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尊厳

 「尊厳」とはなんだろう。基本的人権が尊重されていることだろうか。それは一面的には正しい答えだ。しかし我々が一般的に用いる「尊厳」とはそういうものではない。例えば、失業した時、あるいは二回りも年下のコンビニ店長に客前で怒られた時、いわれのない罪を告発された時、多額の借金を背負った時、そんな時人は尊厳を傷つけられたり、失ったりして嘆くのだ。

 フェミニストが表現規制を強く求めるようになって久しい。彼らはいわゆる「萌え絵」や「エロ表現」が女性の尊厳を傷つけていると主張する。きっと主張している人の尊厳は傷つけられているのだろう。

 これらの「尊厳」の使い方は「自尊心」とほぼ同じ意味だろう。自尊心は大事だ。自尊心が無い人は、その人本人の価値を見出すことができない。自尊心が無い人は、何に対しても自信がなく、自分を好きになれず、無気力になり、鬱になるだろう。自尊心は、人間にとってエンジンのような存在だ。自尊心が強い人は、人生をパワフルに歩むことができるが、一方自尊心が弱い人は、惨めな人生を送ることになるだろう。

 僕は自分のことを自尊心というものがすっかり無くなってしまった人間だと思う。本当に何に対しても自信がなく、自分のことがどうしようもなく嫌いで、なにかやってみようという気力もなく、鬱々とした日々を過ごしている。日々の生活に自尊心を満たしてくれるものが全くと言っていいほどないのだ。……いや、それは言いすぎた。最近ではnoteが僕の自尊心を満たしてくれている。

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