転生者よ、異世界を疑え!

「魔物を倒してレベルを上げれば腕力や知力は上がるし、レベルアップで手に入るSPを使えば訓練なしで魔法や技能を使えるようになる?」
「その通りです」

 冒険者ギルド・転生者支援課の職員は笑顔で答えた。
 
 死んだと思ったら、死後の世界はRPGみたいな場所だった。レベルとスキルが存在するこの世界では、成長とは経験値稼ぎのことだ。筋トレや勉強じゃない。魔物を倒すだけで人の全要素が成長する。
 
 俺は不自然さをこの世界に感じる。

 RPGは大好きだ。それが現実になって欲しいと願ったこともある。だが自分の願望が叶ったとしても受け入れがたい。
 
 だって胡散臭いだろ。

「この世界になぜレベルとスキルがあるか、判明しているのか?」
「はい。太古の昔、魔物に虐げられる人々を哀れんだ天上神ジーエム様は、逆境を乗り越えられるよう、レベルとスキルの理を授けてくださったのです」

 唐突におとぎ話を聞かされて俺は困惑する。

「そうじゃなくて現実の話を聞きたいのだが」
「現実ですよ? 実際、ジーエム様は年末の選定祭にご降臨され、優れた者を神の使徒に任命し、神界に連れて行ってくださるのです」
「なんだって?」

 実際に神様が姿を見せるのも驚きだが、優秀な人間を連れていく? 何を企んでいる。

 ジーエム。GM。ゲームマスター? RPGが現実になったこの世界は、そいつのゲームのために存在している?。
 
「あなたも、ジーエム様に選ばれるよう、頑張ってくださいね」
「ああ、そうするよ」

 努力はするさ。ただし胡乱な神様に表彰されるためじゃない。
 
「大体はわかった。次は仕事が欲しいんだが、どこに行けばいい?」
「でしたらクエスト課で問い合わせてください」

 今だけはゲームの駒として振る舞おう。その上でジーエムの思惑を探る。それがはっきりするまで、俺は絶対にこの世界を信用しない。
 ひとまず最初の仕事をするために、俺は職員に言われた場所へ向かった。
 
【続く】

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