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何かアナウンサー的要素がにじみ出ていたのか?と感じた話

ようやく落ち着きを取り戻した月曜日を迎えておりまして、久しぶりにちゃんと月曜日に更新します!今週のポッドキャスト📻

「自分って何屋さんなんだろう?」と思うことがよくある。
たしかに名刺にはフリーアナウンサー、司会、ナレーターなんてことを肩書にして書いていますし、確かにそう言った声の仕事を生業にしている。
スーツ姿のアナウンサーフォームとしてマイクの前に向かう時もある。
でもTシャツにオーバーオール、麦わら帽子。ここに髭をたくわえ鍬を持ったら完全なる『カールおじさん』へと変貌するファーマーズフォームの格好で、土いじりをすることもある。

趣味の世界にも目を向ければ、Tシャツ短パン、膝サポーターを装着したランナーズフォームに変わることもあれば、アコースティックギターを抱え、ミュージシャン気取りのおっさんへと姿を変えることもある。

スーツ姿でマラソン大会に出れば、そんなコスプレでもなければやっぱり場違いな感じがするし、カールおじさんでギターを抱えれば、そういうコンセプトのバンド『ザ・ファーマーズ』の一員であるか、田園を歌う玉置浩二でしかなくなる。

着るもの、立ち居振る舞いによって、その人の職業めいたものもわかることもある。ロン毛で茶髪だけども袈裟を着ればお坊さん。というお坊さんの知り合いもいる。

その状況状況で、自分の立ち居振る舞いというのも変わってくる。
それは至極当然なことだ。

その日は、Tシャツ姿の、ただの酔っぱらったおじさんだった。
深い時間に運転代行を頼み、代行さんに家まで送ってもらう。
ただのお客をつかまえた。ただのお客として乗り込んだ。
それだけのはずだった。

ハンドルを握る運転手さんのマシンガントークがとまらない。
おやじギャグをときおり織り交ぜながら、しゃべるしゃべる。
ここで私も、
「おしゃべりの仕事をしているわけだから負けるわけにはいかない」
と、妙な敵対心を持って対抗してみたが、勝ち目はなかった。

そんな運転手さんが、会話の流れの中で放ったひと言。
「お客さん、アナウンサーっぽいですね?」
ドキッとした。

たしかにスーツでも着こんでいれば、アナウンサー的たたずまいでそう思われることはあったかもしれない。
しかし、酩酊(泥酔)状態のTシャツ姿のおっさんに、アナウンサー的要素など微塵も匂わせていないはず。
完全にOFFの状態で、その片鱗さえも見えていなかったはずなのに…。

さて、この
「お客さん、アナウンサーっぽいですね?」
の質問に関してどう答えるか?
選択肢は二つ。
「よくわかりましたね。私、アナウンサー的仕事もしているんです。」
と言って認めるか、
「いやいや、そんなふうに見えます?」
と言って答えをはぐらかすか。

このときは後者であった。
別にアナウンサー的稼業を隠すことも恥じることもない。
むしろプライドを持って臨んでいるので、そういうたたずまいとして見られたのは光栄に思うべきなのだ。が、このときは完全なるOFFの状態。
アナウンサー的モードのスイッチを入れるのが少々しんどかった。

にじみ出る何かを感じたのだろうか?
正直なところ、ある種自分の本性を見抜いてきたこの運転手さんの観察眼に恐怖を感じた出来事だった。

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