星くずロンリネスを観たことない人も多数いるだろうなと思い、得意の短編オムニバス形式に決めました。当初出した企画案は3つ。

  1. くずコンピ同様に過去に上演した作品を中心に短編演劇をオムニバス形式で届けるもの。

  2. プロレスをテーマにした短編演劇を3作品上演する企画。

  3. 書き下ろしの新作短編演劇をオムニバス形式で上演するもの。

この3つの中からどれかをやろうと企画を練りました。
1は10周年記念公演のリベンジ要素の強いものです。その時にやりたいなと思っていた何作品かを再演するもの。特に「言いにくいコトは、、」と「117」は10周年記念公演で稽古を進めていた中での中止だったので、リベンジしたいという思いがありました。

2については、きゃめさんの一人芝居「カウント9.99」を自主公演でやりたいなという気持ちからでした。また、なにかテーマを絞った公演をやりたいと思ったときに「プロレス」に関するネタ案が数個あったのでチョイスしました。「くずテレビ」でも上演した「ワイルドシングな恋」もその中の一つです。

あ、ちなみにきゃめさんの一人芝居「カウント9.99」はこちらのDVDで観ることが出来ます。

しかし、企画を練っている最中、ありがたいことに、INDEPENDET:SPRが10周年ということで、今年5月に原田充子さんの「117」ときゃめさんの「カウント9.99」を再演する機会に恵まれます。

そうなると、半年のうちに2回の上演もな・・・と思い、1案&2案は必然的に消え・・・

そうです!
ビビり倒していた新作書き下ろしオムニバスが生き残るのです。そこで、てんでばらばらな初公開の短編演劇をつなぐテーマを考え始めました。

前回の単独公演「くずコンピ」はコンピレーションアルバムのように楽しめる短編演劇のオムニバス公演をとの思いから名付けました。
言ってしまえば、今回だってコンピレーションアルバム的なんですが、より具体的な何かをつけたいなと何個か候補は出しました。ただ、案外あっさり決まったような気がします。

星くずロンリネスで常に考えている演劇を気軽に観て欲しい!という願い。その象徴としてのテレビ。
そして、何より、5年半近く単独公演をやってこなかった、星くずロンリネスの、上田龍成の、根底にある「テレビが好き」を今一度ぶつけたい!と、タイトルを先に決めました。中学校時代、ミウラと一緒に遊びの中で作り上げていたテレビごっこ。その延長線上にある、今の活動。
10周年記念公演のリベンジとは表向きには言ってないですが、なんとなく、星くずロンリネスのこれまでを振り返るいい機会だなと思った上で「テレビ」をモチーフにした単独公演をやろう!となったのでした。

そして、構成を考えていく中で、ずっとやりたかった、あのオープニング映像をやることを決めます。

オープニング映像の元ネタ

さて、前段が長くなりましたが、ここからはようやく本編の内容を語っていきます。
作者自らネタばらしをするのはなんなんですが、星くずロンリネスの小ネタを紹介する機会はあまりなかったので、たっぷりと書いていこうと思います。

ありがたいことに好評をいただいているオープニング映像。
舞台上にある無数のテレビに映し出されるテレビ番組的な役者紹介。
その元ネタを紹介していこうと思います。

まずは楽曲なんですが、福岡で活動する3人組のエンタメ集団・九州最強前説系アーティスト「星屑ロンリネス」に前回公演の際に書き下ろしてもらった楽曲です。星くずロンリネスのテーマ曲です。
2014年、たまたま僕がエゴサしてたら、星屑ロンリネスさんを見つけて、SNSで絡みに行って、そこから知り合いとなりました。この楽曲以外にも、僕が星屑ロンリネスさんのライブ中に披露するコントの台本を書いたりと、定期的に接点を持たせていただいています。本当に不思議な縁。
ちなみに歌詞もテーマになりそうな単語をお渡しする形でお任せしたんですが「短編劇なら負ける気しねえ」というワードが入ったりしていて、ビビりな僕は賞レースでは使えないので、単独公演で流すためのテーマ曲となっています。

そんな最高にポップな楽曲にのせて、様々なテレビ番組のパロディ映像を流していきます。
僕の中で、あくまでも「それっぽいもの」で作るがパロディやオマージュの絶対だと思っています。今回登場するものも、それっぽいテロップやロゴを作成しています。本物(や本物を加工したもの)は絶対に使わない。そこは一番のこだわりです。

出演者さんに何とは言わず、グループLINE上でのあいさつの際に「好きなテレビ番組」を明記してもらいました。これがかなり参考になりました。演者さんはわけもわからず自己紹介で好きなテレビ番組を言わされて怖かったと思います。

あと、この時のツイートで寄せられた番組も参考にしました。

このツイートに反応してもらった皆さんの好きな番組も知名度やパロディのしやすさなどを考慮しながら使わせてもらいました。いわば、皆さんに作ってもらったといっても過言ではないです。

さて、元ネタを順に紹介していきましょう。

野村大さん

ニュース

最初のブロック(開始から4つまで)は、とてもシンプルな、「THEテレビ」がやりたくて、何かのパロディというよりも、こういうジャンルがあるよねというものを並べました。
テレビらしさの強い「ニュース番組」をやろうと思ったときに、スーツのイメージが強い野村さんがぴったりと思い、選ばせていただきました。

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