「ウィークエンズ」
機会があって「ウィークエンズ」というドキュメンタリー映画を見た。
韓国初のゲイ合唱団“G-Voice”の活動を数年にわたり追ったもので、なかなかの力作だった。
↑G-Voice公式YouTubeチャンネルより
メンバーのエピソードがすごく身近に感じ何度も泣きそうになった。
彼らが歌う楽曲も、各メンバーが実際に体験したエピソードをもとにしていて、仕事や恋愛、人生についてなど、日本のゲイにもかなり刺さる内容だ。
それを、どこかコミカルに優しくパフォーマンスする(G-Voice公式YouTubeをぜひ見て欲しい。日本語字幕もあります)
後半の社会運動と繋がっていく流れも元気付けられる。叫ぶ代わりに歌ってる。楽しみながら闘っている。彼らには「PRIDE」がある。
組織として大変な部分も多いだろうけど(その辺もわりと描いている)、すごくいいコミュニティ"居場所"なんだなって感じた。
作中、ゲイの権利を訴えていたメンバーたちは、「セウォル号」の事件をきっかけとして他の社会運動と繋がっていく。
たとえば労働組合のデモに参加したことがきっかけで、お礼返しでプライドパレードにその労組の合唱団が参加するなどの交流が生まれていて、日本ではなかなか見られない(少なくとも僕は知らない)動きに元気付けられた。解説によると、韓国にはイギリス映画「パレードにようこそ」(LGBT当事者と炭鉱町の労組がともにデモや運動を起こしていく実話)のようにいろんなマイノリティが連帯しよう…って流れができつつあるそう。
ただ、ヘイト集団のヘイト具合もかなりヤバかった。
主に過激なプロテスタント保守層だそうだが、作中にも「地獄に堕ちろ」って言われまくり、人糞投げつけられながら歌うシーンもあって泣けた。
それでも、かなりマイルドに編集されてるらしい。
ソウル市の人権法案にLGBTQ条項を入れるか入れないかでソウル市庁舎でシットインするシーンなども描かれている(日本の今話題の宗教団体と同じような動きですね)
もちろん、顔出しNGとかゲイとバレたら社会的な死…って人が大半な社会なことも描かれている(ドキュメンタリー制作で最も大変だったのが“カメラを入れること”と“顔出しOKの人を探すこと”だったそうだ)
母親に「あなたは優しいから、かわいそうな人たちを助ける活動をするのは賛成する。でもあなたがそうなるのはダメ」って言われたエピソードとか、笑えないけど闘ってる様子に元気づけられた。
余談だけど、上映後字幕付けた方のティーチインみたいなものがあり、字幕翻訳者の方が作品の背景について説明してくれたのもよかった。
だからこそ、最後の質疑応答のときに、観客のひとり(異性愛者のシス女性)から「わざわざ公にゲイだと発信する意味って何ですか」「黙ってたほうが大変な思いせずに生きられるんじゃないかと思って」というような質問が出たのには驚いた。
その方、全然悪気はなかったし、土地柄ありそうな質問ではあった。
だけど「映画見た上でこの質問するのか…」と悲しくなって。でもその場では時間も勇気もなくて言い返せなかった。
回答者の方も答えに詰まってしまい、おそらく当事者かな・・・と思われる参加者はいたたまれない雰囲気が流れた。
G-Voiceの彼らは穏やかでマッチョじゃないけど、めちゃくちゃ闘っている。その感じがあんまり日本で見る機会がなく、政治が近いというか、みんなでガンガン参加していく様子がすごく羨ましく感じた。
僕も、彼らみたいに強くなりたいな。と思った。
日本での上映権は今年いっぱいで切れるらしく、10月に東京、11月に横浜でのイベント上映が決まっているらしいので、興味ある方はぜひ見てみてください。
自主上映もできるようです。
公式Twitter:@JpWeekends
ウェブサイト(LonlinessBooks内):
https://qpptokyo.com/news/61af4a01c72586148c81e5b0
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