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居場所

起きた朝のベッドの温もりと同じような
安心する場所があったらいい

僕はまだ見つけられないまま
それでも日々を重ねていく
最近書き始めた小説は
人の気持ちが分からない
五感で感じることしか信じることができない
そんな男を書いている

何が欲しくて何を言って欲しいか
僕はいつでも考えて、渡しては
またひとり朝まで眠れぬ夜を過ごす

目に見えること以外は信じることが
できないという男を描く事は
とても容易で
その実、僕もそうなんだろうなと
噛み締めるばかりである

どこかで聞いた言葉達が
頭の奥の方からまた
苦い記憶と公園の空を揺らす
それでも居場所があるはずだと
求める心はここにあり

あの日々をどんよりと曇らせていた雲が
雨を降らせて青々とした空を見せるように
僕の居場所もどんよりとじめっと
そして晴れ晴れとした場所になるだろう

寒くて求め合いたかった日々も
我が身を粉にして費やした時間も
がんじがらめで動けない時も
ひとつの暖かさに満たされ
まだ生きていていいと思えるようになる

僕の居場所はスライムのように
形を変えてその時々に
魅せてくれるのだ

居場所を求めつつも
どんな形でさえ愛せる
大きな心を
持ち続ける願望に
この先も支配されるんだろう

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