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勝手に正解を設けない。多様な個性を持った子どもたちへの「教えない」接し方

こんにちは。

「『好き』で自信を創り、『好き』で社会とつながる」をビジョンに、発達障がい児や不登校のお子さん向けにメンターマッチングサービスと教室運営をしている「Branch」の中里です。



発達障がいに関するサービスを5年間運営してきました。ちかごろは「発達障がい」という言葉がメディアで登場する頻度も増え、認知が広がってきていると感じます。

僕のところにも「調べてみたんだけど、絶対自分は発達障がいな気がするんだよね」などの相談メッセージが来ることも増えています。

一方で、認知が広がった結果として
「ADHDは多動で激しいから騒がないようにはどうすればいいのかの対応方法を考えよう」とか
「ASDはこだわりが強すぎて物事が前に進まないことが多いので他に意識を向ける方法を覚えよう」
など、解釈の単純化が広がっているようにも感じます。

どうしても

・発達障がいという型があり
・その型に対処する方法にも型があり
・親は先回りして型を覚えてゴール(=将来)を決めていく

という思考に陥りがちな気がします。

単純化すると理解はしやすくなりますが、障がいがあっても一人ひとりはとってもパーソナルな存在で、特性・個性はバラバラです。将来だって、親が決められるものではありません。

今回は多様な個性を持った子どもたちとの接し方として大切なことを、弊社の研修資料の一部を使い紹介したいと思います。

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指導することはしない

「指導する」「教える」とは「答えがある」という前提であり、「こっちの方向が正しい」と指し示すこと。

しかし、ほとんどのものごとには「答えはなく」「正しい方向というものも存在しない」はずです。

「1+1は?」という問いには「2」と答えられるかもしれませんが、「人生にはどんな意味があるのか?」という問いにひとつの答えはありません。

子どもなりの答えを考える前に「教える」ということをしてしまうと「子ども自身が試行錯誤するチャンス」を奪うことになり、「答えは誰かが教えてくれるもの」という受動的な態度を育んでしまうことにもつながります。

知識を詰め込むのには有効な方法かもしれませんが、自ら学んでいく機会が減少するデメリットは大きいです。


子どもの発言を否定しない、共感する

子どもたちの発する言葉は、一つひとつがその子にとって大事な個性です。


飛行機を見て「飛んでいる」と感じる子もいれば、「構造が気になる」と思う子もいれば、「ゲームの世界だったら撃墜したい」と思う子もいます。

子どもの発言を聞いて「間違えてる」と思ったこと、おそらく何度もありますよね?
牛に対して「パパ、おいぬ〜」っ言われたら「あれはうしって言うんだよ」と答えるじゃないですか。
その延長で「僕は学校でみんなが同じことしてるのって変だと思う」と言われたら「そんなこと言うなよ、みんな我慢してるんだよ」とか言ってしまったりするんですよね。

でも実は、その発言の一つひとつがその子オリジナルの個性につながっているんです。

Branch roomでは毎回「好きなこと発見シート」というレポートを書いていて、お子さんたちがどのような発言をしていたのかかをまとめています。それを読み返してみても、同じものを見たり遊んだりしていても、やっぱり反応は違います。

「自分はこのままでいいんだ」

と子ども自身が感じられることがそのまま自己肯定感につながるので、とにかく変なことを言っているように思っても批判はせず、共感することが重要です。


子どもの気持ちや自発的な意欲を大切にする

今どきのお母さん方は、かなりの割合で「ママ〜、Youtuberになりたい!」とお子さんに言われたことがあるのではないかと思います。

そんな時、どう答えていますか?

「え、Youtuberってなに?良くわからないし嫌だな」
「生き残っていくのは一握りだよ、ほんとに続けられるの?」
「インターネットに個人情報のせるなんてダメだよ!」

おそらくですが、多くの方はこのような回答をされているのではないか、と想像します。真剣にやろうと思ったら機材費もかなりかかりますし、抵抗がある気持ちも理解できます。。

ここでお伝えしたいのは、「将来Youtubeで生きていけるのか」といった先々のことまでは考えず、お子さんの意欲を大事にできる機会だけでも作ってあげられないかな、ということです。


その入り口だけでも、やってみると分かることがあるんですよね。Branch roomでもよくYoutubeの撮影や編集の手伝いをしていますので、ゲーム実況の例をひとつ紹介します。

プロのYoutuberさんたちってすごく話すのが上手なんですよ。
「ゲームをしながら、一人でしゃべる」こと自体がすごく難しいんです。

一回やってできなかったら、
「一人でもしゃべれるネタって何があるんだろう?」
と前もって考えるようになります。

例えば

・今どこにいるのか(マップ情報を話す)
・これから何をしようとしているのか(敵を倒すのか、探索しようとしているのか)
・起きてから何してたか、などのプライベート情報を話す

などなど。

更にこれらを忘れてしまうようであれば

・ノートに書いておく
・パソコンの画面に表示する

などのことができますよね。

やってみると「あこがれとの差」が分かって、何に努力をしないといけないのか、何の課題を解決していけないといけないのか、が見えてきます。または「あ、これは自分に向いていないな」ということが分かるかもしれません。

子どもの意欲はほんのちょっとしたことで壊れてしまうガラスのようなものなので、子どもの「やりたい!」はすごく大事にしたいな、と思います。

型はゴールでなく理解の手すりと考える

Branchにくるお子さんは、多様な個性を持つと同時に、不登校になっている子も少なくありません。

つまり「一度コミュニティから外れる経験をして傷ついている」ということです。僕が知る限りではありますが、ポジティブな理由で不登校になっているお子さんとはお会いしたことがありません。保護者の方もお子さんも、大小あれど傷ついています。

ここまで紹介した内容はすべて、その傷を癒やし自己肯定感を取り戻すためのルールです。

学校の校風やクラスの雰囲気など、集団として「こうあるべきだ」という型にはめようとすることは、繊細な子どもたちに傷をつけるひとつの要因となっています。
保護者の方、周囲の方はそれを見ていてよく分かっているはずなのに「発達障がいはこうだ」という型をまた作り、更に傷つけてしまいます。

型はあくまで理解の手すりとして「その子はその子一人だけ」という視点を持って接していけたらな、と思います。




Branchでは、お子さんの好きなことを見つけたり、好きなことを伸ばすための環境創りのお手伝いをさせて頂いています。ご興味ある方はこちらから。

発達障害と不登校の関係や、支援について、詳しく知りたい方は、Branchで作成したこちらの記事もぜひご参照ください。
https://bit.ly/2QCevy0


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中里祐次 @wato
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