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いつでもアンリさんが僕の背中を押してくれた ― 2度のサービス撤退を経験した僕が、「好き」を信じてBranchを立ち上げるまで #熱投

こんにちは。

「『好き』で自信を創り、『好き』で社会とつながる」』をビジョンに、発達障がい児や不登校のお子さん向けにメンターマッチングサービスと教室運営をしている「Branch」の中里です。

僕が起業して以来もっともお世話になっている方と言っても過言ではない、投資家の佐俣アンリさんが本を出されたのでその紹介をしたいと思います(1ヶ月前に読み終わっていて、本当はもっと早く記事を出すつもりが遅くなっちゃいました)。

本はこちらです。
『僕は君の「熱」に投資しよう――ベンチャーキャピタリストが挑発する7日間の特別講義』



この本は未上場企業に投資するベンチャーキャピタル「ANRI」代表の佐俣アンリさんが、主に10-20代の若者に向けて書いた本です。アンリさんがANRIを作ってから出会った起業家たちのこと、そして彼らとの間に起こった事件や嬉しかったことの数々が生々しく描かれています。

アンリさんはスタートアップ界隈の信頼も厚く、Twitterなどを中心に様々な起業家からこの本へのレビューが投稿されています(ハッシュタグ #熱投 で検索してみてください)。

1ヶ月も遅れてしまったし、起業家の方が書いた起業家向けコメントはもう十分に出揃っている気がするので、僕は僕らしく下記のような方に向けて、アンリさんとの出会いやBranch立ち上げのキッカケを書きたいと思います。

・ソーシャルビジネス/社会起業家といった、社会課題の解消を目指す事業やサービスに興味がある方、また、そうした事業が提供するサービスを利用されている方(Branchをご利用いただいている保護者の方など)
・会社を立ち上げるということだけでなく、何か自分の好きなことで生きていきたいと思っている10-20代の方(Branchのメンターさんなど)


手描きのメモ一枚だけで、僕への投資を決めてくれたアンリさん

アンリさんとの出会いは、僕が起業した直後の2014年のことでした。
僕の前職であるサイバーエージェントの投資担当から紹介してもらったことがきっかけです。アンリさんは当時、ご自宅を事務所のように使っておられ、そのサイバーエージェントの投資担当者と一緒に伺いました。
スタートアップの記事などですでに存在は知っており「とにかく笑顔が素敵な人だなー」というイメージだったのですが、会ってみてもその通りで裏表がなく、とても誠実な方だという印象を抱きました。

その時は挨拶だけで終わったのですが、1年後に改めてご相談をする機会をいただきました。1つ目のサービスの撤退を決め、新しいサービスに挑戦するための資金調達をする必要があったからです。

僕は起業前よりアイスタイルCFOの菅原さんにメンターのようにお世話になっていたのですが、その菅原さんに資金調達についての相談をすると「アンリみたいに、とにかく最後まで起業家を信じてくれる人がいいよ!」とアドバイスをいただきました。そうした背景もあり、ぜひアンリさんのような方から資金提供をしていただきたいと思っていたのです。

ミーティング当日、僕は新しいサービスの手書きUIだけを手元に携えて、アンリさんに会いました。サービス撤退直後だったため、まだ稼働しているサービスがなかったのです。
それでもアンリさんは、僕の手書きUIを見ただけで「うちから投資させてもらえませんか?」とすぐに投資の意思決定をしてくださいました。
一般的なVCからスタートアップへの投資では、こうしたケースは珍しいと思いますが、アンリさんの本の中では他にもサービスがまだ無い状態で投資を受けた起業家の話も出てきています。アンリさんは、事業やサービスよりも「人」を見て投資をしていらっしゃるのだな、と感じたエピソードです。


自分だからこそやる意義のあるサービスに熱を投じるべきだと、アンリさんが背中を押してくれた

それから約2年後。再度のサービス撤退を経て、新しいサービスを作ろうとしていました。このときに生まれたサービスがBranchです。

Branchというサービスは「子どもと一緒に東大レゴ部の大学生に会いに行ったこと」をきっかけに始まっています。


当時、僕の長男はレゴ®ブロックが大好きでした。ある日、新聞を眺めていると偶然、「東大レゴ部」という部活動があることを知りました。調べてみると、東京大学の学園祭である「五月祭」で展示をするということなので、息子を連れて東大レゴ部の方に会いに行くことにしました。そのときの経験は息子にとってとても良い影響があったようで(今は覚えているか微妙ですが)、学校の作文などにも書いていたんですね。この話を週に1回行っていたアンリさんとのミーティングでお話したんです。
するとアンリさんは、

「中里さんはそういうのをサービス化した方がいいんじゃないですか?」

と言われたんです。

自分の中では事業化するつもりなど全くなく話していたので一瞬「えっ!?」となりました。

子どもが夢中になっていることを、大人になっても続けている人(Branchではこの大人のことをメンターと呼んでいます)と、子どもたちをつなげること。つまり、僕が息子と東大レゴ部の大学生を繋げたのと同じことをサービス化するといい。それがアンリさんのアドバイスでした。

それまでの自分は「これから大きくなりそうなマーケットは?」とか「きちんとマネタイズしていけるものは?」といったことばかり考えていました。

自分に原体験があって、自分だからこそやる意義のあるサービス、そういうものをやるべきだとアンリさんは背中を押してくれたのです。

こうしてスタートしたBranchは、まず2017年に子どもとメンターのマッチングを行うウェブサービスをリリースしました。そこから更に1年後に「Branch room」という代官山の教室を開設、そして今年、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言中に「Branchオンラインコミュニティ」を立ち上げて、現在に至ります。


営利と寄付を組み合わせた特殊な事業形態。不安な中でも前を向いていられる理由

投資家という、「資本主義のど真ん中」にいるとも言える職業のアンリさんですが、実は寄付や社会起業などの文脈にもとても関心の高い方です。むしろ、スタートアップ界隈の方々に寄付の世界を広めている方という印象を僕は持っています。本の中でも、寄付の話や、NPO法人ETIC.さんと実施している奨学金制度「MAKERS UNIVERSITY U-18」などが取り上げられています。

たとえば弊社は、リブセンス創業者の桂大介さんから1,000万円の寄付をいただいていますが、これもアンリさんのご紹介で繋がったご縁だったりします。

弊社は営利企業でありながら、社会企業っぽくもあり、エクイティの資金調達からクラウドファンディング、寄付、借入、と多方面からお金を集めて運営しているのが特徴です。

おそらくかなり特殊な立場で、過去にあまり例のない事業の進め方をしているのですが、そういった立場をとても肯定してくださっているのがアンリさんです。

また、アンリさんがこの業界内で圧倒的な信頼を得ているため、どの方向に転ぶか分からないうちのサービスに対して、著名なエンジェル投資家の方や上場企業の創業者の方など錚々たる方々が弊社に資金提供してくださっているのも、アンリさんがこの業界内で圧倒的な信頼を得られていることが大きいと思います。

とにかく「新しいチャレンジをしている人を応援する、支援する」というのがアンリさんの基本スタンスで、自分がもし仮に「アーティストとして食っていきたい」「音楽で生きていきたい」と言ったとしてもアンリさんの関わり方はきっと同じなのではないかなと思います。


僕はBranchを始めてから常に、「無い道を進んでいる」という感覚で生きています。

そんな自分の不安な道をずっと肯定し続けて、光を灯してくださっているアンリさんには本当に感謝しています。

あなたの「好き」を信じて、道を切り開いていってほしい

弊社のビジョンが

「好き」で自信を作り、「好き」で社会とつながる

なので、「好きなことで生きていくとは?」ということを考えている方が周りに多いです。

小学生〜中学生のBranchを利用してくれてる子どもたちや保護者の方々、高校生から20代前半までが多いメンターさん、

自分の信じている好きな道を歩んでいきたいと思ったら、ぜひこの本を読んでみることをオススメします。


本はこちら。
『僕は君の「熱」に投資しよう――ベンチャーキャピタリストが挑発する7日間の特別講義』





Branchでは、お子さんの好きなことを見つけたり、好きなことを伸ばすための環境創りのお手伝いをさせて頂いています。ご興味ある方はこちらから。

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