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楢木範行年譜10 民具展覧会 昭和11年 

昭和11年10月、楢木範行は、永井竜一、野間吉夫らと共同で作った鹿児島民俗研究会を発足する。その活動の一環として民具展覧会が山形屋で開催されたという記事、10月23日と24日の「鹿児島朝日新聞」に掲載されている。

愈々蓋を開けた 古代民具展覧会 三百余点を集めて 初日早々から大賑ひ

1936年10月23日付「鹿児島朝日新聞」夕刊p2

麑城民俗研究会主催の我国古代から中世近代に至る迄の大和民族が使用し来つた家具農具漁等の一切を網羅した展覧会は愈々廿二日から山形屋六階に於て蓋開きとなつたが、好奇心を■つて大賑ひを呈した
 陳列された民具は染■、吸物、灯火用具、山袴漁具、猟具、労働用具、農具、食器など三百余点にて史実研究家の参考に資するものが多数である
 こうした展覧会は、本件としては初試みなので、衆目を惹いて居るから定めて多数の■客を迎へることであらう
 民具研究と座談会
 鹿児島民俗研究会では、廿三日午後六時から山形屋社交室に於て 七高児玉教授、同後藤弘毅、荒田区長松下重資、二中校長池田俊彦、高農校小出満次、同校谷口■■、楢木範行、野間吉夫、永井龍一、大川信義、石田■今太、池田光男、平川清隆、奥田■市、■■■造、宮武省三、築地健吉、町田二次、村瀬県学務課員、江藤町会議員等の集合の願ひ 民具■座談会を開催し、現在の蒐集品の史実に就いての意見を聴取する外、今後の蒐集に関する方案その他に就て研究審議する筈である

「民俗研究の権威を集め 本社後援の民具展と座会 廿二日から山形屋で」

1936年10月24日付「鹿児島朝日新聞」朝刊p7

鹿児島県民俗研究会初の試みたる本社後援民具展覧会は二十日から山形屋六階ホールに於て開幕された
流石に古き昔を偲ぶ古典的な絵巻物の展開と往事を語る千両箱、火打角、油皿、しそく、蝋燭立、カンテラ、ランプ、行燈、たもと提灯から農具の草かき、雁爪、煙草包丁から藁切包丁其他玩具のヒキ駒、ギツチヨネン遊戯道具、破魔投棒?、トフク努弓竹?、鉄砲などの類迄三百余点陳列され観覧者をして転た感慨に浸らせてゐる
これらの民具研究に関する座談会は廿三日午後六時から山形屋六階一号室に於て開会、出会者は小出高農長校、池田二中校長、鯵坂本社編集長、兒玉玉高教授、谷口高農教授、楢木商船校教諭、永井鶴領校教諭、村瀬県社会主事、後藤女師範校長、後藤七高教授、町田二次、築地健吉、宮武省三、野間吉夫並に平川、牧の両本社員等で、幹事永井龍一(たついち)氏開会挨拶を述べ、野間吉夫氏座長となって一場の挨拶を述べ『現在蒐集されて居る民具の衣食住に関する史実に就て所見を伺ひたい』と提案、町田二次氏は自在鉤の名称に就き『桑朴三節樫と垂水町方面では称してゐるが此意味は桑の木は魔除けで縁起■並に中風の薬だと云ふ見地から斯く桑の木を以て拵へたもので其他火起の作り方に就て吹く方の節を短かくして小そ(ママ)い方を吹く方にして拵ヱるのが本当だ』などゝ使用法を語り、燈火用具、其他飲食用具等の問題に就いて有益な意見の開陳があつたのち今後之が蒐集法其他将来の研究問題等に就いて発表があり大成功裡に午後九時半散開した(写真は座談会)

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