『小学館版学習まんが世界の歴史別巻イスラム編4巻セット』最終巻オスマン帝国末期を描く巻では、今現在の戦争に直接つながる黒海沿岸南下するロシアはじめ、欧州主要各国の地政学的利害もよくわかる。山川出版社世界史教科書著作者監修だからね。すごいよ
別巻四巻、一気読み。
『小学館版学習まんが世界の歴史別巻イスラム編4巻セット』 (学習まんが 小学館版)
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ここから僕の感想
僕、40年前の大学受験(東大)の社会は地理B 世界史。地理は得意だったのだけれど、世界史はまるでダメ。イスラム史とか、ほんとに何一つ分かっていなかった。
いやー、マンガ偉大。というか、9割以上初めて知ったこと。王朝の名前くらいは聞いたことあったけど、いつの、どの民族の、どの辺にあった国なのか。初めて知った、が9割。
かなり前に、「高校生も、よっぽと得意な科目以外はマンガ教科書にしたほうがいい、」と書いたことかある。(自動車の免許にマニュアル免許とオートマ免許があるみたいに、得意科目は普通の文字文章の教科書で、苦手科目はマンガ教科書で受講でいいと思う。という内容・主張)
だって、いまどき、東大受験生も、源氏物語はマンガで通読して、人物や物語を把握した後で、古文むらしいよ。合理的だよね。
この「マンガの世界の歴史」侮るな、侮るなかれ。章ごとに頭に地図がついていて、各ページ下の欄外に、地名(都市名国名や戦争名など)が出てくるたびに、何ページの地図で確認しろ、と指示してあったり。王様とか主要人物についても(何ページで子供時代に登場しているみたいな細かい注がついていて、ああ、あのときのあの子が、こういう王様になったんだ、みたいなことが分かるようになっている。)
これとwikiを組み合わせて読むことで、トルコ系のイスラム旧ソ連国の「トルキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン」のどのあたりが、どんな王朝の昔の都だったのか、とかそういうことも整理して頭に入ってきたし。
ペルシャ=イランとトルコ系帝国とが、アラブ系のイスラムやカリフとどう関係を持ちながら覇権を争ったかも、整理されて理解できてくる。シーア派とスンニ派も、生まれた時の事情だけでなく、その後の対立関係も、流れで理解しやすい。
なんといっても、東大受験者が必ず使う山川出版の監修。よくできている上に面白い。
第一巻で面白いのは、ムハンマドと初めの正統カリフ4人は、顔を書かないようになっている。偶像崇拝を禁止するイスラム教では、顔書くのは大罪なので、配慮しているのである。
第一巻がイスラム教の誕生から、アラブ、トルコ、ペルシャ地域での発展。
二巻目が、スペイン、それからモンゴル系、インドのイスラム帝国
三巻四巻はオスマントルコの誕生から滅亡まで。
面白かった。
そもそも読むきっかけは、一昨日紹介した、ある方のツイッター。
小学生低学年の男の子が『鎌倉殿の13人』にはなんで鉄砲が出てこないのかと言ったのに対して、10歳にしてこの本を愛読しているお兄ちゃんが「歴史上はじめて鉄砲が使われたのは1514年のチャルディラーンの戦い」と即答、お母さんが「それどこ」と聞くと「サファビィー朝ペルシャだからイランに決まっているだろう」と答えた、というツイートを読んでびっくりしたから。これは三巻に出てくるのだが。
最後の四巻では、ロシアの南下政策、黒海沿岸での軍港獲得のためのオスマントルコ、ヨーロッパ列強全部を巻き込んでの戦争と外交謀略、ボスファラス海峡とダーダネルス海峡の軍艦通航権をかけた争い、正教会の聖地をめぐる戦争と、今のウクライナ紛争と、地理的にも、争っている内容も、そのまま連続している、参加している国や民族もほぼ8割がた共通。歴史の勉強大事だよな。いやあ、オスマントルコ末期のエジプト(オスマントルコ領なのだが、そこの総督が自立してシリアあたりの支配権迄要求して本国と争う)、それを英仏ロシアがそれぞれの国益で利用するというあたり、全然わかっていなかつたな、
いやいやいやほんとうに、ものすごく歴史が得意な人以外は、このマンガの内容、ほぼ分かっていないと思うし、かつて文字だけ教科書と授業では全然頭に入っていない人(僕がそう)、読んだ方がいいと思う。各巻個別のリンクは、コメント欄に置いておきます。
しかしまあ、1514年に初めて使われてから、日本に鉄砲伝来するのが1543年で、チャルデラーンの戦いと同様に最強の騎馬軍と言われた軍が鉄砲隊に大敗するのが1575年。わずか50年後で地球の裏側、世界の辺境日本にまで伝播するというのは、なかなかすごいことだなと思う。
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